天国や地獄が例えに用いられることがよくある。
「あの時代に比べたら天国みたいなもんだよ」とか「地獄のような光景が広がっていた」とか。
しかしぼくらの多くは、天国も地獄も知らない。ほとんどの人はどちらにも行ったことがない、はずだ。
物語に地獄の描写が出てきたり、天国について描かれた絵を見たりしたことはあるが、それらもすべて想像で語られているものだ。誰もほんとうの天国や地獄を知らない。
各人の頭の中には天国や地獄のイメージはあるだろうが、百人いれば百種類の天国と地獄があるはずだ。
そういう曖昧模糊としたものを例えに使っていいのだろうか。
こういうのが天国だと思う人もいる |
比喩とは、物事をわかりやすくするために使うものだ。
ドローンを見たことがない人のために「ラジコンみたいにリモコンで操縦できて、ヘリコプターみたいに空を飛ぶ機械で、片手で持てるぐらいのサイズが多い」と説明すれば、ラジコンとヘリコプターを知っている人ならなんとなく実物を想像することができる。
これが「コジランみたいに操ることができて、プヘーコリタみたいに動いて、テタカに乗るぐらいのサイズの機械」だったらさっぱりわからない。説明することで余計にわからなくさせている。
「天国のよう」「まるで地獄」といった表現もこれと同じことだ。
わからないものをわからないもので例えてはいけない。
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