「トイレの鍵がかかっているときは赤く、そうでないときは青くなる」というデザイン、よく考えたらこれは大発明だ。— 犬犬工作所 (@dogdogfactory) 2018年3月8日
あれのおかげで中にいる人は心安らかに過ごせるし、せっぱつまっている人は数秒を無駄にすることなく空いている個室に駆け込める。
開発者にはノーベル平和賞を。
この件についてもう少し掘り下げて考えてみようと思う。
あのデザインの何がすごいって、
● ユーザーに余計な手間を増やさない
鍵をかけるだけで青→赤になるから、外に向けてサインを送るために労力を要しない● 一瞬で把握できるサイン
文字の読めない子どもや外国人でも理解できる。また青と赤は色盲の人にも見分けられるらしい。● 余計なコミュニケーションを省略できる
トイレで用を足しているときは他人に干渉されたくないものだ。あのサインがあるおかげで、心安らかに排便活動に勤しむことができる。
想像してほしい、用便時に頻繁にノックをされる不快感を。
また、あのサインがあるおかげで、ノックも異なる意味を持つ。
ふつうノックは「中にいらっしゃいますか」という意味を持つが、赤いサインが出ているにもかぎらずノックをすることで
「中に誰かいることは知っていますがそれでもあえてノックをしたのは私はのっぴきならない状態にあるからです。できるなら早く出てください。さもないとたいへんなことになります」
というメッセージを伝えることができる。
これを口頭で言うのは相当恥ずかしいが、青/赤サインがあることでノックだけで表現することができる。
● 利用時の時間短縮になる
自然に扉が閉まるタイプのトイレだと、ぱっと見ただけでは中に人がいるかどうかがわからない。しかし青/赤サインがあることで、一瞬でどの個室が空いているかを把握できる。これによって短縮できる時間はほんの数秒だ。
たかが数秒とあなどることなかれ。トイレを求めて一刻一秒を争った経験は誰にでもあるだろう。この数秒が明暗を分けることもあるのだ。
アスリートが0.1秒を縮めるためにどれほどの努力をしているか。その0.1秒に匹敵するほどの重要性が、トイレを探す数秒にはあるのだ。
「鍵をかけたら青→赤になる仕組み」は技術的には少しもむずかしいことではない。この発想に至るまでに特別な知識も必要としない。
けれども、ほとんどの人はこの「ちょっとした思いつき」を発見することができない。
このデザインをはじめて思いつき、実用化した人がどこの誰なのかまったく知らない。このデザインが何という名前なのかもわからない。
発明者がこれを特許化していれば莫大な金を稼ぐことができただろう。けれど彼はそれをしなかった。特許化して儲けることよりも、あえて特許をとらないことでひとりでも多くの人に使ってほしいと望んだから(知らんけど)。
彼の思いは見事実を結び、今日も急な便意に襲われた人たちの尊厳を救っている。
ぜひとも彼にノーベル平和賞を。
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