みんな、焼肉とうまくつきあえてる?
ぼくは焼肉とうまくやれていない。
決して嫌いなわけではない。どっちかといったら好きだ。
ぼくはご飯が大好きだから、ご飯が進む食べ物は全部好きだ。ご飯はぼくの味方。味方の味方は味方。だから焼肉は味方。
ご飯を食べるために焼肉を食べる。お金をもらうために仕事をするのと同じように。
ぼくが焼肉を苦手としているのは、確実に失敗するからだ。
子どもの教育には「成功体験」が大事だという話を聞いたことがあるが、それでいうと、ぼくには焼肉の「成功体験」がない。九割の確率で失敗している。残りの一割は大失敗だ。
焼肉を食べ終えて「ああ、うまかった。おなかもいっぱい。ちょうどいい分量だった」と思えたことがない。
焼肉はいつも多すぎる。
はじめは「うまい、うまい」と食っているのに、最後は必ず「苦しい……。でも食わなきゃ……」になる。
「誰かこれ食わない?」
「おれはもういいや」
「私ももういい」
こんな会話が焼肉の終盤では必ずくりひろげられる。
そこで「ぼくもいらない」が言えない。「じゃあ……」と箸を伸ばしてしまう。
食べ物を残してはいけないという幼少期のしつけのせいか、前世で餓死でもしたのか、はたまたただの貧乏性か。食べ物を残すことができない。
焼肉の終盤では「さらえる」係を一手に引き受けることになる(「さらえる」は「皿のものをすべてたいらげる」の方言。どこの方言かは知らない)。
もはや苦行。おいしさも楽しさも感じない。バリウムを飲むときの顔で焼肉を食べる。
胃腸が弱いので、焼肉の後はだいたいおなかをこわす。吐くこともある。
無理して食べた焼肉はうまくもないし栄養にもならない。何のために食べているのかわからない。脂肪になるほうがまだ生産的なだけマシだ。
わかっていても、目の前に残っているとついつい食べてしまう。
焼肉はいいやつだ。それは認める。
みんなで焼きながら食ったら話ははずむし、ご飯は進むし、ビールにもあう。
でも苦手。嫌いじゃないけど苦手。
周りにそういう人いるでしょ? 決して嫌いじゃないし、いい人なんだけど、なぜか自分とは相性が悪い。ぼくにとって焼肉はそんな存在。
真っ黒になるまで燃やしてしまうのが 唯一の解決策 |
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