キングオブコント2021の感想。
審査員
準決勝敗退組芸人による審査制度が終わってから、はじめて納得できる審査員だった。
2015~2020年はひどかったもんな。審査員がひどいんじゃなくて審査員構成がひどかった。
そりゃ個々の審査員がどう審査するのは自由なんだけど、だからこそバランスよくいろんな角度からの意見が聞きたい。それなのに、たった3組の芸人なんだもの。
おまけに照れてるのか言語化できないのかしらないけど変にふざけてコメントするし。まじめなコメント+ボケではなく、単なる悪ふざけみたいなコメントもあった。
しかも「他の審査員と点数が近いことにあからさまに安堵する審査員」がいたし。いやいや、みんな同じ傾向だったら頭数ならべてる意味がないだろ。他人と違うことを誇れよ。
今回は審査員によって点数にばらつきがあってよかった。
やっぱり東京03飯塚さんは構成を重んじるんだねとか、ロバート秋山さんはキャラの濃いコントが好きなんだなとか、やっぱりかまいたち山内さんやバイきんぐ小峠さんはサイコパス感漂うネタを評価するんだなとか、それぞれが書くネタの傾向が審査にも反映されててよかった。5人とも「ウケ量」以外の部分をちゃんと評価できる審査員だった。
やっぱり審査員は最低限の条件としてネタ書く人にしてほしいよね。
出番順
詳しくは知らないけど、抽選で出番順を決めたんだよね……。なんか出来すぎだったけど。
前半に初出場組が続き、中盤はリベンジ組。終盤に前回惜しかったニューヨークや空気階段がきて、ラストがRー1、Mー1との3冠のかかるマヂカルラブリー。ウソみたいによくできた出番順だった。誰かの意思の介入を感じてしまう並びだな。
観客について
客がひどかったな。ジャブ程度のボケで手を叩いて笑ってた。どう考えても笑いすぎ。全員マリファナきめてんのか。
感染対策で人数を入れられない分、大げさに笑うように指示でもされてたんだろうか。コントの大会なのに笑い声がじゃまだった。
笑わない客よりは笑う客のほうがいいに決まってるけど、それにしたってなあ。フリになるところで手を叩いて笑うなよ。見た目のおかしさだけで大爆笑するなよ。
ネタ感想(1本目)
1.蛙亭
自我を持ってしまったホムンクルス(人造人間)と研究者。
出番順に泣かされたなあ。後半出番だったら4位くらいにはなっていたんじゃないだろうか。最初のインパクトが強烈だったけど、途中で失速することなくその勢いのまま最後まで走り抜けた。
ストーリー展開自体は平凡なSFだったけど、キャラクターや関係性を表現するコントだったから変に凝ったストーリーにしなくて正解だったかも。
露骨にキモがるんじゃなくて、「キモがっていることを見せないようにしているけどついつい出してしまう」表現がいい。
ホムンクルスの「ピュアであるがゆえの怖さ」は、中野さんの「ただのお人好しっぽい見た目なのにじつは何でも軽くできちゃう人」というキャラクターとよくあっていた。
2.ジェラードン
痛々しいカップルと転校生。
今大会の個人的最下位。キャラクター押しのコントは好きじゃない。
もう「キモい見た目のやつがキモいふるまいをして、それをキモいと指摘する」で笑える時代じゃないとおもうんだよね。この〝多様性の時代〟に。
たとえば蛙亭のコントでは「見た目はキモいけどすごく心はまっすぐで、だからこそかえって周囲に気を遣わせる」という設定だし、この後に出てくるザ・マミィなんかはもっと先に進んでて「誰に対しても分け隔てなく接しましょう、ということの欺瞞」をコントの中で鋭く指摘している。
そういうコントと並べるには、ジェラードンのこのコントはあまりに古い。
彼らの「化け物みたいな見た目のやつが実は敏腕FBI捜査官」などのネタを見たことがあるからこそ余計に、「キモいやつをキモく演じる」で終わってしまったこのネタは残念。
3.男性ブランコ
ボトルに入れた手紙で知り合った男女が初めての対面。
この導入のコントだと「美しい女性を想像してたらとんでもない女が来た」となることは誰しもが予想できるとおもうが、その予想をほんのわずかに裏切ってくるのが見事。そっち方面で裏切ってくるかーという感じ。すごくセンスを感じた。
