2020年9月28日月曜日

キングオブコント2020の感想

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【ファーストステージ】


■滝音 (大食いファイター)

大食い選手権の最中にラーメン屋の店員が接客をしてくるので邪魔になる……というコント。

やりとりはおもしろく、ワードセンスが光った。たっぷり時間を使った導入から「大食い選手権なのよー」で笑いをとってからは、持続的に笑いが生じる丁々発止のやりとり。
シンプルなセットで会話のみで笑いをとる。好きなタイプのコントだ。

ただ、芝居としての完成度を求めると、いくつか粗が目立った。

まず食材がラーメンであること。
なんでラーメンにしたんだろう。
はじめにラーメンの丼が二つ置いてあり、さらにお代わりを要求することで、観ている側は「ん? これはふつうの客じゃないな」とおもってしまう。ふつうの人はラーメンを二杯も三杯も食べないのだから。
その違和感があるので「大食い選手権なのよー」の驚きが目減りする。「そうだったのか!」ではなく「ああそういうことね」になる。
寿司とか天ぷらみたいにいくつも食べるものにしたらよかったんじゃないかな。天ぷらを大食い選手権で食うかは知らんけど。

そもそも大食いの選手がべらべらしゃべるのがいただけない。時間との戦いをしてるのにラーメンほったらかしで店員としゃべってはいけない。おまけにしゃべる姿から焦りとか苦しさとかがまったく感じられない。
たとえば、時間切れになり、店員に対して「おまえのせいで負けたじゃないか」と詰問する……という設定であればすんなり観れたのだが。

また「金とんのかい」のオチは首をかしげた。
そりゃ店側は金をとるだろう。おかしいのは金をとることではなく、出場者から金をとること。言葉のチョイスとして「金とんのかい」は不適切では。

このコンビの漫才を二度ほど見たことがあったが、そっちのほうが素直に笑えた。
凝りすぎた言い回しはコントの中でやると浮いてしまうので、そもそもこのコンビはコントが向いていないんじゃないだろうか……。
あの独特の口調もコントの中では不純物になってしまうし。
この大会で名前を売って今後は漫才で評価されてほしい。滝音の漫才おもしろいし、キャラが浸透するにつれどんどんおもしろくなるタイプのコンビだから。


■GAG (心が入れ替わる)

中島美嘉と草野球のおじさんがぶつかったことで心が入れ替わり、さらにはフルートを練習している少女の心とも入れ替わってしまうコント(こう書くとすごい設定だな)。

昨年大会の「公務員の彼氏と女芸人の彼女」がものすごくよかったので(あれは笑いと悲哀がふんだんに描かれていて昨年大会でいちばん好きなコントだった。オチも完璧だったし)期待していたのだが、今作は期待外れだった。

漫画的なばかばかしさは嫌いじゃないが、こういう方向にいくんならもっともっとばかをやってほしかった。
入れ替わりが明らかになってからの展開は予想通りで、「中島美嘉と草野球のおじさんが入れ替わる」というインパクトが強烈すぎるので、その後にフルートと入れ替わる、フルートになったおじさんを吹くぐらいでは驚かない。
またテンポも遅かった。深く考えずにこのばかばかしさを笑ってよ、とするなら中盤以降はテンポアップしたほうがよかったんじゃなかったのかな。

フルートとの入れ替わりというビジュアル的にわかりやすい方向にいくのではなく、入れ替わった後の心境を掘りさげて描いたらもっともっとおもしろくなったような気もする。
昨年のネタを見るかぎり、それができるトリオだとおもうし。

せっかくGAGの「流れをぶったぎる力強いツッコミで笑いをとる」スタイルが浸透してきた中で違うパターンを持ってきたのはもったいなかったな。


■ロングコートダディ (バイトの先輩後輩)

A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2の段ボールの中から指定されたものを取り出すバイト。マッチョな先輩の行動が明らかに非効率で……。

