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2024年4月4日木曜日

編集中 いちぶんがく その22

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



積み重なっていくCDの分だけ、遠藤のプライドもどんどん高くなっていく。

 (山内 マリコ『ここは退屈迎えに来て』より)




「うん、おれたちは死ぬんだよ、心配しなさんな」

リチャード・プレストン(著) 高見 浩(訳)『ホット・ゾーン ウイルス制圧に命を懸けた人々』より)




「お前はアルゼンチン国立図書館長か」

(杉元伶一『就職戦線異状なし』より)




さらに小声で申しますが、そういう人々は、あまり美しくない、まあ健康的かもしれないが人目にさらすべきではないような顔をしているのではないか、と思います。

(福田 和也『悪の対話術』より)




素直論に幻滅したようだった。

(矢部 嵩『保健室登校』より)




オーストラリアの砂漠で、重くて騒がしいバスケットボールを抱えて数年間を生きのびることができるだろうか。

(ヘレン・E・フィッシャー『愛はなぜ終わるのか』より)




嬉しい時にしか泣けない人なのだ。

(杉井 光『世界でいちばん透きとおった物語』より)




あなたにどうやって仕返しするか、時間をかけてじっくり考えなくちゃ。

(ジョージー・ヴォーゲル(著) 木村 博江(訳)『女の子はいつも秘密語でしゃべってる』より)




ありとあらゆる種類の負け犬と狂人をごった煮にしたスープ。

(平山 夢明『或るろくでなしの死』より)




最初に断っておくが、池上彰が悪いわけではない。

(武田 砂鉄『わかりやすさの罪』より)




 その他のいちぶんがく


2023年9月29日金曜日

いちぶんがく その21

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



ハンカチを持っていないことに、泣く予定はなかったんだな、という事情がうかがえる。

(津村記久子『この世にたやすい仕事はない』より)




「おかげさまでいま最悪な気分です」

(沢村 伊智『ぼぎわんが、来る』より)



「そんなに同情するなら、どこかバナナの国の大使にでもすればよかったのだ」

ミハイル・ゴルバチョフ(著) 副島 英樹(訳)『我が人生 ミハイル・ゴルバチョフ自伝』より)




やめてくれ、話さないでくれ、何も言わないでくれ、そんな物語のようなことをこれ以上しないでくれ。

(朝井リョウ『スペードの3』より)




それにしても、あなたはしょうもない世界に生まれてきました。

鳥羽 和久『君は君の人生の主役になれ』より)




「片腕もがれたとしても、左手だけで弾ける曲もありますし」

(二宮 敦人『最後の秘境 東京藝大 〜天才たちのカオスな日常』より)




Nさんのお父さんの「電話」は永遠に音量調節できず、私の母の「蟹」の殻は永遠に硬く、私の「スパゲッティ」は永遠に長い。

(穂村 弘『野良猫を尊敬した日』より)




「この鉄砲玉坊主(キャノンボール)ときたら」

(リチャード・マシスン(著) 尾之上浩司(訳)『運命のボタン』より)




「だって、もし勝てなかったらギャンブルが合法になるわけないでしょう?」

(チャールズ・デュヒッグ(著) 渡会 圭子(訳)『習慣の力』より)




ミニオンズみたいな生き物だ。

(サンキュータツオ『これやこの』より)




 その他のいちぶんがく


2023年5月17日水曜日

いちぶんがく その20

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



それは誰かというと、いまこの原稿を書いている人です。

(速水 融『歴史人口学の世界』より)




なんとこの学園では、創立者が銅像の姿で永遠に掃除をし続けているのです。

(辛酸なめ子『女子校育ち』より)




そのとき、ちょうど殺人の罪で死刑の執行を待つばかりとなっていた一卵性双生児の囚人が二人いた。

(ゲアリー・スミス(著) 川添節子(訳)『データは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学』より)




みんなどういう肉で口をもぐもぐさせているのか。

(東海林 さだお『がん入院オロオロ日記』より)




彼は笑おうとしているのだ。

(東野 圭吾『真夏の方程式』より)




しかし、何でも買える社会は、何でも買わなくてはならない社会でもある。

(岡 奈津子『〈賄賂〉のある暮らし 市場経済化後のカザフスタン』より)




それは、女というより人跡未踏の川にいる水中生物のように見えた。

(笹沢 左保『人喰い』より)