引き合いに出してしまって申し訳ないが、ジェラードンのコントに出てきたような「誰が見てもヤバいと感じる、わっかりやすい変な人」ではなく「たしかにこういう人は実在するけどこのシチュエーションには似つかわしくない人」という程度の裏切りなのが、リアリティと意外性を両立させている。この設定はすごい。
さらに、他者の見た目を一方的に審判しないところや、変な女性に対して男性が寛容であることで、すごく上品なコントに仕上がっている。
冒頭に大きな裏切りがあるのでへたしたら出オチになりかねない設定なのに、その後もワードセンスや会話の展開でおもしろさを持続させているのもすばらしい。
ただ個人的には終盤の「……こんな人だったらいいのにな」という展開は好きじゃなかった。夢オチみたいで。
4.うるとらブギーズ
迷子センターの従業員と、息子が迷子になってしまった父親。
ここまで3組強烈なキャラクターが全面に出てくるコントが続いたので、やっとふつうの人がストーリーで魅せてくれるコントが出てきてほっとした。職人による正統派のコント。コントというよりはコメディといったほうがいいかもしれない。
前半、父親が迷子の奇抜な特徴を伝えるシーンは「おもしろくないな」とおもいながら観ていたのだが、これはフリだったんだね。後半ではボケとツッコミが逆転して、前半を見事に回収してくれた。
ただ、それだったら前半は「誰にでもわかるわかりやすい異常性」ではなく「実際にいるかいないかぐらいの絶妙なダサさ」ぐらいにしてほしかったな。ニューヨークがそういうの上手なんだけどね。
感心したのは、笑いをこらえる演技のうまさ。素人が「笑いをこらえてください」と言われたら漫画みたいににやにやして「プッ、ククク……」ってやっちゃいそうだけど、ウルトラブギーズは顔をこわばらせたり顔の体操をしたりで「笑いをこらえる」演技をしていた。うまい。
5.ニッポンの社長
バッティングセンターにいる高校生に勝手に指導するおじさん。
個人的にはすごく好きなネタなんだけど、こういう展開で優勝するのはむずかしいよなあ。笑いどころが2種類しかないもんな。深夜のコント番組でやるようなコントだ(『関西コント保安協会』にぴったりのネタだ)。
でも、だからこそ「ボールが当たるのを気にしない」というひとつのボケで延々引っぱる勇気に感心した。
過剰に痛がるわけでもなく、凝った言い回しのツッコミをするわけでもない。なのにずっもおもしろい。
この次のそいつどいつが「怖がらせる」ネタをやっていたが、ほんとに怖いのはニッポンの社長の世界のほうだ。
ラストで明らかになる「ただの厄介なおじさんではない」という事実によってよりいっそう気味悪さが浮きだつ。
しかし、審査員にも指摘されてたけど、ほんとに「ボールが当たる演技」がうまいなあ。ボールが見えるようだった。大げさに痛がらず、けれど我慢しているだけで痛くないわけでもないのが感じられるという、絶妙に〝抑えた〟演技だった。
6.そいつどいつ
同棲中の彼女が顔パックをしている。
恐怖を感じるコントは嫌いじゃないのだが、これは「怖がらせようとしているのを感じるコント」で、怖さは感じなかった。
わかりやすすぎる。怖さって、そういうもんじゃない。不気味なマスクつけて不気味な動きしてたら怖いわけじゃない。
怖いというのは結局「わからない」なのだ。なのにそいつどいつのコントでの女性の動きは全部「怖がらせようとしてる動き」だった。わかりやすい。だから怖くない。ストーリーも予想できるものだったし。
めいっぱい怖がらせれば緊張を緩和したときに笑いが起こるものだが、怖さが半端なので笑いも半端になってしまった。
「この人は何のためにこんな行動をとっているのだろう?」とおもわせてほしかったな。
7.ニューヨーク
ウェディングプランナーと新郎。
ただただバカバカしいだけのコント。わっかりやすいダメなやつがダメダメなふるまいをする。
ウェディングプランナーの描き方が単純だったんだよな。
ダメなやつをコントで描くのはいいけど、ダメなやつにはダメなやつなりの論理があるはずなんだよ。「私はこう考えたのでこうしました」「失敗したことを怒られるのがイヤだからごまかすためにこんな行動をとりました」っていう論理が。