まず個人的な思いを書くと、『座王』というテレビ番組でロングコートダディの堂前さんはそのセンスの良さを存分に見せつけている。たたずまいもセリフもすべてがおもしろい。
なのでものすごく期待して観たし、どうしても贔屓目に見てしまう。

その上で感想を書くと、すごくおもしろかった。
都会的な不条理ネタかとおもいきや、先輩の「頭が悪い」ところが徐々に明るみに出てくるところはわかりやすく笑える。それでいて「ほら、おれ、頭悪いからさ」「段ボールはじめてか」のような絶妙に噛みあわない会話。

また、先輩が悪い人じゃないのもいい。すごく頭悪いし非効率だけど、仕事に対してはまじめだし、後輩には優しく教えてあげるし、「それぞれ好きなやりかたでやればいい」と自分のやりかたを押しつけようとはしないし。
めちゃくちゃ非効率だけどいい人だし結果的に他の人と同じぐらいの仕事をこなしてるから誰も注意できないんだろうな……。
この奇妙なリアリティ、すごく好きだ。

個人的には大好き。大好きだけど……大会で勝てるネタじゃないよなあ。
単独ライブの一本目でやるような自己紹介的なコントだ。
じわじわとずっとおもしろいけど、爆発的な笑いが起きるネタじゃないし。「めちゃくちゃ重い」というオチも弱い。

最初の笑い所までにあれだけたっぷり尺を使ったのだから、その後はよほど大きな笑いが起きるだろうと期待してしまう。
かといって強いフレーズや衝撃の出来事を後半に持ってくればいいかというと……それはそれでこの空気感が壊れてしまうしなー。
個人的には堂前さんのおもしろさが全国区に伝わっただけで満足。


■空気階段 (霊媒師)

霊媒師におばあちゃんを降霊してもらおうとするが、近くのラジオ電波を拾ってしまう……。

内容と関係ないけど、空気階段を見るたびにどうやってコンビを組んだのだろうとおもってしまう。コントがなかったら一生交わることのなさそうなふたりだもんな。コント以外に共通の話題があるんだろうか。

コントの内容だが、序盤のストーリー展開はわりとベタ。降霊術で別の人にアクセスしてしまうという発想は目新しいものではないし、おばあちゃんが出てきたのにチャンネル(?)を切り替えちゃうとことかは予想できた。
それでも飽きさせずに見せたのは、やはり鈴木もぐらという人間の持つ魅力のせいか。
風貌や語り口調のおかげで何をやってもおもしろいんだよね。圧倒的な存在感。芸人やめても役者として一生食っていけるだろうな。

中盤以降は、霊媒師がラジオのヘビーリスナーであることがわかったり、破産寸前であることがラジオネームからわかったり、霊媒師ラジオを通して自分の声が聞こえてきたり、ストラップの伏線を回収したり、霊媒師の変な名前を時間がたってから処理したりと、話がどんどん転がっていってひきこまれた。
キャラクターとスピード感で気づきにくいけど、めちゃくちゃしっかりした脚本だなあ。
終わってみれば非常に完成度の高いコントだった。
さほど笑えはしなかったが、芝居としてはここまででいちばん好きなコントだった。


■ジャルジャル (競艇場での営業の練習)

競艇場で歌うことになった新人歌手。ヤジに慣れるため、事務所社長にヤジを飛ばしてもらいながら歌うのだが……。

基本的には、社長が過激なヤジを飛ばす → 真に受けた歌手が歌うのをやめる → 続けるように言われる のくりかえし。
同じセリフをくりかえすあたりなど、ジャルジャルらしいコント。
基本的にやっていることは同じで、展開もだいたい読めるのに、それでも飽きさせずに客を引きつけていたのはさすが。同じ台本でもジャルジャル以外の人が演じていたらこううまくはいかないだろう。