あとは味方のエラー2つ、スタンドの殴り合い2回、停電1回だけだった。

(ロバート・ホワイティング(著)松井 みどり(訳)『ニッポン野球は永久に不滅です』より)




機械から取り出した生地はしっとり指にからみつき、ぐにゃりと気を失った美少年のようだ。

(麻宮ゆり子『世話を焼かない四人の女』より)




元素には科学史があるように社会史もある。

(サム・キーン(著) 松井 信彦(訳)『スプーンと元素周期表』より)




 その他のいちぶんがく


2023年3月17日金曜日

いちぶんがく その19

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



だけど……と、六十男はグズグズと決心がつかなかった。

(内館牧子『終わった人』より)




つまり、糞野郎だった。

(西 加奈子『漁港の肉子ちゃん』より)




サンタクロースは、一種の破壊神として、クリスマスに忍び込んできた。

(堀井 憲一郎『愛と狂瀾のメリークリスマス』より)




樹海に早く着きたいから、その理由だけでポルシェに乗っている人はほかにいないだろう。

(村田らむ『人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』より)




赤手拭名人と呼ばれる腕利きの職人がいて、店の亭主は赤手拭親方などと呼ばれて、誰もが赤手拭を欲しがった、などという過去があったのだろうか。

(本渡 章『大阪市古地図パラダイス』より)




もし、人間の部分しかなかったら、生き延びられなかった。

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(著) 三浦 みどり(訳) 『戦争は女の顔をしていない』より)




老後破産してればいいのに。

パオロ・マッツァリーノ『サラリーマン生態100年史 ニッポンの社長、社員、職場』より)




ここには、異性と親しくなりたいという、邪念をはらんだ気持ちで男女が集まっている。

(石神 賢介『57歳で婚活したらすごかった』より)




母親がにわとりの素早さで振りむく。

(荻原 浩『海の見える理髪店』より)




これは読書の永久運動だ。

(岡崎 武志『読書の腕前』より)




 その他のいちぶんがく


2023年1月5日木曜日

いちぶんがく その18

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



未亡人ギャグも冴える。

(竹宮 ゆゆこ『砕け散るところを見せてあげる』より)




ああ、このままずっと君に回されていたい。

(爪切男『クラスメイトの女子、全員好きでした』より)




こんなことしてて いいのです

(ニコリ編『すばらしい失敗 〜「数独の父」鍜治真起の仕事と遊び』より(鍜治 真起))




かかりつけの釈迦に相談するべきだったのだ。

(上田 啓太『人は2000連休を与えられるとどうなるのか?』より)




三角の布は、おばあちゃん同様、臭い。

(『悪童日記』より)




自分の居場所を愛した記憶がない彼にとって、怒りや苛立ちをうじうじ反芻するのは、故郷に帰るようなものだった。

(大岡 玲『亀をいじめる』より)




おめでとう、人。

(岸本 佐知子『死ぬまでに行きたい海』より)




もしもキュウリが違法化されたらどうなるか、考えてみてほしい。

(ウォルター・ブロック(著) 橘 玲(超訳)『不道徳な経済学 ~転売屋は社会に役立つ~』より)




「腐らない人間なんていやしませんよ」と一蹴。

(特掃隊長『特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録』より)




死人をいやがるのはしばらくの間で、白骨ともなれば話し相手にもなった。

(石野 径一郎『ひめゆりの塔』より)




 その他のいちぶんがく


2022年11月2日水曜日

いちぶんがく その17

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



マイがいつものようにすっかり話に置いて行かれた顔で言った。

(冲方 丁『十二人の死にたい子どもたち』より)




ゼロ除算は全人類の目の敵なのです。

(いっくん『数学クラスタが集まって本気で大喜利してみた』より)




薄気味悪い笑いを浮かべたクラスメイトを破ってしまいたいと思った。

(又吉 直樹・ヨシタケシンスケ『その本は』より)




また、試合開始早々にベンチに下げられても、ロッカールームを爆破してやるなどと脅迫することもなかった。

(R・ホワイティング(著) 玉木 正之(訳)『和をもって日本となす』より)




鞠子は、遠慮とはさせるもので、するものではないと思っている。

(吉田 修一『パーク・ライフ』より)




例えば、電話の通話、 野球のホームランの数、コンピュータのプログラム、スポーツジムのトレーニングプログラム、 柔道の試合や、技の数(技あり一本)などにも使われる。

(今井 むつみ『ことばと思考』より)




