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2025年5月9日金曜日

【ボードゲームレビュー】もじあてゲーム あいうえバトル

もじあてゲーム あいうえバトル 

内容説明(Amazonより)
50音の中から1文字ずつ攻撃して相手の言葉を推理する文字当てゲーム!
1文字ずつ攻撃して言葉を推理! みんな、なんて書いた?
相手の文字を全部当てろ! だんだんと明かされる文字。あの言葉はいったい何!?

お題から思いついた言葉を書いてまわりに見えないように置き、順番に1文字ずつ攻撃して当て合います。少しずつわかってくる文字から相手の言葉を予想して、すべての文字を攻撃しましょう。当てる推理と当てられるスリルが楽しいゲームです。


 こういうゲーム大好き! 言葉系のゲーム好きなんだけど、意外と多くないんだよね。なぜなら言葉系のゲームって紙とペンさえあればできるものが多いから。商品化しにくいんじゃないだろうか。

 ぶっちゃけると、この『あいうえバトル』も紙とペンがあればできてしまう。でも『あいうえバトル』についている「立てられるホワイトボード」があったほうが圧倒的に遊びやすい。ボードゲームとしては安めなので、なるべく買いましょう。


 ルールは以下の通り。

  1. お題(例:飲み物)が出され、各自7枚のプレートにお題にあう2~7文字の言葉を書く。濁点、半濁点は書かない。7文字に満たない分は「×」と書く。
    (レモネードなら「れもねーと××」と書く)
  2. プレートは自分だけが見えるように並べる。
  3. プレイヤーは順番に、五十音を一字ずつ宣言する。宣言された文字が書かれていた場合、そのプレートを公開する。
  4. 公開されたプレートを見て、他のプレイヤーがどんな単語を書いたか当てる。
    ただしわかっても口にしてはいけない。「×」を除くすべてのプレートが公開されたら負け。
  5. 最後まで残っていたプレイヤーが勝ち。


 ルールはだいたいこんな感じ。2~5人で遊べて、1ゲーム5~10分ぐらいで手軽に楽しめる。11歳の娘と遊んでいたのだが、横で見ていた6歳の娘も(説明を聞かなくても)すんなりルールを理解できた。

 6歳が傍で見ているだけで理解できるのだから、相当かんたんなルールだ。


 よくできているのが、「2~7文字の範囲であれば何文字の単語でもいい」というルール。

 最初にこれを見たときは「文字数が少ないほうがあてられる可能性が低くなるんだから有利じゃないか?」とおもった。ところがやってみてわかった、そんな単純なものではない。

 たしかに文字数が少なければ他プレイヤーに与える情報も少なくなるので、当てられにくくなる。
 だがここで効いてくるのが“「×」を除くすべてのプレートが公開されたら負け”というルール。文字数が多ければ、すべて公開されるまでにターン数を稼げるのだ。

 たとえばお題が「飲み物」で「かしすおれんじ」と書いていたとする。

「かし?お???」が公開されて、敵に「“かしすおれんじ”だな」とバレたとしても、そこからすべての文字が公開されるまでには最短でも4ターンかかる。その間に敵の文字をすべて公開してしまえば勝てるのだ。

 娘とやったときにこんなことがあった。「楽器」というお題で、ぼくは「ひあの(ピアノ)」と書いた。偶然にも娘もピアノを選んでいた。ただし娘が書いたのは「くらんとひあの(グランドピアノ)」。

 当然、勝ったのは娘のほう。すべてのプレートをめくるのに時間がかかるから。

 当てられにくい短い単語を書くか、すべて公開するまでに時間を稼げる長い単語を書くか。当てられたら終わり、ではないからこそ生まれる駆け引きだ。

    


「他人の書いた単語を当てる」だけでなく「自分の書いた単語を当てられないようにする」も重要だ。

 敵が「あ」を使っているかどうか気になる。だが「あ」と言うと、自分が書いた「あ」のプレートを公開しないといけない。だから言いたいけど言えない……。

 この心理を利用して、相手のプレートを推測することもできる。前半は「よく使われる文字を挙げる」のがセオリーだ。ん、ー、う、い、よ、ゆ、か、などがよく使われる文字だ。なのに誰も「ん」と言わない。ははあ、たぶん「ん」が含まれているな、とわかるわけだ。」


 このセオリーが定着すると、あまり使われない文字を使うと勝率が高まる。へ、ぬ、などはあまり使われないので、当てられにくい。

 だがこれも諸刃の剣で、「ぬ」が公開されてしまった場合に不利になるという弱点がある。一文字目が「ぬ」だったりすると、「ぬ」で始まる単語は少ないので、容易に答えを推測されてしまうのだ。



 シンプルなルールながらけっこう奥が深い。気軽に遊べて、長く遊べる。

 いいゲームだ。


 ちなみに6歳児はまだ日本語表記があやしい(バレーボールを「はーれほーる」と書いたり、氷を「こうり」と書いたりする)ので、「3文字目に“ー”と書いているがほんとは2文字目か4文字目に書く単語かもしれない」といったところまで読むことが必要になってくる。


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2025年5月1日木曜日

【カードゲームレビュー】アップんダウン

アップんダウン

内容説明(Amazonより)
「アップんダウン」はモザイクゲームズがデザインしたオリジナル・カードゲーム。1から100までの数字カードと8枚の特殊カード、合わせて108枚のカードで構成されています。
ルールはとても簡単です。親は全員に5枚のカードを配ります。手番のプレイヤーは5枚の手札から1枚を場に出し、山札から1枚を補充します。つまり手札は常に5枚で変わりません。手札から出すカードは前の人の出した数字より大きな数のカードでなければなりません。ただし、1の位の数字が前と同じカードがあれば、小さな数字に下げることもできます。出せるカードが無い人はゲームから脱落します。こうして最後にひとり残った人がゲームの勝者です。それだけの単純なルールなのに、とてもスリリングなゲーム展開が味わえます。
1から100までの数字が読める人なら、年齢・言葉の違い・障がいのある無しを問わず誰でもすぐに遊ぶことができます。初心者向けの基本ゲームのほか、ギャンブル要素を盛り込んだ上級ルールや、パズル要素のある協力ゲームもあります。ぜひ「アップんダウン」をあなたの遊びのコレクションに加えてください。

 ルールは非常にシンプル。

「1~100のカードの中から5枚ずつ所持する。前の人が出したカードより大きいカードを出さなくてはならない。ただし1の位が一緒であれば小さいカードでも出せる(99の後に9を出す、など)」

 あと「パス」「逆回り」「自分以外の誰かを指名してその人の番にする」の特殊カードもある(2名でプレーするときはこれは全部同じ効果になる)。


 いろんなカードゲームで遊んだけど、ここまでシンプルなルールもめずらしい。六歳の娘でもすんなり理解できた。それでいて、かなり奥が深い。じっくり考える余地がある。


 また、ルールはほぼ一緒だが、3種のゲームが楽しめる。

 基本的な対戦ゲーム『ベーシック』

『ベーシック』とほぼ一緒だがチップを賭ける『キャリーオーバー』

 プレイヤー同士で協力してカードを使い果たすのを目指す『カルドサック』


 うちの家では、主にカルドサックをやっている。ちなみにカルドサックとはフランス語で「袋小路」の意味らしい。なんでこれだけフランス語なんだ。

 このゲーム、対戦にはあんまり向いてないんだよね。なぜなら運次第で一瞬で決着がついてしまうことがあるから。たとえば最初の人が「100」を出したら、次の人は下1桁が「0」のカードか特殊カードを持っていなければその時点で負けてしまう。カードを1枚も出すことなく。

 これはつまらない。なのでもっぱら、みんなが長く楽しめるカルドサックを遊んでいる。


 カルドサックの目標は、108枚のカードをすべて場に出すことだ。他のプレイヤーの手札を見ることもできる。

 公式ルールでは相談禁止となっているが、うちでは相談アリにしている。それでもむずかしい。何度かやったが、108枚すべて出し切ったことは一度もない(最高は107枚!)。

 パーフェクトを目指そうとおもったら、これまでに出したカードを覚えておく必要がある。「まだ97が出てないから7を置いといても大丈夫だな」みたいに。それかよっぽど運に恵まれるか。

 パーフェクトはかなりむずかしいけど、何度かやっていたら残り10枚ぐらいまでならなんとかなる。数手先まで読む力が鍛えられる。


 間口が広くて、奥が深い。

 理想的なゲームだ。誰でも遊べてずっと遊べる。


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2025年4月1日火曜日

【ボードゲームレビュー】TAKUMI ZOO

TAKUMI ZOO


内容説明(Amazonより)
誰よりも魅力的な動物園を作る"拡大再生産型"ボードゲーム。土地パネルでボードを開拓し、地形に合わせて飼う動物を選んで、一番ポイントの高い動物園を作りあげましょう。いかに人気の動物を集めて動物園の魅力を高めるかがポイントです。大人も子供も一緒に、じっくり楽しめる本格ボードゲームです。


 なんと小学生が作ったボードゲームだという。絵も、小学生が一生懸命丁寧に描きましたという感じでかわいらしい。

 小学生が作ったゲームなら小学生がやったら楽しいんじゃないかとおもい、娘と遊ぶ目に購入。




かんたんなルール

  • 全員5コインを持ってスタート
  • 毎ターン、山札から地形パネルを1枚ずつ引く。地形には草原・森・岩・水の4種がある。それを自分の動物園パネルに並べていく。
  • 動物を購入して、地形に置くことができる。地形によって配置できる動物は異なる。また動物によって必要なパネル数も異なる。
  • 動物を配置することで毎ターン入場料収入がある。動物により購入金額や収入金額が異なる。また、特定の組み合わせを満たすことで収入が増える。
  • 動物を買うとポイントが入る。最終的にこのポイントが多い人が勝ち。
  • 地形パネルには、「買える動物が増える」「次に引くパネルを見ることができる」「他のプレイヤーと地形を交換できる」「他プレイヤーを邪魔できる」などの特殊効果を持つものもある。


ええとこ

「地形によって飼える動物が異なる」+「一度置いた地形は基本的に変えることができない(一部変更の効果を持つパネルも存在する)」というルールがなかなかいい。地形パネルをどこに置いたほうがいいだろう、と考える余地が生まれる。

 何度かやっていると、草原の横に岩を置かないほうがいいとかわかってくる。ただしどのパネルが出るかは運次第なので、配置には頭を悩ますことになる。

 あと単純な勝敗だけでなくスコアが出るので、ひとりでも遊べるのもいい。ぼくは子どもの頃ひとりでカードゲームをするような孤独を愛する少年だったので、このルールはうれしい(さすがに大人になった今はひとりではやらないけど)。