このコントにはそれがなかった。失敗するためだけに失敗をしている。だからキャラクターがすごく平板だ。コントのためだけのキャラクターで、生きた人間じゃない。
あと、ウェディングプランナーと新郎が初対面であるかのような設定が気になった。
結婚式なんだからこれまでに何度も打ち合わせしてたわけでしょ。この人が担当だったんなら、その時点で「変えてくれ」ってならなきゃ嘘でしょ。
この人と初対面という設定にするなら「これまでお客様を担当しておりました〇〇が急遽休職することになりまして。ですが打ち合わせ内容はすべて引き継いでおりますのでご安心ください」みたいなセリフが最初に必要になるんだよね。
かまいたちが優勝を決めたネタ(ウェットスーツが脱げないネタ)では、冒頭にそういうセリフを置いていた。笑いにはつながらないけど、設定の違和感をつぶすネタはぜったいに必要なんだよね。
でも「賞味? 消費? どっち?」は笑ったよ。終始「コントのためだけのキャラクター」だったけど、あそこでちょっとだけキャラクターにリアリティが感じられた。
コントの作りとしては雑だったけど(特に後半のセットが倒れたり外国人の画像を出したりするとこ)、じっさいぼくも笑ったし、ぜんぜん悪いコントではないんだよね。去年は似た系統の「むずかしいことを考えずにただ笑えるばかばかしいコント」で2位になったわけだし。
これが最下位になったことが、今大会がいかにハイレベルだったかを物語っている。
8.ザ・マミィ
街中で終始怒っているおじさんに一切の偏見も持たない青年。
今大会の個人的ベストコント。
コントって芝居である以上、「ただ笑えるだけ」では物足りない。たとえばサンドウィッチマンのコントはたしかにおもしろいけど、でもおもしろいだけなんだよね。だからあれはおもしろいけれど優れたコントとはおもわない。
笑いをとるだけならコントより漫才のほうが効率がいい。セットがない分、表現できる幅が無限に広がる。時間も空間も軽々と飛び越えられる。
だけど、怒らせたり悲しませたり困らせたり喜ばせたり、感情を揺さぶるのにはコントのほうが向いている。だから「笑わせるだけでなく感情を揺さぶってくれるコント」をぼくは期待する。
ザ・マミィのコントは、ただ笑わせるだけじゃなかった。はぐれ者の悲哀や他者に対する愛おしさを感じさせてくれるものだった。ニューヨークのコントの後だからこそ「生きた人間」を描いているところが光った。だってこのふたりの「これまで」や「今後」も想像させてくれたんだもの。ちゃんと「それまで別々の人生を歩んできたふたりの人間がたまたま出会った一瞬」を切り取ったコントだった。
ちなみに空気階段にも「ちょっと頭おかしいように見えるおじさんの意外な一面」を描いたコントがあるが(電車内でおじさんが他人に注意するコント)、あちらはツッコミ役が終始傍観者にとどまっていたのに対し、こちらは両者がきちんとからんでいるのでぼくはザ・マミィのほうが好み。
ところで終盤のミュージカルは力ずくで笑いをとりにいったようで、あまりおしゃれでなかった。
でもそうは言いながらミュージカル部分では笑わされたけどね。力技で笑わせようとしてくるのがわかっているにもかかわらず。
特に、あんまり歌がうまくないのがよかった。リアルなおっさんのミュージカルって感じで。
9.空気階段
SMプレイ中に火事に遭ったふたりのおじさん。
うーん、ぼくはあんまり笑えなかったな。新しさを感じなかったので。
笑いとしては最初がピークで、あとは見た目のおもしろさぐらい。「ダメな人かとおもったらだんだんかっこよく見えてくる」という単純な構成で、深みが感じられなかった。
さらば青春の光の『ヒーロー』というコントがある。噂では、キングオブコント2018で最終決戦に進んでいたら披露する予定だったというコントだ。こちらも同じく火事場を舞台にしている。
詳しいネタバレは避けるが、空気階段とは逆に「火事現場で逃げ遅れた人を助けるヒーローかとおもわれた男がとんでもないクズだったと判明する」というストーリーだ。