私の考えがひどくゆがんでいたとしても、それを押しつけることができるのだ。

(マシュー・O・ジャクソン『ヒューマン・ネットワーク 人づきあいの経済学』より)




一人になりたいときには、テニスの松岡修造のような暑苦しいキャラクターは嬉しくありません。

(青木 貞茂『キャラクター・パワー ゆるキャラから国家ブランディングまで』より)




出会いはいつも平凡で、シングルカットされるような劇的な瞬間なんて、ひとつもなかったのです。

(岡本 雄矢『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』より)




あなたや私のなかには、たくさんのアウストラロピテクスがいるのである。。

(ダニエル・E・リーバーマン(著) 塩原 通緒(訳)『人体六〇〇万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』より)




 その他のいちぶんがく


2022年10月20日木曜日

いちぶんがく その16

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



今や早死にの危険は減ったけれど、長生きの危険が高まっているといえます。

(久坂部 羊『日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか』より)




これは、真相を知らない者同士の抗争なのだ。

(奥田 英朗『真夜中のマーチ』より)




おそらく、「噂話」説と「川の近くにライオンがいる」説の両方とも妥当なのだろう。

(ユヴァル・ノア・ハラリ(著) 柴田 裕之(訳)『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』より)




宇宙人が立候補を表明した。

(矢野 龍王『箱の中の天国と地獄』より)




「……あの、メールばかり送って付きまとうしか脳のない、自分本位な執念深い女のことですね」

(麻宮 ゆり子『敬語で旅する四人の男』より)




ジェームズはまず、被験者の「ジョン・ヘンリー度」を調べた。

(クロード・スティール (著) 藤原 朝子(訳)『ステレオタイプの科学』より)




高校時代初めてお付き合いした彼女に、「アンタがあと五センチ身長高かったらほんまに好きになったかも」と言われた。

(せきしろ・又吉 直樹『まさかジープで来るとは』より)




出産祝いに地球儀を持ってきた。

(東野 圭吾『嘘をもうひとつだけ』より)




やっぱ、なるなら社長か泥棒だわ。

(パオロ・マッツァリーノ『つっこみ力』より)




「そうだろ、おれたち、みんなどろぼうなんだよ。」

(那須正幹『ぼくらは海へ』より)




 その他のいちぶんがく


2022年8月29日月曜日

いちぶんがく その15

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



年間一〇億ドルも消費するのは難しい。

(エマニュエル・サエズ(著) ガブリエル・ズックマン(著) 山田 美明(訳)『つくられた格差~不公平税制が生んだ所得の不平等~』より)





『俺』は俺の声を聞いた。

(東野 圭吾『パラレルワールド・ラブストーリー』より)




景気が悪くなると、この国粋主義の思想が、幅をきかせるようになります。

(ピーター・フランクル『ピーター流生き方のすすめ』より)




「ちょっとした不注意があり、今はお庭で固まってらっしゃいます」

(乙一『平面いぬ。』より)




「楽をしたいんですよ、おれは」

(小野寺 史宜『ひと』より)




「これまで、若い女ってことでいっぱい楽しいことがあったけど、それももう終わりなのかなあって」

(奥田 英朗『ガール』より)




「おれは、指の数少ないさかい、なおさらや」

(廣末 登『ヤクザになる理由』より)




じゃあどうすればいいかと言われても、わからない。

(村上 龍『「わたしは甘えているのでしょうか?」(27歳・OL)』より)




また「タバコは健康に悪い」と言う人がいるが、どう考えてもやり投げの方が体に悪い。

(上原 善広『一投に賭ける ~溝口和洋、最後の無頼派アスリート~』より)




ギャンブルをやめるためのギャンブル。

吉田 修一『犯罪小説集』より)




 その他のいちぶんがく


2022年7月6日水曜日

いちぶんがく その14

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。




「庶民というのは、一度御馳走を出してもらうと、いつでも出してもらえると思い込み、出てこないと文句をいうものだ」。

(東野 圭吾『マスカレード・ホテル』より)





そのため、国を問わず時代を問わず、集団の指導者は、その集団が失敗したときには、外国人つまり「敵」にたいする憎しみをあおることによって集団の凝集性を高めようとするのがつねである。

(M・スコット・ペック(著) 森 英明(訳)『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』より)





人間以外はこれまでどおりの世界。

(小林 賢太郎『こばなしけんたろう』より)




昔の生物は死ななかった。

(更科 功『残酷な進化論 なぜ私たちは「不完全」なのか』より)