やることが多い

 仕事量が多いのでかなり煩わしい。

 毎ターン、「収入を得る」「パネルを引く」「パネルの特殊効果を発動させる」「パネルを配置する」「動物を買う」「所有する動物の組み合わせが特定の条件を満たしているかチェックする」「柵を配置する」「買った動物に応じてポイントを増やす」と、やることが多い。

 必然的に、他のプレイヤーは待つ時間が長くなる。やっている間に飽きてしまう。やっているほうも待っているほうもつまらない。


 また、やることが多いので手順を忘れてしまう。

 特に最後の「ポイントを増やす」を忘れがちだ。ポイントを増やし忘れてもそのままゲームは問題なく進行してしまう。後で「あれ? さっきポイント増やしたっけ?」「さっき獲得したの何点だったっけ?」となり、ポイントがごちゃごちゃになる。勝敗に直結するところなのに。

 途中のポイントをなくして、最終所持金+最終的に保有している動物に応じたポイントで決着、とかのほうがすっきりするとおもうな。

 そして柵はいらない(他プレイヤーの邪魔をできる黒柵だけでいい)。


ポイントの稼ぎ方がよくない

 単純に言うと「動物を買ったときに支払った金額に応じてポイントが入る」という仕組みだ。

 これが「誰よりも魅力的な動物園を作る」という目的にあっていない。

 めずらしい動物を飼っていることや、入場者収入が多いことは、直接ポイントに結びつかない。

 ポイントを稼ぐ近道は「高い動物を買う」なので、たとえばゾウを所持しつづけるよりも「ゾウを買う」→「ゾウを売ってキリンを買う」→「キリンを売ってまたゾウを買う」というプレーをするほうが高得点になる。

 もしほんとにこんなことをやったら動物園失格だろう。でもこれが最適解なのだ。

 一応「ゲーム終了時に多くの動物を持っていたら5ポイント入る」というルールはあるが、その5ポイントを得るよりも売買をくりかえすほうがポイントを稼げてしまう。

「魅力的な動物園をつくる」ではなく「いかに動物の売買をくりかえすか」という動物ブローカーをめざすゲームになってしまっている。


ほぼ運ゲー

 引いた地形パネルによって飼える動物が決まる。おまけに序盤はお金も少ないので選択の余地はほぼない。草原を引いたからシマウマを買うしかない、のように半自動的に進んでいく。最初の3ターンぐらいはほぼ選択の余地がない。

 いくつか特殊効果を持つパネルもあるが、せっかくの特殊効果が無駄になることも多い。


 一方、序盤で「2マス分の効果を持つパネルを引く」「草原・森・岩・水パネルを1枚ずつ引いてボーナスを手にする」などのラッキーにめぐまれると、相当有利になる。後半でひっくりかえすのが難しくなるぐらいの差がついてしまう。

 中盤からはお金に余裕が出てくるので多少選択肢は生まれるが、それでも地形による縛りが強いので、選択の余地は小さい。そして勝ってようが負けてようがとるべき戦略は「より高い動物を買う」だけ。「負けているから可能性は低いが当たればでかい一発逆転を狙う」みたいな戦略はとりようがない。

 やることが多いわりに選択肢が少ないので「やらされている感」がすごく強い。ボードゲーム好きなぼくでも、子どもから「TAKUMI ZOOやろう」と言われると「めんどくせー」とおもうようになった。

 後半はお金が余るので、お金でできることがもっと多ければいいんだけどな。土地を増やすとか。高い動物を買おうにも、すでに売り切れだったり、スペースがなかったりして、お金の使い道がないんだよね。


無茶なルール

 いくつか“役”のようなものがあり、特定の動物を4種そろえると追加ポイントがもらえる。

 この役の難易度がひどい。かんたんな役はそこそこ作れるが、いちばん難しい役はロイヤルストレートフラッシュをつくるぐらいの難易度だ(それ以上かもしれない)。上から二番目の役でもストレートフラッシュぐらいの難しさはある。つまり、まずお目にかかることはない。そして超幸運にめぐまれてこの役をそろえたとしても、その頃にはもうお金はありあまっているのでボーナスの効果が薄い。実質ルールが死んでいる。

 この“役”が多彩であれば麻雀のような駆け引きのおもしろさが生まれるのだろうが。もったいない。


小学生にしてはすごい

 厳しいことばかり書いてしまったが、それは他の市販ボードゲームと比べたからで、小学生が作ったゲームとしてはめちゃくちゃすごい。最初は楽しめた(何度かやっていると攻略法が一本道になってただの作業になってしまうが)。

 大人が介入してルールを調整すればもっとおもしろくなるんだろうけど、それをしてしまうと「小学生が考えた」という最大の魅力が失われてしまうので、まあしかたない。逆に言うとこの粗さこそがこのゲームの長所かもしれない。

 欠点はあるけど、世の中に数多く出回っているボードゲームの中で平均点ぐらいのおもしろさはある。ちょっと改良すればずっとずっと良くなりそうだし。

 がんばれ未来の巨匠たち(TAKUMIだけに)!


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2025年3月27日木曜日

【ボードゲームレビュー】DORADA(ドラダ)


 DORADA(ドラダ)

 1988年にドイツで発売されたボードゲーム。発売中止になっていたらしいが、2024年に再販されたらしい。総合パズル雑誌『ニコリ』で紹介されていておもしろそうだったので購入。



【ルール】

  • 2~4人用。4人でやっても1ゲーム15分もかからないぐらい。
  • 基本的にはすごろく。1人4つの駒を持ち、サイコロを振った後にどれか1つの駒を動かし、ゴールを目指す。
  • 他人の駒や自分の駒の上に乗ることができる。上に他の駒が乗っている駒は動かすことができない。
  • 盤面中盤にはワープゾーンがあり、そこに止まると一気にゴールできる。
  • 盤面にはいくつか落とし穴があり、そこに落ちた駒はもう動かせない。ただし1つの穴につき落ちる駒は1つまでで、すでに誰かが落ちている穴は通常のマスと同じになる。
  • 盤面には「+4」「-3」などの指示があるマスがあり、止まった場合はその指示に従う。ただしこれらの指示に従って進んでいる場合にかぎり、他の駒を飛ばして移動する(このルールはちょっとややこしい)。
  • はじめは4つの駒を動かせるが、「既にゴールした」「落とし穴に落ちた」「上に他の駒が乗っている」駒は動かせないため、動かせる駒は減っていく。動かせる駒がひとつもない場合はパス。
  • すべての駒がゴール、または落とし穴に落ちたら試合終了。得点の高いプレイヤーが勝ち。落とし穴に落ちた駒は0点。ゴールした駒は、ゴール順に応じて点数が割り振られる。遅くゴールしたほうが得点は高くなる




【感想】

 シンプルなルールのすごろくなのにけっこう駆け引きが要求される。

 最後の「遅くゴールしたほうが得点は高くなる」というルールが非常にユニークかつゲームをおもしろくしている。

 これにより「いつゴールするのがベストか?」という迷いが生まれる。「ゴールできるけど、今ゴールしてもたぶん得点は低いだろうな。かといってこのチャンスを逃したらゴールできずに落とし穴に落ちてしまうかもしれない……」という葛藤が生じる。

 また「他プレイヤーの駒の上に乗ってじゃまをする(相手は選択肢が減るので落とし穴にはまりやすくなる)」という戦術が使えるので「いかに敵の駒の動きを封じるか」という攻防がくりひろげられることになる。基本的に「上に乗られて動けなくなる」のはマイナスなのだが、「すべての駒が動けなくなる」のはプラスにはたらく。なぜなら、ゴールが遅くなって高得点につながるから。ある戦略が状況次第でプラスにもマイナスにもはたらくのがおもしろい。。


 そして、いちばんいいのが運の要素が大きいこと。なんだかんだいってすごろくなので、最後はサイコロの出目で決まる。戦略をめぐらせることで勝率をある程度引き上げることはできるが、運が悪ければ負けるときは負ける。

 ぼくは子どもと遊ぶのだが手加減はしたくないので、このぐらいの「戦略も重要だが結局は運で決まる」ゲームがちょうどいい。確率も戦略もわかっていない小さい子でも勝てる(ただしわざと負けてあげることもできないので、「負けたらすぐ泣く子」と遊ぶのには向いてない)。


 あとゲームのデザインもいい。シンプルな盤面とシンプルな形の駒。材質もしっかりしている。ゴール地点には駒を10個以上積み重ねることもあるのだが、安定感があってぜんぜん倒れない。ボードゲームによっては「うっかり倒しちゃって状況がむちゃくちゃになってしまう」ことがあってけっこうなストレスなのだが、その心配も少ない。


 シンプルなルール、誰にでも勝つチャンスがある、ほどよい駆け引き、短時間で完結、とボードゲーム初心者に安心しておすすめできるゲームです。


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2022年9月13日火曜日

ダイソーのカードゲーム

 百円均一のダイソーに、限定のカードゲームが売られているのを知っているだろうか。

 ダイソーがゲームクリエイターとコラボして制作しているらしい。

 これが意外に侮れないというか、とても百円とはおもえないクオリティのものもあって、たいへんお買い得だ。


 ボードゲームやカードゲームが好きで娘とよく遊んでいるのだが、安いカードゲームでも二千円ぐらいはするし、高いボードゲームだと一万円近くしたりする。

 それでもおもしろいものは何十回も遊べるからぜんぜん高くないのだけれど、問題は「ぜんぜんおもしろくなくて一回しかやりたくならないゲーム」も世の中には存在するということだ。

 カードゲームなんてのは基本的には紙だけでできているので、アイデア次第でとんでもなくおもしろいゲームにもなれば紙屑にもなりうる。
 そして紙だけでできているということは「コピーしやすい」ということでもある。トランプだってUNOだって花札だって、自宅で作ろうとおもえば作れる。だからだろう、多くのカードゲームは商品説明欄にごくごく一部のルールしか書いていない。全部書いてしまうとコピーされてしまうから。

 だから、カードゲームのおもしろさはやってみるまでわからない。クソつまらないゲームかもしれない、とおもうと数千円を出すのはなかなか勇気がある。


 その点、百均のゲームはいい。なんせ百円だ。消費税を入れても百十円だ。クソつまらなくて、一回やったらもうやりたくないようなゲームだったとしても、百円とおもえばぜんぜん許せる。今どきゲームセンターのゲームでも一回二百円三百円するようなものがあるのだ。