基本的に同じことのくりかえしなので序盤でつかまれたらどんどん引きこまれるのだろうが、残念ながらぼくはあまりは入りこめなかったので最後まで笑えないままだった。
ジャルジャルは好きなんだけど。
この設定に入りこめなかった理由について考えてみたんだが、福徳さんの声質のせいじゃないかな。
競艇場のおっさんの声じゃないんだよね。ちょっと怪しい事務所社長の声でもない。少年の声。声質がぜんぜんちがう。
たとえばこの役を滝音・さすけやさらば青春の光・森田のような汚いだみ声(ここでは褒め言葉ね)の持ち主がやってたらずっとおもしろくなったんじゃないだろうか。


■ザ・ギース (退職祝い)

退職するおじさんのためにハープを演奏するコント。

序盤にしんみりした芝居をするネタフリ、舞台の夢を追いかけていたという伏線など、構成のうまさはさすが。コント巧者という感じ。
うまいコントをしながら、ラストはハープを弾きながら紙切りをするというシュールな絵で、このばかばかしさがおもしろかった。

個人的には他の番組でハープを演奏しているのを観たことがあったので「楽器ってハープか!」という驚きはなかった。
また、GAGがフルート吹いた(ふりをした)後だったので、余計にハープの衝撃が小さくなってしまった。

ハープはたしかにうまいんだけど、「がんばって練習したんだね」という余興レベルのうまさで、うますぎて笑えるというほどの技術には達していなかったのが残念。
ハープをコントの中心に持ってくるなら、東京03のハーモニカやにゃんこスターのなわとびのようにプロ級でなきゃ。
切り絵もクオリティが高くなく、ハープを弾き終わるタイミングと切り絵を切り終わるタイミングがずれていることなど細かいところが気になった。
この設定なら、驚くほどうまくないとダメだよなあ。

あと細かいことだけど、序盤の「この新聞販売所を辞めちゃうんですか」という説明台詞は個人的に大きくマイナスポイントだった。現実にはぜったいに言わないセリフなので。
こういうところを大事にしてほしい。


■うるとらブギーズ (陶芸家の師弟)

気に入らない作品を割ってしまう陶芸家。だが出来のいい作品まで割ってしまい、それを弟子のせいにする……。

昨年二位だったコンビだが、昨年の「サッカー実況」ネタはなんであんなに評価されたのかわからなかった。演技力こそあったものの「サッカーの実況と解説が別の話で盛り上がって試合を見逃してしまう」というのは安易な設定だったので(というか現実の解説者にもそういう人いるし)。

このネタにも似た感想を抱いた。
うっかりいい壺まで割ってしまうというのは、「陶芸家の師弟の設定でコントをつくってください」と言われたらまず思いつくボケじゃないか?
もちろん、師匠のキャラがどんどん変化するとことか、師弟の関係性が徐々に変化していって最後には逆転してしまうとことかはうまいんだけど、入口が平凡だった分、それを発展させたところで驚きはなかったかな。

あと、国宝級の壺を割ってしまう姿を見ると、それがウソだとわかっててもちょっと胸が痛むんだよね。「あっ、もったいない!」という気持ちがチクリと胸を刺す。
その胸の痛さを跳ね飛ばせるほどの不条理さがなかったかな。

ちなみに小学一年生の娘はこのコントでいちばん笑っていた。
そうそう、ぜんぜん悪くないんだよね。一般投票だったら上位になっていたかもしれない。
ぼくは「さあ次はどんな新しいコントを見せてくれるんだ?」と思いながら観ていたので、肩透かしを食らってしまっただけで。カトちゃんケンちゃんがやっていてもおかしくないコントだもん。


■ニッポンの社長 (ケンタウロス)

下半身が馬の少年。クラスのみんなから疎外されるが、ある日牛の頭を持つミノタウロスタイプの女性と出会い……。

いやあ、笑った。今大会でいちばん笑った。
ただコントのストーリーはあまり関係なく、ケツのあの風貌で全力でイキって歌やラップを披露する姿がおもしろかっただけなんだけど。

個人的に、ありものの曲をネタの中心に持ってくるコントが好きじゃないんだよね。曲とのギャップがおもしろいんだけど、それは曲の力じゃんっておもっちゃって。

票は伸びなかったけど、初期キングオブコントの芸人審査方式だったら相当高得点になったんじゃないだろうか。
今大会いちばんインパクトを残せたコンビ。もう一本見たかったなあ。