ぼくは、さらば青春の光版『ヒーロー』のほうが好きだ。保身と打算にあふれた人間くささが根底にあるからだ。空気階段のヒーローは、性癖を除けばフィクションの中にしか存在しない完全無欠のヒーローで、共感できる要素がなかった。
作りこまれた、感情を揺さぶってくれるネタを数多く作っているコンビなので余計に期待外れだった。
10.マヂカルラブリー
深夜の心霊スポットでコックリさんをする学生ふたり。
マヂカルラブリーのラジオを毎回聴いているぐらい好きなんだけど、いや好きだからこそ、「えっ、こんなもん?」という印象だった。
前回決勝進出のときもおもったけど、マヂカルラブリーって漫才は「既存の概念をぶち壊してやる!」みたいな破戒的なパワーを感じるのに、コントはすごく丁寧に作りこまれてるんだよね。抑えるべきところは抑えて、説明すべき点は説明して。それはいいことなんだけど、でもマヂカルラブリーにはもっとむちゃくちゃな展開を期待してしまう。
漫才だと、時間も空間も軽く飛びこえて自由自在に演じられるのに、コントだとセットがある分、表現が窮屈になってしまう。
ふたりとも漫画やアニメが好きだからだろう、表現が漫画やアニメの枠を超えてこない。漫画のネタを実写化したみたいなコントなので、これだったら漫画で読んだほうがおもしろいやという気になる。そう、ギャグ漫画みたいなコントだった。
でも「指先に操られる人間」というむずかしい演技をやってのける身体表現能力の高さには舌を巻いた。特に指先に立たされるとことか。あの身体の使い方はすごかったなあ。
点数が伸びなかった原因のひとつに、死体が操られることに対する生理的な嫌悪感もあったのかもしれない。野田くん死んじゃうし。死んだまま終わっちゃうし。やっぱり人の死を笑いに変えるのはむずかしいよ。
最終決戦進出は、1位空気階段、2位ザ・マミィ、3位男性ブランコ。
ぼくが選ぶなら空気階段の代わりにニッポンの社長を入れるな。
ネタ感想(最終決戦)
男性ブランコ
レジ袋をケチった男の末路。
レジ袋有料化という根拠の明確でないおもいつきのような政策にふりまわされる国民の姿をシニカルに描いた(ウソ)時代に即したコント。
レジ袋有料化される2020年より前には存在しえなかったネタだし、来年だったら「いいかげんレジ袋ないことに慣れろよ」とおもってしまうので、今がこのネタをできるギリギリのタイミングだったね。
一本目のネタの感想でも書いたけど、すごく上品なコントを作るコンビだ。最小限のセット、最小限の動きに、最小限の感情の揺れの表現。それでいて大きな効果を上げるのだからすごい。
レジ袋をケチった男は明らかにダメなやつなんだけど、ニューヨークのコントで描かれたダメ男とちがって、彼にはダメなやつなりの論理がちゃんとあるんだよね。レジ袋を買わなかったのは袋代が惜しかったからだし、だからレジ袋をもらったらお金を払わなきゃいけない、他人の手を煩わせたらお礼を言わなきゃいけない。彼には確固たる信念がある。
「あなたはあのときケチったレジ袋ですか」なんて、その人間に深く入りこまないと出てこないセリフだよ。〝笑わせるためだけに生みだされたキャラ〟には言えない。
強引に笑いを取りにいくコントではなかったので点数は伸びなかったが、そこがまたかっこいい。今大会もっとも評価を上げたコンビじゃないかな。
ザ・マミィ
ドラマっぽいセリフを言いあう社長と社員。
キングオブコントのオールドファンなら誰しもが、しずるが2010年のキングオブコントで披露したコント『シナリオ』を思い浮かべたのではないだろうか。審査員の秋山さんが「観たことがあるような」と暗に示していたのもおそらくこのコントだろう。
とはいえパクリだという気はさらさらない。もっといえば25年ぐらい前にビリジアン(小藪一豊さんが組んでいたコンビ)が「演技でしたー!」というコントをやっているのを観た記憶があるし、小学生だって「演技でしたー!」をやる。
ドッキリ番組が数十年定番コンテンツであることからわかるように「人が芝居に騙されて真に受ける」というのは人間が根源的に好きな笑いなのだろう。