 だからダイソーでゲームを見つけたら手当たり次第に買っている。置き場所の問題もあるのでさすがに全部は買わないけど、ちょっとでもおもしろそうかもとおもったら買うようにしている。

 そんなダイソーで買ったゲームについて。







『ボードゲーム(生物学カードゲーム CELL ジェネリック 遺伝子工学vs生態学)』
『ボードゲーム(生物学カードゲーム CELL ジェネリック 免疫学vs微生物学)』

 生物学用語(キメラマウスとかips細胞とか)の擬人化キャラを使った対戦カードゲーム。やったことないけど、たぶん遊戯王カードとかマジック・ザ・ギャザリングみたいな感じだとおもう。

 これがなかなか奥が深く、九歳の娘が気に入って毎週土日の朝になると「セルしよう!」と誘ってくる。免疫学・微生物学・遺伝子工学・生態学の四種類のカードセットがあるが、パワーバランスが優れていて、どれも一長一短ある。運と戦術のバランスもよく、戦術によって勝率を上げることはできるが、それでも運が悪ければどうにもならない。

 これが、娘とやるのにちょうどいい。前にも書いたが、ぼくは子どもとゲームをするときに「わざと負ける」ことをしたくない。ハンデをつけるのはいいが、手は抜きたくない。だから運要素のあるゲームがいい。でも運だけでもつまらない。このゲームの場合、当初はぼくが娘に負けることはほぼなかったが、娘の実力もだんだん上がってきて今ではぼくの勝率は七割ぐらい。いい勝負ができるようになった。娘からすると「本気のおとうさんに勝てる」「工夫によって勝てることが増えてきた」という感じで、すごく楽しそうだ。

 ちなみに、近所のダイソーで「遺伝子工学vs生態学」を買ったが同じ店舗には「免疫学vs微生物学」が売られておらず、わざわざ電車に乗って遠くのダイソーにまで買いに行った。




『セカンドベスト!』

 四目並べのようなルールだが、このゲームのユニークな点は「待った」ができること。一度は待ったをかけてもいい。
 つまり、相手のうっかりミスによる勝利は期待できず、勝つためには「相手がどう指しても勝てる手」を打たなくてはならない。将棋でいう「必至」の状態だね。

 このルール、力量差のない相手とシビアに戦いたい人にはいいが、子ども相手で遊ぶのには向いていない。うっかりミスでの負けがない以上、数手先を読む力が必須である。そしてぼくは詰将棋や五目並べが得意なので、負けることはない。

 三回ぐらいやってすぐにやらなくなってしまった。




『グースカパースカ』

 グーが三枚、チョキが六枚、パーが三枚。これら全十二枚のカードのうち十枚をお互いに配っておこなわれるジャンケンゲーム。『カイジ』の限定ジャンケンのようなものだね。ジャンケンによって宝石を取り合うところも似ている。

 カードによって取れる宝石の数が異なる、後半になるほどやりとりする宝石の数が異なるなどの工夫はあるが、どうしても最後がぐだぐだになってしまう。なぜなら「勝った方は負けた方にカードを渡す」というルールがあるから。勝てば勝つほど手札の数が減り、さらに相手にカードを読まれてしまう。「あと一勝で終わる」まではたどりつけるが、そこから勝つのが至難の業。大勢が決してから、だらだらと勝負が長引いてしまう。

 これは一度やっただけでもうやらなくなった。




『GIRIGIRI』

 双六のような盤面があり、プレイヤーの出したカードによって駒が進んでいく(駒は全員でひとつだけ)。20の倍数を通過するとダメージを食らい、11の倍数に止まるとダメージを他のプレイヤーに渡せる。最終的にいちばんダメージの少ないプレイヤーが勝利。

 これは娘の友だちも入れて四人でやったが、たいへん盛り上がった。戦略と運の要素のバランスが良く、最後まで誰が勝つかわからない。途中でリードしていても最後に10ダメージを食らうとまず勝てないし。

 アクションカードの枚数が多すぎる、誰かひとりを集中攻撃することができるので空気が悪くなりやすいなど少し粗さも目立つが、そのへんはカードを抜いたりルールを追加したりして調整してもよさそう。

 特に盛り上がるのは「GIRI GIRI」というカード。これが出されると、全員「ギリギリ!」と言わなくてはならなくて、いちばん遅い人がダメージを受けてしまう。

 ただこれは三人以上でやるときにだけ有効なルールなので、一応説明書には「2~6人」と書いてあるが三人以上でやることを推奨する。



2022年5月26日木曜日

【カードゲームレビュー】NHKカガクノミカタ くらべてみるゲーム

NHKカガクノミカタ
くらべてみるゲーム

「賢くなる」を謳い文句にしているゲームは基本的につまらないので買わない、という信念があるんだけど、これはルールを読んでおもしろそうだったので買ってみた。


 ルールはこんな感じ。

・「動物X」役(一人)と、「博士」役(それ以外の全員)に分かれる。

・「動物X」はさまざまな動物(哺乳類)が書かれたカードから一枚めくり、こっそり見る。

・比較対象となる動物カードをめくる。

・「博士」たちは質問カードにもとづいて「動物X」役に質問をして、「動物X」が何かをあてる。


 シンプルなルールだ。たとえば「動物X」がオオカミで、比較対象がハリネズミだとする。
 動物X役は、「どっちが大きい?」ならオオカミ、「どっちが飼いやすそう?」ならハリネズミと答える(主観も入る)。質問を重ねて、一種に絞っていくわけだ。




 八歳の娘と何度かやってみたが……。

 まず、ルールに忠実にやるとつまらない。おまけにむずかしい。欠点だらけだ。


質問カードがクソ

「強そうなのはどっち?」とかならいいが、「空を飛ぶのが上手そうなのはどっち?」とか「鼻が長そうなのはどっち?」とか、なんとも微妙な質問が多い。

 動物カードは哺乳類ばかりなので、空を飛べるのなんてはモモンガぐらいしかいない。そりゃあカバよりもウサギのほうがまだ飛べそうだけど、そのあたりは主観なので人によるとしか言いようがない。

「どっちが鼻が長い?」もひどい質問だ。ゾウと比べたらすべての動物が短い側に入るので、まったく絞り込みに役立たない。カバとヒトのどっちの鼻が長いかなんて比べようがない。ウマやオオカミは顔の中心がつきでているが、あれは鼻が長いのか? それとも口が長いのか? よくわからない。

 質問カードはダメな質問ばかりだ。「草を食べていそうなのはどっち?」とか(そんなの比べるもんじゃねえ)、「角が大きそうなのはどっち?」とか(両方ない場合比べようがない)、「耳が大きそうなのはどっち?」とか(絶対的な大きさなのか、それとも相対的な大きさなのかわからない。たとえばウサギは相対的に耳が大きいが、絶対的な大きさではサイより小さいだろう)。


動物カードが微妙

 ゾウやキリンはいいとして、クマとかイノシシとかアルパカとかキツネとか、そんなに特徴のないやつも多い。二択の質問をくりかえしてタヌキかキツネかを見分けるとか、ライオンかトラかを見分けるとか、大人でもむずかしいぜ。子どもにはまず無理だ。

 哺乳類にこだわることなく、ニワトリとかカメとかカブトムシとかタコとかバラエティ豊かな顔ぶれにしたらいいのに。


質問をしても絞れないことが多い

 たとえば「比較対象カード」がライオンで、質問カードが「強そうなのはどっち?」なんてことが起こる。この質問をして、答えがライオンでも、答えがまるで絞れない。ライオンといい勝負ができるのはトラかゾウぐらいだからだ。ほぼ無意味な質問だ。



「比べることで動物Xを当てる」という大枠はいいのだが、ルールがひどすぎる。開発者はじっさいに子どもと遊んでみたのだろうか。


ってことでルールを改変してみる

 まず質問カードをなくした。質問は自分で考える。
 また、「比較対象カード」も自由に変えられることにした。

 たとえば比較対象の動物をブタにして「大きいのはどっち?」と訊けば、だいたい半分ぐらいに絞られる。

 これでなんとかゲームとして成立するようになった。しかし「タヌキとキツネを見分ける質問をするのがむずかしい」といった問題が残る。

 もう動物カードもいらないかもしれないな。自分で動物を考えて、「それはキツネより大きいですか?」「それとネズミ、食べるならどっち?」といった質問をくりかえすことで当てるのだ。

 質問カードも動物カードもいらない……。となると、そもそもこのゲームを買う必要がないな!



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2022年3月25日金曜日

オリジナルのトランプゲーム

 娘といっしょに考案したトランプゲーム。




【準備】

・基本は2人対戦。3~4人でもできるが、駆け引き要素が薄れてしまうのでおすすめは2人。

・各スートの1~6のトランプ合計24枚をシャッフルし、表向きに6×4に並べる。

・各スートのキングを裏返しにし、1枚ずつ選ぶ。自分だけがこっそり見て、伏せておく。


【進行】

・6×4に並べたトランプから1枚選び、タテヨコに隣り合うカードに重ねてゆく。


例) 上段右から2番目のAを、右の4に重ねたところ。

 A  3  4  5  A  4 
 2  4  5  6  6  2 
 A  2  4  5  3  3 
 2  A  6  3  5  6 

 ↓

 A  3  4  5     A 
 2  4  5  6  6  2 
 A  2  4  5  3  3 
 2  A  6  3  5  6 

 

・これを交互にくりかえす。すでに重なっているカードを動かすときは、すべてのカードをいっぺんに動かす。

・重ねられるのは、1つ隣のカードにだけ。下の図のようになっている場合、右上のAはもう動かすことができない。

 A  3  4  5     A 
 2  4  5  6  2    
 A  2  4  5  3  3 
 2  A  6  3  5  6 

・動かせるカードがなくなったら終了。


【得点計算】

(最終の形)

   ♠A         ♡A 
       ♢5      
    ♡5          
 ♢A   ♠3      ♠3 

・重なっている枚数が得点となる。得点は、いちばん上のカードのスートのキングの持ち主に与えられる。
 右上のハートは2枚重なっているので、ハートのキングの持ち主に2点が与えられる。

・さらにボーナスとして、重なっているカードの中にいちばん上のカードと同じスートがあれば、そのカードに書かれている数字がプラスされる。
 ハートのAの下にハートの4があれば、2点(枚数得点)+4点(ボーナス)で、6点となる。いちばん上のカードはボーナスの対象外。