あたしゃこんな悪魔みたいな男、知りませんよ。

(渡辺 容子『左手に告げるなかれ』より)




関西人なら「ごっつ簡単でんな!」というところでしょう。

(藤岡 換太郎『山はどうしてできるのか ダイナミックな地球科学入門』より)




だいたいチビだし、威圧的じゃないし、声だってソフトだし、怒鳴ったりしないし。

(上野 千鶴子『女の子はどう生きるか 教えて、上野先生!』より)




「ここの留置場は、わりと寝心地がいいっていう話だから」

(東野 圭吾『マスカレード・イブ』より)




自分がこんなに苦労しているのだから、はたらかない人間も同じように苦労をすべきだ。

(井手 英策『幸福の増税論 財政はだれのために』より)




「興味を惹くものがあって、どう扱っていいかわからない場合、殺してしまう」

(花村 萬月『笑う山崎』より)





 その他のいちぶんがく


2022年6月14日火曜日

いちぶんがく その13

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。




まずはエロ。

(半藤 一利『B面昭和史 1926-1945』より)





「あんたらに復讐する権利がある」

(深谷 忠記『審判』より)




「50カ国全てから、<国民主権>や<公共>という非効率な概念が、やっと取り払われるんです」

(堤 未果『政府はもう嘘をつけない』より)





そのため、従来型の生物たちはばたばたと滅んでいったのです。

(藤岡 換太郎『海はどうしてできたのか 壮大なスケールの地球進化史』より)




彼にとって、世界とは、ゴキブリの活字で埋まった新聞紙にすぎなかった。

(三島 由紀夫『命売ります』より)





自然科学の世界でも、自分の意見に固執しすぎると、悪魔に首を取られるかもしれない。

(花井 哲郎『カイミジンコに聞いたこと』より)




卒業式がどこかへ飛んでいく。

(朝井 リョウ『少女は卒業しない』より)





私は亡くなった友人と出会い直したのだ。

(中島 岳志『自分ごとの政治学』より)




ジョージは生まれてはじめて阿呆になったような気がした。

(アーサー・C・クラーク(著) 福島 正実(訳)『幼年期の終り』より)





チーズの表面はダニの糞や脱皮殻の層でおおわれ、それをとりのぞいてみると、無数のダニがうごめいているのが見えます。

(青木 淳一『ダニにまつわる話』より)




 その他のいちぶんがく


2022年4月18日月曜日

いちぶんがく その12

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。




「悪事をなすときに慈悲のまねをするな」

(白石 一郎『海狼伝』より)





「それはお前さんの思ったとおり、わたしが頭のおかしな年寄りだからさ」

(キム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』より)





同情しているつもりなのだろうけど、なんでしょう、この差別的な視線は。

(斎藤 美奈子『モダンガール論』より)





「楽しみだの、弱い奴らをいたぶるってのは、おもしろいもんだ」

(白石 一郎『孤島物語』より)




全員、観客に向けて話していたときとは違って、その声には皮を剥いた果物のような柔らかさがある。

(朝井 リョウ『どうしても生きてる』より)




例えば、東京の野球は「狡くて器用な江戸っ子野球」と呼ばれた。

(早坂 隆『幻の甲子園 ~昭和十七年の夏 戦時下の球児たち~』より)





さらに困ったことに、人間の脳には、自分が感情的に魅かれるものを「正しい」と合理化する機能が備わっています。

(橘 玲『不愉快なことには理由がある』より)




このとき仕入れた本は「あるエロじじいの蔵書」と名付けられ、売れ行きはかんばしくなかったものの、濃厚な雰囲気作りに貢献してくれた。

(北尾 トロ『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』より)





そのため、聖子の中の“鬼”は依然として活発に活動しているのだった。

(深谷忠記『審判』より)




日本人のようにきりきり突きつめて、錐のようになって心配ごとをほじくるような真似はせぬ。

(白石 一郎『海王伝』より)




 その他のいちぶんがく


2022年2月25日金曜日

いちぶんがく その11

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。




女は、その暗がりのなかで、暗がりよりももっと暗かった。

(安部 公房『砂の女』より)





テレビという生き物が、死ぬ音が聞こえた。

(朝井 リョウ『世にも奇妙な君物語』より)





彼女の横に並んだとたん、私もあの中学男達と同様に、腐ったジャガイモになるのだ。

(さくらももこ『たいのおかしら』より)