「演技でしたー!」はかんたんに裏切りを起こせるのでコントにしやすいのだろうが、裏を返せば裏切りのパターンが予想されやすいということでもある。「演技でしたー!」が二度続けば誰もが次も同じパターンがくることを予想するし、そうなるともう「演技でしたー!」か「演技と見せかけて実はほんとでしたー!」の2種類しか道はない。どっちを選んでも想定内だ。
韓国ドラマ、音楽再生、ボイスレコーダーなど随所に工夫はあったものの全体的な展開は観客の想像を大きく超えるものではなく、この設定を選んだ時点で負けは決まっていたのかもしれない。
空気階段
オリジナル漫画を題材にしたコンセプトカフェのマスターと客。
「変な店員と客」という設定はありがちだが、実はコントにするにはむずかしい。
漫才コントであれば「店員をやりたい相方に練習をつきあってあげる」または「客の練習をしたいので相方に店員役をしてもらう」という導入があるので、どれだけ変な店員が現れてもかまわない。
だがコントは芝居なので、入った店に変な店員がいた場合、客には「店を出る」という選択肢があるし、場合によっては店を出ないと不自然だ。
だから「変な店員と客」は、コントの舞台としては設定の強度がもろい。
空気階段のこのコントは「雨が降ってきたのでカフェで雨宿り」という笑いにはつながらない導入を入れることでそうかんたんに店を出られないシチュエーションを作りだし、「変だけどさほど不愉快ではない」程度の仕掛けを並べることで「怒って席を立つ」状況を回避している。すごく丁寧な作りだ。
「小学校のときにノートに描いていたオリジナル漫画」というのはわりとよく見る題材だけど、接客セリフ、メニュー表、登場人物などディティールまできちんと作りこまれている。 もぐらさんのキャラクターを活かしたばかばかしい設定でありながら、ちゃんとマスターのこれまでの人生を感じさせてくれる。
だからこそ気になったのが、コーヒー豆にはこだわっているという設定。あれ自体はすごくおもしろいのだが、だったら注文してからあんなに瞬時に出してきちゃだめだろ。時間をかけて煎れてくれなきゃ。
全体的に丁寧だったからこそ、あそこの雑さが気になった。
ところでロバート秋山さんが設定の着眼点を褒めていたが、たしかに「異常なコンセプトカフェ」ってものすごくロバートのコントにありそうな設定だよな。
コンセプトカフェに行ったら変な店員にからまれる……というロバートのコントが容易に頭に浮かんだ。この設定を先に使われた秋山さん、悔しかっただろうなあ。
総括
いやあ、いい大会でしたよ。
こうして感想を書いていても楽しい。
笑えなかったのはジェラードンだけだったし、ジェラードンにしてもぼくの好みじゃないネタだっただけで腕があることは十分伝わったし。
空気階段は、今回のネタはぼくの好みとはちょっとちがったけど、昨年の定時制高校のコントはまちがいなく大会トップのネタだったとおもうので今年やっと優勝できたことは喜ばしい。
見た目のコミカルさ、導入のわかりやすさ、細部へのこだわりなどを随所に見せつけてくれるコンビなのでいつかは優勝できていただろう。
M-1グランプリ以前と以後で飛躍的に漫才の技術が進化した(第1回大会の決勝ネタなんか今だったら全組2回戦か3回戦で敗退だろう)ように、コントのクオリティも全体的に大きく向上したなあと感じさせてくれる大会だった。
とにかくたくさん笑わせれば何でもいいという時代は終わり、人間模様を感じさせる完成度の高い芝居でないと評価されない時代になった。
「きちんと人間の内面を描けているか」「そのメッセージを作品に昇華させるにあたり題材選びは適切か」といった、まるで純文学賞の選評みたいなハードルを越すことが求められる大会になってきた。
もちろんコンテストなので優勝を決める必要はあるのだが、ことキングオブコントに関してはあんまり優勝だけにこだわる必要はないとおもうんだよね。上位に関してはほとんど出番順とその日の雰囲気だけで決まるような感じだし。
だから優勝賞金1000万! よりも、総額1000万円にして、1位○万円、2位○万円、3位○万円、審査員特別賞○万円、みたいな感じのほうがいいのかもしれない。演劇のコンクールみたいに。
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