・合計得点の多いほうが勝ち。
 20点とればまず勝てる。両者低調なら10点ぐらいで勝つこともある。




 某カードゲームのルールを読んだとき、「これならトランプで代用できるな」とおもい若干修正を加えた。

 八歳の娘と何度かやったが、なかなかおもしろい。ぼくの勝率は6割ぐらい。
 子ども相手に本気でやってもいい勝負になる。(ぼくが子どもとゲームをするときのポリシーとして『ハンディをつけるのはいいがわざと負けることはしない』というのがある)

 このゲームで勝つために必要なことは、

・相手のスートを見抜き、相手が得点をとるのを妨害する

・相手に気づかれぬよう、さりげなく自分の得点を増やす

である。
 序盤に自分のスートを見抜かれてしまうと、もう勝ち目がない。

 なので、慣れてくると前半はわざと自分のものではないスートに得点をとらせるなど、相手を攪乱するための動きが必要になる。ところが、相手を欺くために自分のではないスートに得点を与えたところそれが相手のスートだった、なんて悲劇も起こりうる。こうなると、相手の得点は増えるし欺くこともできないし、いいことなしだ。

 そこで、裏の裏をかいてあえて目立つように得点をとりにいく……なんて戦略も生まれる。駆け引きやハッタリが重要となる。


 運も多少は影響するが、「相手のスート」以外の情報はすべて開示されているので、運の要素は小さい。「いかに相手の心理を読むか」で勝負は決まる。

 ポーカーよりもずっと駆け引きの要素が大きいので、心理戦が好きな人なら楽しめるゲームだとおもいます。


2022年2月24日木曜日

【ボードゲームレビュー】海底探検

海底探検

【かんたんなルール】

  • プレイヤーは潜水艦の乗組員。サイコロ(1~3の目しかない)を2個振って深海に潜り、財宝を持ち帰るのが目的。
  • 酸素があるうちに戻ってくれば財宝を獲得。戻ってくる前に酸素が尽きれば財宝を失う。
  • 酸素は有限、さらに全プレイヤーで酸素を共有しているので、酸素がなくなれば潜水艦に戻っていないプレイヤーは全員オダブツ。
  • 失った財宝は再び深海に沈む
  • 深く潜るほど財宝に書かれた得点が大きくなる。
  • 財宝を手にするごとに酸素の減りが早くなる。
  • 3ゲームおこない、合計得点が多いプレイヤーが勝利。


 さほどむずかしくないので、8歳の娘でも一度やってみるだけでルールを理解できた。ただしルールは理解できても、「どこで引き返すか」という判断ができるようになるには何度かプレイしてみないとむずかしい(これは大人でも同じ)。


 このゲームの醍醐味は、なんといっても「限られた酸素を全プレイヤーで共有している」ところだろう。
 財宝を手に入れなければ酸素は減らないので、かなり深いところまで潜っていける。だが誰かひとりが欲張って財宝を手にすると、どんどん酸素が減っていく。
 だから誰かひとりが欲張って財宝を手にすると、他のプレイヤーも「だったら私もとろう」「おれも」となる。そして酸素の減りが加速する。

 ゲーム理論の「しっぺ返し戦略」のようなものだ。「やられたらやりかえす」が最適解となるので、「誰が最初に仕掛けるか」の駆け引きがおもしろい。


 また、海底探検がゲームとしてうまくできているのが、逆転のチャンスが大きいこと。

 3ゲームプレイするのだが、回を重ねるごとにマス(=財宝)が減っていくので、1回目より2回目、2回目よりも3回目のほうが早く深海に潜れるようになる。また財宝を手にしながら戻ってこれなかったプレイヤーがいた場合、その財宝はまとめて沈んでいるのでそれを手にすれば一挙に高得点を稼げる。

 1ゲーム目はせいぜい20点ぐらいしかとれないが、3ゲーム目では40点ぐらい稼げることもある。序盤で大勢が決してしまうとつまらないが、後になるほど高得点を稼げるので最後まで盛り上がりを失わなくていい。


 箱には、プレイ人数は2~6人とあったが、3人ぐらいでやるのがよさそう。5人でやったところ、酸素がものすごいスピードで減っていってほとんどのプレイヤーが財宝を手にできなかった(引き返すタイミングが悪かったのもあるけど)。6人でやったら深いところの財宝なんてぜんぜん手にできないんじゃないだろうか。

  何人でプレイしても「酸素の総量が25」なのが良くないんだよな。そのへんは自分で勝手に調整して、「6人のときは酸素の総量を50にする」とかにしたほうがおもしろくなりそう。


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2022年2月18日金曜日

【カードゲームレビュー】ヒットマンガ

ヒットマンガ

 ルールはいたってかんたん。遊び方はかるたと同じ。読み手が札を読み、他のプレイヤーがそれを取る。

 ただ、かるたと違うのは読み札には絵(マンガのひとコマ)しか描かれていないこと。読み手は、「そのキャラクターが言いそうな一言」を考えて声に出し、他の人はその台詞から絵を逆算するのだ。

 言ってみれば、読み手は大喜利の「写真で一言」をおこない、他のプレイヤーはその回答から「お題」をあてるわけだ。


 自分が読み上げた札を誰にも取ってもらえなかった場合、読み手にペナルティがあるので、なるべく伝わりやすいセリフを考えないといけない。

 これが意外とむずかしい。というのも、似たシチュエーションの絵が何枚かあるのだ。本当のマンガだと「おまえは誰だ!」みたいな短いセリフが多いが、それだとなかなか絞れない。

 そこで、絶妙なセリフを考えることが必要になるわけだが、それだけでなく演技力も必要となる。言い方ひとつで、女性らしさ/悪役らしさ/コミカル/シリアス/哀愁などを感じさせないといけないわけだ。

 ぼくは人より羞恥心が少ない人間なので全力で「あたしはプリティーアイドル♪ みんな応援してね♡」みたいなセリフでも言えるが、これは自意識過剰な中学生ぐらいだときつそうだ。逆に、自分の殻を破るトレーニングにもなるかもしれない。表現力や想像力が鍛えられそうだ。

 なによりいいのは、ルールがめちゃくちゃかんたんなこと。誰でも20秒ぐらいでルールを理解できる。子どもでもすんなりわかる。


 ただ、マンガを読みなれていない人にはむずかしいかもしれない。

 お正月に妻の実家でやったのだが、ほとんどマンガを読まない義父はぜんぜん札をとれなかったし、読むのも下手だった(他の人に伝わらない)。

 またうちの八歳の娘も、読んでいる漫画の幅が狭い(藤子不二雄とちびまる子ちゃんとコナンぐらい)ので、〝漫画の文法〟をいまいち理解していない。この表情はこの感情を表す、この効果線はこういう状況に使われる、といった〝漫画の文法〟を知らないとむずかしいんだよね。

 とんでもなくシンプルなルールでありながら意外と奥が深い。


 直感的なルールでわいわい盛り上がれるので、初対面の人とでも楽しめそう。初対面の人とカードゲームやるってどんな状況だよ。

 欠点としては、絵が有限個しかないので同じメンバーで何度もやるゲームではないということ。
 絵を変えた続編を出してほしいな(「リニューアル版」もあるが、これは単に枚数を減らしただけらしい)。


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2021年12月28日火曜日

とりき

 よく小学生とドッチボールをする。


 ドッチボールがはじまるときの小学生たちの会話。

「チーム分けどうする?」

「じゃあ〝とりき〟な」


 とりき?

 鳥貴族?

 首をかしげていると、男の子ふたりが「とーりっき!」と言いながらじゃんけんをはじめた。
 勝ったほうから、他のメンバーを指名していく。

 ああ、あれか。
 ぼくが小学生のときは〝とりあいじゃんけん〟と呼んでいた(〝とりき〟の〝き〟ってなんだろう?)。

 要するに、代表者ふたりによるドラフト会議だ。
 じゃんけんで勝てば、好きなメンバーを自チームに引き入れることができる。負けたほうは残ったメンバーの中から、好きな子を選ぶ。
 ひとりずつ獲得するとまた「とーりっき!」とじゃんけんをおこない、ドラフト二巡目がスタートする。


 ぼくが子どものときもやってたけど、けっこう残酷なんだよなー。
 最後のほうまで残った子がかわいそうだなー。ぼくも指名されるのは後半だったなー。

 とおもいながら見ていたら、最後にひとりが残った(子どもが奇数だった)ときの反応に息を呑んだ。

「いるかいらんか、じゃんけんぽん!」


 ぞっとした。
 おいおいおい。それはさすがにひどすぎるだろう。


 じゃんけんで勝ったほうは、残りひとりを「いる」か「いらん」で選ぶというのだ。
 いくら「ドッチボールにおいて」という前提があるとはいえ「いらん」を宣告される子の身にもなってみろよ。

 あわててぼくが
「『いらん』ってのは言われた子が嫌な気持ちになるから、最後のひとりはじゃんけんで勝った方のチームに入ることにしよう」
と止めに入った。

 ふだんなるべく子どもの好きに遊ばせるようにしているが、このときはおもわずたしなめてしまった。




 ほんと、子どもって残酷だよね。
 ぼくが子どものときも同じことやってたけど。

 なにがひどいってさあ。ドッジボールだぜ。
 まだ野球ならわかるよ。メンバー全員に打順がまわってくるから、へたな子を入れるぐらいなら人数を減らして、その分うまい子に一回でも多く打席が回る方がいい。
 でもドッジボールに関しては、人数が増えて得することはあっても損することはまずない。ひとり残ったら「チームに入れる」でいいじゃん。


 まあ〝とりき〟はある意味公平ではある。
 グーパーで別れた場合は戦力が著しく偏ることがあるが、〝とりき〟であれば実力が伯仲する。強い子と弱い子がバランスよく両チームに入るので、ゲームとしては盛りあがる。

 しかしなあ。公平がいいとはかぎらんよなあ。
 最後にぽつんとひとり残されて、「おまえいらん」と宣告される子からしたら、死ねと言われるに等しいぜ。たかがドッジボールとはいえ。


〝とりき〟は絶対こうなるんだよね。
 強い子同士で〝とりき〟をした場合もそうだし、いちばん弱い子同士で〝とりき〟をさせても、結局強い子からとられてゆくから「三番目に弱い子」と「四番目に弱い子」が残ってしまう。

 なので、ぼくがドッジボールに加わるときは「大人がいるときは大人を最後に指名すること」と決めた。

 これで「最後に残されて『いらん』と言われる子」はいなくなるし、前半で目ぼしい選手が取られてしまって盛りあがりが後半失速するという〝とりき〟の構造的欠陥も軽減することができる(大人は強いからね。へへん)。


 だから、プロ野球のドラフト会議も、「その年の目玉選手は最後に指名すること」っていうルールにしたらいいよね。
 一番くじのラストワン賞みたいにさ。



2021年12月9日木曜日

【カードゲームレビュー】UNO FLIP(ウノ フリップ)

UNO FLIP(ウノ フリップ)


 みなさんご存じUNO の上級者バージョン。

 みなさんご存じって書いたけどみんな知ってるよね? 知ってるという前提で話しますよ。UNOを知らない人はお引き取りください。




 UNO FLIPは、表はふつうのUNOとほぼ同じ。

 え? ふつうのUNOがわからないって?