「俺はおまえら日本人のことを、時々どいつもこいつもぶっ殺してやりたくなるよ」

(金城 一紀『GO』より)





噴火のごとく怒り、噴石のごとく吼えている。

(横山 秀夫『ノースライト』より)





「恥の出所まで答えなきゃならないんですか?」

(湊 かなえ『花の鎖』より)





姉は鼻が大きいせいか、生乾きや嫌な匂いにとても敏感です。

 (阿佐ヶ谷姉妹『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』より)





絶滅の危機に瀕している本が私に集められるのを待っているのだ。

(鹿島 茂『子供より古書が大事と思いたい』より)





「俺は、殺人そのものにしか興味はない」

(今野 敏『ST 警視庁科学特捜班』より)





『現実世界なんかバカだ』とディジエントは宣言した。

(テッド チャン『息吹』より)




 その他のいちぶんがく


2021年12月15日水曜日

いちぶんがく その10

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。




「遊ぶのが下手っていうことは、生きるのが下手っていうことなんですよ」

(永 六輔『無名人名語録』より)




「あの人、貧乏が似合うのよね」

(永 六輔『普通人名語録』より)




畜生、通貨を玩具にして独占的利益を挙げていやがる。

(服部 正也『ルワンダ中央銀行総裁日記[増補版]』より)




エイモスと私は、私一人が大馬鹿者なのか、それともたくさんの大馬鹿の一人なのかを調べることにした。

(ダニエル・カーネマン(著) 村井 章子(訳)『ファスト&スロー』より)




せめて、痴漢ぐらいはイキイキしている世の中でないと、危険ですよ。

(永 六輔『一般人名語録』より)




「ぼくが志あれど金はなし、の男だってことは、それはおまえも先刻承知済みのことだろう?」

(西村 賢太『小銭をかぞえる』より)




以前小さな蛙をまちがってのみこんでしまった人がそれ以来腹の底からは決して笑えなくなってしまったような、そんなような妙につっかかった様子の笑いだった。

(川上 弘美『センセイの鞄』より)




羨ましいとおっしゃるなら人生をそっくり取り替えて差しあげよう。

(鷺沢 萠『私はそれを我慢できない』より)




「むうう、不動産屋は信用しない方がいいのですよ、うけけけけ」

(京極 夏彦ほか『小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所』より)




自分の台詞が、返し付きの釣り針並みに相手の心に食い込んだのさえ、はっきり見て取れた。

(吉永 南央『オリーブ』より)




 その他のいちぶんがく


2021年11月17日水曜日

いちぶんがく その9

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。




「なんで、途中で殺すの」

(「新潮45」編集部編『凶悪 〜ある死刑囚の告発〜 』より)




何年かぶりにあげた悲鳴をひじきに捧げる。

(川嶋 佳子(シソンヌじろう)『甘いお酒でうがい』より)




ワイングラスの向こう側で笑っているあいつは友だちではない。

(小田嶋 隆『友だちリクエストの返事が来ない午後』より)




気持ち悪いことである。

(小谷野 敦『本当に偉いのか』より)




「わたしたちは昔の人が思い描いた未来に閉じこめられたのよ」

(伊藤計劃『ハーモニー』より)




誓って言うが、女性のお尻をつねったのは、後にも先にもそのときだけである。

(H・F・セイント『透明人間の告白』より)




要するに「何かを撮る」という行為は、「何かを消してしまう」行為と同じことなのだ。

(森 達也『たったひとつの「真実」なんてない』より)




自分でいうのもなんだが、僕はアジアのためになるようなことはなにひとつしていない。

(下川 裕治『歩くアジア』より)




それとも全然知らない人の鼻をつまんでしまったとか?

(今村 夏子『むらさきのスカートの女』より)




「女の子に嫌われると、先生みたいに寂しい男になっちゃうぞ」

(井上 真偽『ベーシックインカム』より)




 その他のいちぶんがく


2021年8月20日金曜日

いちぶんがく その8

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



研究者というのは常に、早急に何とかしなくてはならない問題、というものを抱えているからだ。

(東野 圭吾『天空の蜂』より)




けれども少女は人間であり、人形ではありません。

(新津 きよみ『星の見える家』より)




なぜなら「能力」とは、どうにでも解釈できる言葉だったからである。

(小熊 英二『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学』より)




時に、ため息をつきながら食べていて、時々おいしいと感じるものがあると舌打ちをする。

(古泉 智浩『うちの子になりなよ』より)