 おまえまだいたのか! さっき帰れって言っただろ! とっととけえれ! パッパッ(塩を撒く)


 ええと、どこまで話したっけ。
 そうそう。表はふつうのUNOのほぼ同じってことだね。
 ちがいといえば、ドロー2がドロー1になってることぐらい。
 そして「フリップ」というカードがあること


 誰かが「フリップ」を出せば、すべてのカードを裏返しにしないといけません。
 ユーザーの手持ちカードも、山札も、捨て札も。

 そして「ダークサイド」に切り替わる(表側は「ライトサイド」)。

 ダークサイドになっても基本ルールは同じ。
 色か数字がカードを出していく、残り1枚になったらUNOと言う、そのへんはおんなじ。

 ただ、特殊カードが少々えげつない。
 5枚引かせる「ダークドロー5」とか、全員スキップしてもう一度おれのターンになる「ダークスキップ」とか、指定された色が出るまで山札からカードを引きつづけなくてはならない「ダークカラーワイルド」とか。
 特に「ダークカラーワイルド」は防ぎようがない(指定された色を所有していても、新たに出るまで山札から引きつづけなくてはならない)し、運が悪いと10枚以上引かされることも。キングボンビーのような存在だ。

 ダークサイドにも「フリップ」があり、出されると再びライトサイドに戻る。
 ライトサイドとダークサイドをいったりきたりしながら攻略を目指すという『ドラクエ7』のようなゲームだ(わかりづらい例え)。




 カードの両面を使うってことは、他の人が持ってるカードの裏側を見ておけば、フリップ後の所有カードが全部わかっちゃうんじゃない?
 とおもったあなた。甘い。

 たしかにそのとおりだ。
 他人のカードをよく見れば、「あああいつダークカラーワイルド持ってるな」ということはわかる。

 だが他人のカードをずっとおぼえておくのはものすごくむずかしい。そもそも自分が何を出すか考えるのでせいいっぱいで、他人のカードを見ている余裕なんかない。

 仮に他人のカードがわかったところで対策を打ちづらいのがUNOのおもしろいところだ。
 だから「他人の(裏返した後の)カードがわかる」というのはほとんどアドバンテージにならない。




 欠点といえば「フリップ」が連続して出されたときに山札や捨て札を裏返すのがめんどくさいことと、ダークサイドの色が微妙なこと。

 ライトサイドが青、黄、赤、緑で、ダークサイドは青、ピンク、紫、オレンジ。
 そう、青がかぶってる。
 厳密にいえばダークサイドのほうがちょっとだけ明るい青なんだけど、そして両面に似た色があってもゲームの進行上特に問題はないんだけど、でもなんかイヤ。

 4色中1色だけよく似た色ってのが気持ち悪いんだよなー。
 ぜんぶ同じにするか、ぜんぶちがう色にするかにしてほしい。


 そのへんをのぞけばとってもスリリングでおもしろいゲーム、UNO FLIP。

 裏も気にしながらカードを出さないといけないのでより戦略性が増す。

「フリップ」カードを抜けばふつうのUNOとしても遊べるよ。……あ? ふつうのUNOがわからない? まだいたのかてめえ、いいかげんにしないと警察呼ぶぞ!!


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2021年11月24日水曜日

ポートボールにおけるドリブル再発明の瞬間

 ポートボールを知っているだろうか。

 Wikipedia『ポートボール』


 バスケットボールの子ども向け版というか。だいたいのルールはバスケットボールと同じだが、いちばんのちがいはゴールリングの代わりに人が立つこと。台の上にゴールマンが立って、その人にボールを渡せば得点が入る。

 みんな小学校でやったよね? とおもったが、今調べたら大阪発祥のスポーツなので全国区ではない可能性もある。兵庫県の小学校に通っていたぼくは何度かやったことあります。


 どんなへたくそでも適当にボールを蹴っていれば得点が入る可能性のあるサッカーとちがい、バスケットボールはある程度技術がないと点が入らない。小学校低学年だとそもそもゴールの高さまでボールが届かない、なんてこともある。

 その点ポートボールなら、ゴールは低い(台に乗ってもにせいぜい二メートルぐらい)し、シュートが正確でなくてもゴールマンが手を伸ばしてキャッチしてくれる。




 小学校低学年の子どもたちとよく公園で遊ぶ。

 子どもが未就学児のときはおにごっことかけいどろとか、とにかく走る遊びが主流だったのだが、ドッジボールなど多少複雑な遊びをやるようになってきた。

 ただ、ドッジボールって小学校低学年の遊びの定番でありながら、万人が遊ぶのにはあまり向いてないスポーツなんだよね。
 なぜなら強い子にばかりボールが集中するから。

 強い子は投げて、当てて、キャッチして、当てられて外野に行って、また当てて内野に復帰して……と八面六臂の活躍を見せる一方、弱い子は「逃げる」以外にはほとんどやることがない。

 いやほんと、「すごいスピードで飛んでくるボールから逃げまどい、ボールをぶつけられて痛い目に遭い、外野に行ってぼーっと過ごし、たまに転がってくるボールを拾って強い子にパスするだけ」のスポーツなんかおもしろいわけないよね。ほぼ罰じゃん。
 ドッジボールがスポーツ嫌いを生みだしていると言っても過言ではない。

(ちなみに、男子はそこそこ下手な子でも積極的に敵を狙いにいくのに対し、女子はそこそこうまい子でも空気を読んで自分では投げずに味方にパスすることが多い。既にはっきりと行動に男女差があっておもしろい)


 そんなわけで、ボール遊びが上手な子も下手な子もそこそこいっしょに楽しめるスポーツはないかなーと考えて、小学校のときにやっていたポートボールを思いだした。
 あれなら下手な子でもぼちぼち活躍できるかも。

 ということで、子どもたちにルールを説明してポートボールをやることにした。

  • ゴールマンは大人がやる(ゴールマンはただ立つだけであまりおもしろくないので。またゴールマンは背が高い人でないと点が入らないので)
  • ドリブルは教えなかった。うまい子のワンマンプレーにならないように、パスをつながないと点をとれないようにした。
  • 公式ルールだと2歩まで歩いていいらしいが、低学年には「2歩まで」を意識するのは難しい。また「3歩歩いた」「いや2歩だ」で喧嘩になることが目に見えているので、シンプルに「ボールを持っている人は1歩も歩いてはいけない」にした。投げるときに1歩踏みだすぐらいは黙認。
  • 危険な接触を減らすため「ボールを持っている人から奪うのは禁止」とした。ボールを取ったらあわてなくていい。小学校低学年には「一瞬で状況を把握してパスコースを決める」のは難しすぎる。スチールが禁止なので、ボールを手に入れるには、パスをカットするか、こぼれ球を拾うかしかない。
  • 怪我や喧嘩を招かないよう、2人同時にボールに触れたときはじゃんけんで所有権を決めることにした。




 ということで、小学2年生4人+大人2人でポートボールをやってみた。

 うん、いい。かなり白熱する。

 パスをつながないと点がとれないので、全員にまんべんなくボールを触る機会がある。ゴールマンを除けば1チーム2人しかいないので、必然的に下手な子にもボールがまわってくる。これが1チーム4人とかになると下手な子はパスしてもらえなくなるんだろうけど……。

 子どもは走りまわるけど大人はまったく走らなくてもいい、というのもいい。

 子どもは体力が無尽蔵にあるので、子どもといっしょにおにごっこなどをやっていると大人が先にばてるのだ。

 気を付けないといけないのは、なるべく接触を避けるようなルールにしているが、それでもやはりボールをめぐって子ども同士の接触が発生することだ。お互いに頭をぶつけるとか、別の子に引っかかれるとかは多少覚悟しなければならない。

 そうか、小学校でドッジボールが人気なのは、プレイヤー同士の接触が少ないからってのもあるんだろうな。ボールをぶつけられるのは痛いけど、怪我をするほどじゃないもんな。




 子どもたちははじめてのポートボールを楽しんでいた。ルールもそれほど難しくないので、みんなすぐに飲み込めた。

 特に教えたわけじゃないけど、「パスをカットするためにボールを持っている子と、パスを待っている子の間に入る」なんてプレーも自然にできるようになった。

 ところが「パスをカットされないように、ボールを持っていない子が右に左に動きまわる」はなかなかできない。みんな、ぼーっと突っ立ってパスを待っている。目の前に敵がいるからパスがもらえるはずないのに。

 そういやぼくも小学校のときにサッカーをやっていたけど、コーチから「パスもらいに行け!」とよく怒られたなあ。
 小学生にとって「パスをもらいやすい位置に移動する」というのはかなり難しいのだ。自分を客観的に見る、俯瞰的な視点が必要になるもんな。




 おもしろかったのは、自然発生的にドリブルが生まれたことだ。

 歩いてはいけないので、パスコースとシュートコースをふさがれるとどうすることもできない。立往生だ。

 あるとき、ひとりの子がボールを少し前に投げて自分で拾いに行った。ちょっと投げる、拾いに行く。ちょっと投げる、拾いに行く。そうやれば少しずつ前に進めることに気づいたのだ。
 他の子が「あれいいの?」と訊いてきたが、「ボールを持ったまま歩いてはいけない」というルールは破っていないので問題ない。
 OKと答えると、他の子も真似をしはじめた。


 ちょっと投げて、拾う。またちょっと投げる、拾う。

 ああそうか。これは原始的なドリブルだ。この子は、教えられていないのに自然にドリブルを発明したのだ。


 想像だけど、たぶんバスケットボールのドリブルもこうやって生まれたんだとおもう。

 バスケットボールが生まれたとき、「ボールを地面にバウンドさせながらだったら歩いていい」というルールはたぶんなかったはず。あったのは「ボールを持ったまま3歩以上歩いてはいけない」というルールだけ。
 たぶん最初期のバスケットボールにはパスはあってもドリブルはなかったはずだ。

 だがあるとき、誰かが「ボールを地面にバウンドさせながらならルールに抵触せずに進める」ことに気づいた。周囲は「あれアリなの?」とおもっただろうが、ルール的にはセーフだった。
 そこでみなが真似をはじめ、ドリブルが生まれたのだ。

 

 今、ぼくはポートボールにおけるドリブル再発明の瞬間を目撃したのだ!


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2021年9月14日火曜日

【ボードゲームレビュー】ラビリンス

 

ラビリンス

 小学二年生の娘のために買い、娘といっしょに毎週やっているボードゲーム。
(二歳の娘も『カードを渡す係』をして楽しんでいる)

 迷路を通って宝物を全部手に入れスタート地点に早く帰ってきた人が勝ち、というゲーム。

 おもしろいのは、ターンごとに迷路の形が変わること。
 複数のピースによって迷路は構成されていて、ピースは一枚余る。その余ったピースを迷路に差し込むと迷路は形が変わる。そして入れたところの反対側からピースが一枚押し出される。
 次の人はそのピースを別の場所に入れる(元あった位置に入れることは禁止)。
 これをくりかえすことで、迷路はどんどん形を変える。四人でプレイすると自分のターンが再びまわってくる頃にはまったく別の形となっている。


「どうやったら自分が狙っている宝までの道を作れるか」
「他のプレイヤーは何を狙っているか」
「他のプレイヤーの邪魔をするにはどうすればいいか」
など、頭を使う要素もありつつ、運の要素もある。思わぬ経路で宝までの道がつながったり、たまたま他のプレイヤーが道をつなげてくれたりする。狙う宝がすぐ近くにあって、はじめから道がつながっていることもある。

 頭脳戦と運のバランスがいい。子ども相手に本気でやっても負けることもある。
 ぼくは子ども相手だからといって手を抜くことは嫌いなので(ハンデはいいが手加減はしたくない)、運の要素があるゲームはやっていて楽しい。

 

 このゲームに勝利するためには
「自分のコマが盤面の外に押し出された場合、反対側に移動する」
というルールをどう使うかがカギを握る。

 ついでのように書かれているルールだが、これをうまく活用できるかどうかで宝をとるスピードは大きく変わる。スーパーマリオブラザーズ3の2人プレイ時にできるミニバトルゲームとおんなじだね。うん、わかりやすい。


 このゲーム、数学者同士とか棋士同士で対戦したりしたらすごくおもしろいだろうな(相手が狙っている宝を開示すればなおおもしろい)。最適解を求める高度な頭脳戦が展開されて。

 シンプルなルールでありながら楽しめるゲーム。1986年発売だそうだから30年以上愛されていることになる。


 独自ルールをつくってもおもしろそう。

 たとえば「宝箱を手に入れたらもう追加でもう一回できる」とか「お化けを手に入れたら他のプレイヤーの宝を一枚リセットさせることができる」とかすれば運の要素が強くなる。
(続編ではこんな感じのルールが取り入れられているそうだ)

 逆に、本来は「一枚ずつカードをめくって次に手に入れる宝を確認する」というルールだが「いっぺんにカードをめくることができ、どのような順番で宝をとってもいい」というルールにすれば戦略性が増す。

 シンプルであるがゆえにいろんな遊び方ができるボードゲームだ。


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ボードゲームスペース初体験

2021年6月21日月曜日

君はよその子

 娘(小二)の友だちについておもうこと。


 Sちゃん

 娘のいちばんの親友。保育園のときからなので、一歳からの付き合い。
 小学校はちがうが、今も毎週のように遊ぶ。
「誰か誘う?」と訊いたらまっさきに「S!」と言う。
 家も近いし、両親も気さくな人なので誘いやすい。

 昨年、不登校になった(このブログにも書いた)。でも二学期ぐらいからふつうに学校に行くようになった。ただ慣れるのに時間がかかってただけらしい。

 よそのおっさんから見ても「頭いいなー」とおもう。頭良すぎて憎らしいぐらいのときもある。
 勉強ができるのもそうだけど、それ以上に場の空気を読むことや、さらには周囲の意見を操作するのがうまい。
 公園で遊ぶとき、自分の好きでない遊びになりそうになったときに、表立って反対するわけでなく「ん-。でもそれだと××だから○○のほうがよくない?」みたいな感じでうまいこと自分のやりたいことに誘導する。
 Sちゃんとその妹がおもちゃをもらうと、「こっちほしい!」とは言わずに、わざと欲しくないほうを「あっ、これ(妹)ちゃんが好きそう!」とか「(妹)ちゃん、これおもしろいよ!」とかそそのかして、巧みに妹にいらないものを選ばせる。メンタリストか。

 そんな子だから、遊ぶときはたいていSちゃんが中心になる。走るのも速いし頭を使ったゲームも強い。
 当分はクラスでも中心人物だろうなあ。


 三兄弟

 こちらも一歳からの付き合い。なんと三つ子(女二人、男一人)。三卵性三つ子。
 娘とは小学校はちがうが毎週遊ぶ。

 三つ子なのに、引っ込み思案、お調子者、しっかり者と性格がまったくちがうのがおもしろい。お調子者がふざけて引っ込み思案と喧嘩になり、しっかり者は我関せずといった様子で冷ややかに見ている……なんてことがよくある。

 うち二人は運動神経がいいのだが、一人はふつう。決して運動が苦手なわけではなく平均ぐらいにはできるのだが、残り二人がよくできるのでどうしても見劣りしてしまう。気の毒だ。

 遺伝子もよく似ていて、育った環境もまったく一緒なのに、ぜんぜん違う三人(顔は似ているが)。
 この三人を見ていると、子どもがどう育つかなんて遺伝子でも育て方でもなく、運で決まるんだなあとおもう。


 Tくん

 娘の保育園のときの友だち。これまた小学校はちがう。
 妙に気になる子。というのも、ぼくの子どものときに似ているから。

 人の話を聞かない、落ち着きがなくてひとところにじっとしていられない、怒ると手が付けられなくなる、好きなことには集中するが興味のないことはまるでだめ、身のまわりのことはだらしない、どんくさい、プライドが高い……。
 子どもの頃のぼくといっしょだ(今もあまり変わっていない)。
 でもTくんの親には言ったことがない。悪口としか受け取られないだろうから。

 昔のぼくを見ているようで、すごく気になる。ちょっとだけ育てたいとおもうぐらい。

 Tくんと会ったときは追いかけまわす。「おーい、Tー! 遊ぼうぜー! おまえの大好きなおっちゃんが来たでー!」と。Tは嫌がって逃げる。だけどぼくにはわかっている。本気で嫌がっているわけではないと。

 このTくん、発達障害と診断されたらしい。
 じゃあぼくもきっと発達障害だったんだろうな。当時はそういう言葉がなかったからばれなかっただけで。
 だからTくん、大丈夫やで。このおっさんもそこそこまっとうに生きてるから。


 Nちゃん

 娘のライバル。
 同じ保育園、同じ学校、一年生のときも二年生のときも同じクラス。家も近い。
 だけどあまり仲良くはない。しょっちゅう喧嘩をしている。

 性格がとにかく娘と合わないのだ。よくいえばおおらか、悪くいえば無神経なNちゃんと、神経質な娘。
 娘が怒ってばかりいる。そしてNちゃんは娘が怒るのが楽しいらしく、わざと怒らせるようなことばかりする。いたずらをしたり真似をしたり。怒られてもへらへらしている。
 娘が悪さをしてぼくに叱られると、すかさずNちゃんが近づいてきて「なあなあ、なんでさっき怒られてたん?」とうれしそうに訊いてくる。人の不幸が大好きなのだ。

 あまりに喧嘩ばかりしているので、だったら近づかなきゃいいじゃんとおもうのだが、小学生の世界は狭いのでなんだかんだで付き合っている。他に誰もいないときは娘からNちゃんを誘ったりもする。そして喧嘩になる。好きにせえ。


 Mちゃん

 娘の小学校の友だち。
 今までずっと保育園の友だちと遊んできたが、この子は小学校からの友だち。

 父親として感じるのは、やっぱり遠慮というか壁があるなってこと。
 保育園からの友だちはとにかく遠慮がない。そりゃそうだ。なんせ向こうが一歳のときからの付き合いだ。ぼくは毎日保育園に行くので、向こうから物心ついたときから近くにいるおっさんだ。当然遠慮がない。容赦なくぶんなぐってきたりする。
 だが小学校からの知り合いであるMちゃんはそうではない。突然ぼくの背中に飛びのってきたり、いきなりぼくのケツを叩いてきたり、ぼくをブタ呼ばわりしてきたりしない(ぼくにSM趣味があるわけではないよ)。
 せいぜいボールを強めに投げつけてくるぐらいだ。

 おっさんはもっと粗雑に扱ってほしいんだけどなあ。さびしいぜ。


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質問できない子



2021年6月8日火曜日

オリジナルの公園あそび

 子どもたち(小学校低学年)と遊んでいるときに思いついた、オリジナルのあそび。


スパイおにごっこ

(5人~)

1. まず鬼を決める。
 くじ引き、または鬼が選ぶことで、スパイをひとり決める。
 みんなが目をつぶって後ろを向き、鬼がこっそりスパイの背中をタッチする。鬼とスパイにだけは、誰がスパイかわかる。他の子には誰がスパイかわからない。

2. 全員ばらばらに離れた状態になってからおにごっこスタート。
 鬼は他の子を追いかける。スパイは鬼から逃げるふりをしながら他の子に近づいてタッチする。
 タッチしているところを他の子に見られると鬼だとばれるので、なるべくこっそりと。

3. タッチをしても鬼は鬼のまま。タッチされた子はスパイになる。
 どんどんスパイが増える。

4. スパイはうそをついてもいい。

5. 最後のひとりが捕まったら終わり。


 子どもは嘘や芝居が上手でないので、たいていすぐにばれて中盤からはふつうのおにごっこ(増え鬼)になる。
 鬼とスパイが会話をしているところを見られたりして、すぐにばれる。




全員おにごっこ

(4人~)

1. 全員が鬼であり、鬼から逃げなければならない

2. 他の子の背中をタッチすれば1点。背中以外はタッチしても無効。
 腕などをつかむのは禁止。

3. 同じ子をタッチできるのは1回まで。
 また、協力してお互いにタッチしあうのは禁止。

4. 最初に3点稼いだ子の勝ち。


 タッチをされてもマイナスにはならないので、積極的に攻めたほうがいい。ずっと背後を守っていると点が稼げない。




じゃんけんおにごっこ

(基本的に3の倍数。6人がベスト)