わたくしは、そんなみみっちい悪ではなく、本当に自己弁解の余地のない動機のない悪をやってみよう。

(遠藤 周作『真昼の悪魔』より)




ひとは恐怖や苦痛と闘うことはできても、楽しさと闘うことはできない。

(柞刈 湯葉『人間たちの話』より)




ヒョウ柄のパンプスを履かせたい男と、ヒョウ柄のパンプスをそろそろ脱ぎたい女。

(吉田 修一『キャンセルされた街の案内』より)




マチアスはポネットがなぜ座薬を好きなのか考え続けていた。

(ジャック・ドワイヨン(著) 青林 霞・寺尾 次郎(訳) 『ポネット』より)




あなたはそれなりにがんばってるじゃないの。

(湊 かなえ『夜行観覧車』より)




「この社会をどんなにうまく生きてもツマラナイ」ということですね。

(宮台 真司『社会という荒野を生きる。』より)




 その他のいちぶんがく


2021年7月6日火曜日

いちぶんがく その7

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



ただねえ、阿呆は「阿呆っていいね」と言ったとたん腐るというかね。

(杉本 恭子『京大的文化事典』より(森見登美彦の台詞))




そのことをビートルズが教えてくれた。

(東野 圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』より)




そして時には贈るだけではなく、大切なものを燃やしたり、粉々に破壊したり、海のなかに放り投げたりもします。

(伊藤 亜紗 他『「利他」とは何か』より)




今日のピンクグレープフルーツの大半が、放射線によって突然変異を起こしたこれらの植物の子孫なのです。

(ライアン・ノース(著) 吉田 三知世(訳)『ゼロからつくる科学文明 タイムトラベラーのためのサバイバルガイド』より)




そしてその「戦争の始まり」とは、つまりは政治の失敗だ。

(清水 潔『「南京事件」を調査せよ』より)




あんたは自分が変わってると言われたいがために娘に変な名前をつける人間なんだな。

(津村 記久子『まともな家の子供はいない』より)




ねえ、こんな経験してる婆さん、滅多にいないよね?

(桐野 夏生『夜の谷を行く』より)




ダンナの実家に初めて行って料理を手伝わされる嫁みたいな気分だ。

(高野 秀行『移民の宴』より)




中学生は、鳥の群れのようなものだ。

(奥田 英朗『沈黙の町で』より)




「うへ、嫌味言うんだ、そんなやつ、ぶっ飛ばしてやれ!」

(角田 光代『対岸の彼女』より)



2021年5月21日金曜日

いちぶんがく その6

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



僕は1時間、ニンニクを微分し続けていたのだ。

(橋本 幸士『物理学者のすごい思考法』より)




皮肉だが、手綱を手放すことは、影響を与えるための強力な手段なのだ。


(ターリ・シャーロット(著) 上原直子(訳)『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』より)




この女なら杉子みたいに、客の残した寿司の上だけ食べて返すことはしないだろうと思った。


(向田 邦子『思い出トランプ』より)




おやおや、お前に苦痛はもったいないよ。


(伊藤 計劃『虐殺器官』より)




そして何故こんなにも、多くの人が壊れ始めているのかを。


(堤 未果ほか『NHK100分de名著 メディアと私たち』より)




いきなり中年男性が身体をくねくね動かすだけでは、じつに怪しいでしょう。


(広瀬浩二郎『目に見えない世界を歩く』より)




障害者は「健全者」に気に入られようと思ってはいけない。


(荒井裕樹『障害者差別を問いなおす』より)




「可能性があればなんでもできると考えるのは、自分ではなにもしない奴だけだ」


(石持 浅海『三階に止まる』より)




ようやく「被害者」になれた。


(重松 清『十字架』より)




そこを流れ落ちていくのは、恐怖政治と下水だけだ。


(トム・バージェス『喰い尽くされるアフリカ』より)




 その他のいちぶんがく


2021年4月8日木曜日

いちぶんがく その5

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



夜中にピルクルを買いにいったっていうだけで、どうしてこんな罰を受けなくちゃいけないの?