1. グーチーム、チョキチーム、パーチームに分かれる。

2. グーチームはチョキチームをタッチする。チョキチームはパーチームをタッチする。パーチームはグーチームをタッチする。

3. 標的となるチーム全員をタッチしたチームの勝ち。


 ずっと逃げていると勝てないのでこれまた積極的に攻めたほうがいい。
 足が遅い子でもうまく立ちまわれば捕まらずに済む(グーチームの子はチョキチームの近くにいるかぎりパーチームは近寄りづらい)。

 四チームでもできる。AがBを狙う、BがCを狙う、CがDを狙う、DがAを狙う。こっちのほうがより戦略が重要になる。AとCはお互い標的ではないので、いっしょにいることで「B・Dに襲われにくい」というメリットがある。そうなるともちろんB・Dも手を組むことになる。




ボールあてサバイバル

(3人~)

1. あまり広すぎないスペースでおこなう。ボールがふたつ以上あるといい。

2. 他の子にボールを当てる。先に三回当てた子の勝ち。


 すごくシンプルだが非常に熱くなる。いちばん無防備なのはボールを投げようとしているときなので、積極的に攻めすぎても狙われやすくなる。
 同盟を結んだり、裏切りが発生したりといった展開もある。
 たいへんアグレッシブな遊びなので、男の子は大好きだが女の子は敬遠しがち。




ワニのいる川を渡る

(3人~)

1. ワニチームと人間チームに分かれる。ワニチームは1~3人。川の幅などによって調整する。

2. 10メートルほどの間隔をあけて2本の線を引く。その線の間が川、線の外側が陸地。

3. ワニチームは川の中しか移動できない。

4. 人間チームは片方の陸地からもう片方の陸地に移動する。途中でワニにタッチされたら、元の陸地に戻る。

5. ワニ以外チームは、制限時間(3分ぐらい)の間に2人(ここも人数によって調整)が川を渡れば勝ち。制限時間内に渡れなければワニチームの勝ち。


 個人戦ではなく「何人かは捕まってもいい」というのがポイント。
 誰かがおとりになっている間に他の子が川を渡れば勝てる。
 何度捕まっても再スタートできるので、小さい子もいっしょに遊べる。

 今回紹介した遊びの中では、これがいちばん誰もが楽しめる遊び。



2021年5月10日月曜日

男と女の外遊び

 週末は公園で遊ぶ。
 娘と、その友だちと。
 多いときだと十五人ぐらいの子どもと遊ぶことも。
 何か月か前、子ども十二人+おっさん一人でけいどろをした。

 子どもたちの成長とともに遊びも変わってきた。
 四~五歳のときはおにごっこ、かくれんぼ、自転車に乗るなど単純な遊びが多かったが、小学二年生になった今ではドッチボール、缶けり、けいどろなどちょっと複雑なルールのゲームをするようになった。

 二年生になると、男女別で遊ぶことが増えた。
 少し前までは男女みんなでわいわい遊んでいた。今もいっしょに遊ぶが、気づくといつのまにか男グループ女グループに分かれている。

 ただぼくらの時代とちがうのは「好きな遊びがそれぞれちがうから別々に遊ぶ」だけで、「男なのに女子と遊ぶなんて恥ずかしいぜ」みたいな雰囲気はぜんぜん感じないことだ。
 四年生ぐらいの子でも男女混成でドッチボールをしたりしているのをときどき見るから、時代は変わったんだなあ。ぼくが小学四年生のときなんて休みの日に女子と遊ぶなんてめったになかった。


 時代が変わったと感じる一方で、男の子が好む遊び、女の子が好む遊びは昔とあまり変わらない(公園での遊びに関しては)。

 男子はドッチボールやサッカー、女子は鉄棒や縄跳びや長縄飛び。
 ぼくが小学生のときとほとんど変わらない。
 男子はやっぱり戦いが好き。はっきり勝ち負けをつけたがる。
 女子は争いを避ける。ひとりで技を磨いたり、みんなで協力する遊びが好き。これはもう生まれもっての性差なんだろうな(個人差あります)。

 ぼくは縄跳びも鉄棒も嫌いだった。苦手だったし。
 でも女子は鉄棒好きだよね。地上にいるより鉄棒にとまってる時間のほうが長いんじゃねえかっていうスズメみたいな女の子いるもんね。ずっとくるくる回ってる。
 やっぱあれかね。男子はちんちんがあるから鉄棒苦手なのかな。

 一方ドッチボールなんかははっきりと男女差がつきはじめる。
 ドッチボールって、苦手な子にとってはぜんぜんおもしろくない遊びなんだよね。ただボールをぶつけられるだけだもん。ぶつけられたらあとはほとんどやることないし。苦手→嫌いになる→ますます苦手になるの悪循環。
 けいどろだったら、足の遅い子でも助けてもらえたり、はさみうちによって敵をつかまえたりできるからみんな楽しめるんだけどね。


 他方、男子も女子も大きい子も小さい子も運動が得意な子も苦手な子も熱くなる遊びがある。
 リレーだ。

 まず、ルールがとにかくわかりやすい。三歳でもわかる。

 それから、走るのが遅い子でもがんばろうという気になる。遅い子が縮めた一秒と速い子が縮めた一秒は同じ価値を持つ。
 ドッチボールやサッカーは、何もしない人がいてもチームが勝つことはあるが、リレーだと何もしない人がいるチームは確実に負ける。だからみんながんばる。

 あと、ゲームバランスを調整しやすい。
 速い子と遅い子を同じチームにしたり、遅いチームは人数を減らしたり、速い子は二周続けて走らせたり、小さい子は半周前からスタートさせたり。
 さらに大人(主にぼく)が入ることでより調整がしやすくなる。差がつきそうなときは本気で走ったりわざとスピードを落としたりして、接戦になるように調整する。
 あからさまに手を抜いて走ると同じチームの子らから怒られるので、一生懸命走っているふりをしながら上手に手を抜かなくてはならない。わざと大回りをしたり。接待リレーだ。

 リレーはおもしろい。誰もが熱くなる。だからドラマが生まれる。
 箱根駅伝が何十年にわたって人気コンテンツでありつづけるのもよくわかる。


2021年4月22日木曜日

姉妹げんか

 長女(七歳)と次女(二歳)。

 五つも離れてたら喧嘩することはないよねとおもっていたらおおまちがい。毎日のように喧嘩をしている。

 喧嘩の原因は
「次女が長女のおもちゃを勝手に使って、長女がとりあげた」とか
「次女がおもちゃで遊んでいたら長女が『貸して』と強引にとりあげた」
とか些細なものだ。

 まともにやりあえば次女に勝ち目はない。力でも口でも二歳児が小学生にかなうはずがない。

 だが要領は次女のほうがずっといい。次女は自分の持っている武器を心得ている。

 姉と喧嘩をすると「おかあさん、ねえねがばかっていったー」とか「おとうさん、ねえねがキックしたー」とか言いつけにくる(キックといっても足が軽くふれた程度だが)。

 ちゃんと「弱い自分」をわきまえていて、その弱さを武器に、もっと強い大人に訴えるのだ。しかも「ねえねがおもちゃをとった」とは言わない。なぜならそのおもちゃは姉のだから。その論点で戦うと分が悪いことをわかっているのか、「ばかっていった」「キックした」などの攻めやすいところを訴えるのだ。したたかだ。


 二歳ともなると、言葉こそまだまだ未熟なものの、いろんなことを理解している。
「これは姉のおもちゃだから勝手に使うと怒られる」ことはちゃんとわかっている。
 その証拠に、姉が近くにいるときはぜったいに手を出そうとせず、姉がトイレに立った隙を狙ってすかさず手を伸ばすのだ。

 ぼくはそれをにやにやしながら見ている。「あーあー。長女が戻ってきたら怒られるぞー」とおもうが、何も言わない。どうなるんだろうと楽しみながら見ている。
 案の定、長女が戻ってきておもちゃをとりあげる。泣く次女。しかしこのときは「ねえねがとったー」とは言いつけにこない。使ったらいけないものを使ったとわかっているのだ。

 そう。「弱い自分」という武器も、使いすぎれば力を失う。いつもいつも被害者面していてはやがて相手にされなくなるとわかっているのだ。だからここぞというときに使う。やるやん。



 次女が「ねえねがばかっていった―」と言いにきても、ぼくは長女をしからない。
 基本的に姉妹げんかはほったらかしだ。
 次女を「ばかちゃうのになー」「そっか。キックされたんかー」と慰めはするが、現場を見ていない人が一方的に裁くことはしないよう心がけている。

 ぼくの姪は、よく四歳下の弟をいじめて怒られている。

 弟と喧嘩をする → まわりの大人が弟にやさしくする → 姉はおもしろくないからますます弟に厳しくあたる → ますます大人は弟にやさしくする

 これを何度も見た。
 弟のほうもかわいそうだが、姉のほうもかわいそうだ。年上というだけで、喧嘩をしたら罪が重くなるのだから。

 だからぼくは、娘たちが喧嘩をしていたらどちらの肩も持たないようにしている。
「ねえねに○○されたー」「(妹)が××してきた!」と言いにきても、「ふーん。おとうさんは見てへんかったわー」と言うだけだ。

 

 それにしても。次女のほうはほんとにうまくやっている。

 きょうだいの下の方は要領がいいというが、それにしたって二歳でここまでうまく立ちまわれるものだろうか。

 ぼくや妻が長女に注意をすると、次女はそれを真似する。

妻「脱いだパジャマかたづけてよ」
次女「ねえね、ぬいだパジャマおいてるー」

ぼく「椅子の下にごはん落ちてるから拾っといて」
次女「ねえね、ごはんおとしてるー。あかんなー」

 そのたびに長女は神経を逆なでされている。二歳児に説教されるほど腹の立つことはない。
 こいつ、ほんとはぜんぶわかっててわざと姉を怒らせるようなこと言ってるんじゃないか。次女を見ているとそんなふうにおもえてそらおそろしくなる。

 でも叱れない。だって二歳児かわいいもん。二歳児最強にして最恐。



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2021年3月25日木曜日

【ボードゲームレビュー】街コロ通

街コロ通

 最近、カードゲーム『街コロ通』で七歳の娘と遊んでいる。

 きっかけは娘と行ったボードゲームカフェ。そこで『街コロ』をプレイした。
 おもしろかったので買おうかとおもっていろいろ調べていると、姉妹品の『街コロ通』なる商品があることを発見した。
 ユーザーの評判を見ていると、こっちは運の要素が大きく、終盤での逆転可能性が高いらしい。子どもとやるなら運要素が大きいほうがおもしろい。大人ばっかり勝つのも、大人がわざと手を抜くのもつまんないもんね。ぼくは本気を出して勝ちたいんだ!