(東 直子『とりつくしま』より)




ここから得られる結論は、よい母親は温かくなくてはならないということだ。


(アレックス・バーザ『狂気の科学者たち』より)




ある意味縄跳びは、標準的なピアノのいちばん低い音の5オクターブほど下の周波数を持つ、ひとつの弦楽器とも言える。


(ランドール・マンロー『ハウ・トゥー ~バカバカしくて役に立たない暮らしの科学~』より)




「同じものだけど……ちがった奴が欲しいんだ!」


(ブレイク・スナイダー『SAVE THE CATの法則 ~本当に売れる脚本術~』より)




おばあちゃんは、どこからでも自由に出入りする。


(今村 夏子『あひる』より)




『あなたが思ってるほど、大人は馬鹿じゃないのよ』


(根本 総一郎『プロパガンダゲーム』より)




いちばんキモかったのは、彼女を主人公にしたオペラの台本を書いたこと。


(大野 更紗 開沼 博『1984 フクシマに生まれて』より)




暴力は確かに売れる。


(マルコ・イアコボーニ(著) 塩原 通緒(訳)『ミラーニューロンの発見』より)




「これはゴキブリじゃない、大きめのシロアリなんだ。」


(松浦 健二『シロアリ ~女王様、その手がありましたか!~』より)




さて、出頭予定の日には、裁判所の扉はいっぱいに開けはなたれ、毛虫とネズミの到着が今か今かとまたれた。


(池上 俊一『動物裁判 ~西欧中世・正義のコスモス~』より)




 その他のいちぶんがく


2021年3月8日月曜日

いちぶんがくその4

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



「化物といえば、お食事はどうなすっておいでですの」


(山本 周五郎『人情裏長屋』より)




「もしかして日本って、でたらめに運営されてんじゃねえのか」


(奥田 英朗『無理』より)




「めげない援交おじさんを見習って!」と。


(仁藤 夢乃『女子高生の裏社会~「関係性の貧困」に生きる少女たち~』より)




昔は文学部の建物って二階建てだったんですけど、その中になぜか四階建ての図書館があったんです。


(『もっと! 京大変人講座』より)




千佐都は一瞬、キリスト像と餓鬼とを同時に思い浮かべた。


(東野 圭吾『ラプラスの魔女』より)




その研究の中で興味深かったことのひとつは、検索窓に最も多く打ち込まれるのは、食材名でも調理法でもなく、「簡単」という言葉であったことです。


(石川 伸一『「食べること」の進化史 』より)




空気がストップしてその場で死んじゃうのと、放射能を吸ってでも、少しでも長く生きてんのと、どっちがいい。


(堀江 邦夫『原発労働記』より)




「まあ、単身赴任でニートしてるようなものです」


(石井 あらた『「山奥ニート」やってます。』より)




古代の物が、どれだけミミズによって保存されたかわからない。


(河合 雅雄『望猿鏡から見た世界』より)




「本当はインドの、毒を吸い取る黒い石があればいいのだが」


(前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』より)




 その他のいちぶんがく


2021年1月21日木曜日

いちぶんがく その3

ルール


■ 本の中から一文だけを抜き出す

■ 一文だけでも味わい深い文を選出。



「悪者退治をしたくてうずうずしてるやつらはわんさといるんだから、そいつらが大挙して押し掛けてくるよ」


(星野 智幸『呪文』より)




「イラクでのAV撮影」という、現地で死刑になってもおかしくないような仕事の依頼もあった。


(雨宮処凛『「女子」という呪い』より)




砂糖を腹一杯食べているアリを捨てる手があるか?


(高野 秀行『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』より)




事件後、彼らの暮らしていた部屋のベランダに置かれた洗濯機には、脱水をかけられたままの洗濯物が残されていたという。


(吉田 修一『女たちは二度遊ぶ』より)




二回目の西洋トイレの試みはさらに難解で、意表を突いたディズニーランドだった。


(M.K.シャルマ(著) 山田 和(訳)『喪失の国、日本 インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」』より)




「あいつら人間の内側を金に変えよる」


(塩田 武士『騙し絵の牙』より)




ポケットにつっこんでいた手がマッチに触れたとたん、ぼくにはすばらしい思い付きが生れた。


(加賀 乙彦『犯罪』より)




20歳以上サバを読んでる人との会話ってものすごい大変だということを知った。


(田房 永子『男しか行けない場所に女が行ってきました』より)




お袋の口から出てくるべき音じゃないと思った。


(いとうせいこう『想像ラジオ』より)




「どう見ても、瓶の口が仔猫の頭よりも小さいのに、どうやって入れたっていうの?」


(道尾 秀介『向日葵の咲かない夏』より)




 その他のいちぶんがく