 ってことで『街コロ通』購入。
 期待にたがわぬおもしろさだった。
 『街コロ通』をかんたんに紹介しよう。


ルール

 サイコロを振り、施設を買う。
 施設にはそれぞれ効果があり

  • 自分がサイコロで特定の目を出すと銀行からお金をもらえる施設
  • 誰かがサイコロで特定の目を出すと銀行からお金をもらえる施設
  • 誰かがサイコロで特定の目を出すと目を出したプレイヤーからお金をもらえる施設
  • 自分がサイコロで特定の目を出すと特別な効果がある施設

がある。
 また施設によっては相乗効果をもたらすものもあり、同じ種類の施設を集めるともらえるお金が増えたりする。
 テレビゲーム『いただきストリート』にちょっと似ている(『いただきストリート』はぼくのもっとも好きなゲームだ)。

 お金を貯めて、高価な「ランドマーク」を3つ建てた(または特別なランドマークを1つ建てた)プレイヤーの勝利となる。


絶妙なカードバランス

 前作『街コロ』よりもはるかにゲームバランスがいい。
 というのは、「圧倒的にいいカード」「ぜんぜん役に立たないカード」が存在しないからだ。

「このカードはお金をたくさんもらえるけど、もらえる確率が低い」
「このカードは単体だとあまり価値がないが、他のカードとの相乗効果で後半大きな価値を生む」
「このカードは大金を稼ぐ可能性があるが前半はほぼ紙くず」

みたいな感じで、どのカードも一長一短ある。

「確実性の高い方法でコツコツ稼ぐ」
「ひたすら他人から金を巻きあげることを狙う」
「特定の種類のカードを集めて後半のコンボで一攫千金」
など、いろんな戦略が立てられるし、どれかの戦略がとりたてて強いということもない。すべてはカードとサイコロ運次第だ。


逆転の可能性高め

 モノポリー、桃鉄、いただきストリートなど「物件を集めて金を稼ぐ」系のゲームは、後半はほぼ逆転不可能になる。金を持つプレイヤーが物件を買い占め、物件をたくさん持っているから金が集まる。後半になるにつれて格差がどんどん拡大していく。現実といっしょで、貧乏人が金持ちを打ち負かすことはほぼ不可能だ。
 1位のプレイヤー以外は退屈な終盤を過ごすことになる。

 かといって桃鉄のキングボンビーシステムはあまりに理不尽だ。こつこつ貯めた財産が泡と化し、それまでの努力が一気に水の泡になってしまう。

『街コロ通』はそのへんがよく工夫されていて、後半になるにつれて貧しい者が有利になってくる。「10コイン以上持っているプレイヤーから半分をもらう」などのカードによって、貧しい者が金持ちから大金を巻きあげることができるのだ。累進課税。
 現金を持たないとランドマークが買えないが、現金を貯めていると他プレイヤーから巻きあげられやすくなる。おまけにランドマークは後半値上がりする。

 さらに「ビリにしか買えない良いランドマーク」もあり、逆転させる工夫が随所にある。
 かといって「前半の努力はなんだったんだ!」というほどではない。
 現金はとられやすいが施設がとられることはめったにない。中盤までにきっちりいい施設を建てた人が有利であることは変わらない。

 このバランスが絶妙。
 実際、何度かやったがたいてい終盤までもつれる展開になる。「あと1ターンあれば勝てたのに!」ぐらいの僅差。誰かひとりの圧勝、という展開はほとんど起こらない。


運と実力の絶妙なバランス

 運の要素が大きいが、とはいえ完全に運任せでもない。強いプレイヤーと初心者が対戦すれば、前者が九割は勝つだろう。

「現金を貯めこまずにどんどん使う」「コンボ施設をうまく利用する」「サイコロを1個振るほうがいいか2個振るほうがいいか自他のカードにあわせて判断する」「他プレイヤーが欲しがっている施設を先に買う」「他プレイヤーの収入や所持金を見てランドマークを建てるタイミングを決める」など、勝率を上げるための戦略はいくつも存在する。

 ただ、買うことのできる施設はゲームごとに変わるので、「いついかなるときも使える戦略」が存在しない。そのときの場のカードや他プレイヤーの持ちカードを見ながら「今ベストなカード」を選択しなければならない。

 だから毎回緊張感があるし、何度でも楽しめる。つくづくよくできたゲームだ。


対象年齢

 パッケージには10歳以上と書いているが、うちの7歳の娘でも十分楽しめんでいる。休みの日になると、起きてすぐ「街コロしよう!」と言いにくる。
 プレイヤーとしてだけではなく、銀行係もできる。
 20ぐらいまでの数の足し算・引き算ができればほぼ問題ない(一枚だけ「全員の所持金を均等に分ける」という割り算が必要になるカードがある)。

 ただ惜しむらくは、カードの説明文の漢字にふりがながないこと。そのせいで7歳は説明文が読めない(何度もやっているうちにおぼえたけど)。

 リニューアルする際はぜひふりがなをつけてください……!


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2020年9月15日火曜日

ころがスイッチ


ころがスイッチ ドラえもん ワープキット


小学一年生の娘が楽しみにしていたイベントが新型コロナウイルスで中止になり、目に見えて気落ちしていた。 

なにか家で遊べるおもちゃでも買ってあげるよとおもちゃ屋に連れていった。

で、娘が選んだのがこれ。

いいチョイス! ぼくもこういうの大好きだ!
子どもの頃、レゴとか積み木でこういうの作ってたし。
子どもの頃っていうか中学生になってもやってたし。

店頭価格で5,000円近く。
誕生日とかクリスマス以外では絶対に買ってあげない金額のおもちゃだけど、ぼくも欲しかったので「えーどうしても欲しいの? じゃあしょうがないなあ」とニヤニヤしながら迷わず購入。




期待を裏切らない出来だった。

ボールを転がして、ピタゴラ装置のようなものを作るおもちゃ。
直線レール、坂道、カーブはもちろん、

 下のドアから入ったボールが上のドアから出てくる(ように見える)「どこでもドア」

 ボールの動きが遅くなる「モグラ手ぶくろ」

 ボールが不規則な動きをする「タイムトンネル」

など、おもしろいギミックがたくさん。

(ただし「タケコプター」はボールが通過するとプロペラが回るだけなのでぜんぜんおもしろくない)

中でもぼくがいちばん気に入ったのは「エスパー帽子」。

ここにボールがやってくると直進するが、二個目のボールがやってくると今度は右に曲がる。

単純な仕組みなので、見ればすぐに「なるほどそういう仕掛けか」と納得できるのだが、これをおもいつくのはむずかしい。

シンプルなのに奥が深い。
大人も夢中で遊べるおもちゃだ。




七歳児ももちろん楽しく遊んでいる。

こうすれば失敗する。
ここをこうしたらうまくいく。

試行錯誤を重ねながらコースを作って遊んでいる。

今流行りの「プログラミング思考」ってやつだね。


うちには一歳十ヶ月児もいるんだけど、こっちも「ころがスイッチ」で楽しく遊んでいる。

レールの上にボールを置いて、それが転がる様子を見てきゃっきゃっと声を上げて喜んでいる。

彼女は凝った仕掛けは必要としておらず、ただボールが転がるだけでおもしろいようだ。


一歳も七歳も中年も楽しく遊べるおもちゃ。いいねえ。

一歳がコースを破壊して七歳がぶち切れるという事件が頻発するけど。


2020年8月11日火曜日

ドラえもん日本旅行ゲーム

T

どこでもドラえもん 日本旅行ゲーム ミニ


新型コロナウイルス感染者が増えている今、GoToキャンペーンとやらが始まった。
もちろんぼくは旅行には行かない。

感染するのも感染を広めるのも嫌だし、なにより出不精だからだ。
コロナ関係なく旅行にはあまり行かない。

そのかわりというわけでもないが、『どこでもドラえもん 日本旅行ゲーム ミニ』を買って七歳の娘と遊ぶ。

これぞ新しい生活様式の旅行だ。



サイコロのようなルーレットを回し、日本全国の都市の中からランダムに決められた目的地を目指す。
目的地は常に三つあるのでいちばん近いところを目指せばいい。
目的地に到達するとカードがもらえる。
カードの中には「ひみつ道具」が書いてあるものがあり、それを使うと、たとえば「4マス以内の好きなマスに移動する」といった効果がある。
最終的に所持しているカードの多いプレイヤーが勝ち。

『桃太郎電鉄』から、お金と物件と貧乏神をなくしたようなゲームだ。
(ちなみに「ミニ」じゃないほうはお金の要素もあるらしい)

ゲームバランスはなかなかいい。
目的地が三つあるので、どのプレイヤーもそこそこ目的地に到達できる。
「2か4か5が出たら目的地に到達できる」みたいな状況になるので、
「何回やっても目的地にぴったり止まれないー!ウキーッ!」みたいなことも起こりにくい。

また、カードの少ないプレイヤーが多いプレイヤーからカードを強奪できる「ふっとばし」というルールもあるので、前半で負けていても十分逆転は可能。

モノポリーや桃鉄のように序盤でほぼ勝負が決してしまうということもない。
何度かやったが、最終的には必ず僅差になる。



不満なのは、せっかくの「日本旅行ゲーム」なのに地名が身に付かないこと。

桃鉄の場合は目的地が「高知」とかになるので、遊んでいるうちに自然に都市の場所を覚えられる(おまけに物件を買う際に名産品も覚えられる)。

ところが『どこでもドラえもん 日本旅行ゲーム』は、目的地には大きく「中華まんドラ」と書かれていて、地名は目的地カードのすみっこに小さく「横浜」と書いてあるだけ。

だから子どもは「中華まんドラ」を探す(中華まんのコスプレしたご当地キティみたいなドラえもん)。
何度かやっているうちに「中華まんドラはここ!」と覚えるようになるが、「横浜」の場所はいっこうに覚えられない。

ご当地ドラえもんキャラ名と地名を逆にしてくれよ。
そしたら遊びながら地名を覚えられるのに。


しかもご当地ドラのチョイスが微妙なんだよね。

神戸は「セーラードラ」とか。なんじゃそりゃ。

かぼすドラ? 徳島だっけ? とおもったら大分だったとか(徳島はすだちだった、すまん)。

りんごドラ? ああ青森やね。あれっ、ないぞ。えっ、青森じゃなくて長野!? とか。(これはぼくは悪くない。りんごといえばふつう第一にくるのは青森だろ!)

あと神奈川や新潟や茨城のカードは二枚あるのに鳥取や島根や富山や福井や群馬は一枚もないとか。
バランスどうなってんだ。