■ニューヨーク (結婚式の余興)

結婚式の余興のために一生懸命ピアノを練習したという新郎友人。ピアノの技術があまりに高く、さらにはハーモニカやタップダンスなど次々に余興とはおもえないレベルの芸を披露しはじめ……。

バカバカしくて好きだった。出番順も良かったのかも。ニッポンの社長のシュールなコントの直後だったので、わかりやすく笑えたのがよかったのかも。
根底にずっと「結婚式の余興なんてしょうもないもの」という底意地の悪さがあって、そのへんもニューヨークらしくてよかった。
よく考えたらべつに笑うようなことじゃないもんね。芸が見事だったからって。
じっさいの結婚式で玄人はだしの芸を披露した人がいたら、拍手喝采になるだけで、誰も笑わない。
ニューヨークって、そういうところをつっつくのがうまいよね。フラッシュモブで踊ってる人とかさ。本人はいたって一生懸命で、周囲の人も「まあおめでたい席だから」と優しい気持ちで見守っているのに、わざわざ「それってほんまに拍手に値するか?」と意地悪な指摘をしてくる。
その底意地の悪さ、好きだ。

また「芸のレベルがすごい」だけでなく、ばかみたいな歩き方をはさんだり、中盤からは大岩やドリルといった視覚的なボケ+「すごいけど危険すぎてひく」という新たな方向、とただばかをやっているようで意外と巧みな構成になっていた。

審査員にもウケて高得点だったけど、数年後に思い返したときに記憶に残っているコントかというと、どうだろう……。


■ジャングルポケット (脅迫)

男たちに監禁され、企業秘密を渡せと脅されるサラリーマン。男たちはサラリーマンの娘の情報を握っていることを明かして脅すが、その情報が深くなりすぎていき……。

娘を使った脅しから、ご近所ゴシップの話になり、どんどん話がエスカレートしていく展開はジャングルポケットらしい。
忘れた頃に脅迫の話に戻ったり、フリップを使った関係図を登場させたりと飽きさせない仕掛けがたくさん。

にもかかわらずぼくはまったく入りこめなかった。
前にも書いたけど、ジャングルポケットは芝居が過剰すぎる。
熱演をするのはいいけど、三人が三人とも早い段階でヒートアップしていくと、観ているほうはついていけなくなる。せっかく三人いるんだから、一人は抑えた芝居をしてほしい。
静かなやつがいるからこそ熱さが際立つし、熱いからこそ冷めたやつが不気味に写る。

やっぱりトリオでやる以上、「三人いる意味」ってのが常に求められるとおもうんだよね。
でもこのコントに関しては、三人いる意味がなかった。太田・おたけの役回りがいっしょで、一人の台詞をただ二人で分担して言っていただけだった。
あの二人が「ボス/手下」「感情的/冷静」「冷徹/まぬけ」のように違った役どころであれば、ぐっとおもしろくなったんじゃないかな。
交互にしゃべるだけでなくドラマ仕立てで不倫関係を再現してみせるとか。

「体育会系 宇宙系 劇団系 」というキャッチコピーがついていたけど、「宇宙系」の部分がぜんぜん活きてなかったな。せっかくバラエティ番組でキャラクターが浸透してきてるのに、もったいない。

ところで「企業秘密を出せと脅す」という設定で、「は?」と首をかしげてしまった。
企業秘密を探るのに直接的に脅さないでしょ。秘密はこっそり盗むから価値があるんでしょ。反社との付き合いに厳しい時代にあんなやりかたしたら、どう考えても秘密を盗んだほうが損をするだけじゃん。
マフィアの攻防とかでよかったんじゃないかなあ。


【ファイナルステージ】


■空気階段 (定時制高校)

定時制高校で、後ろの席の男性に恋をしている女子生徒。授業中にこっそり手紙のやりとりをしてお互いの想いをさぐりあう……。

……というストーリーを書くとどこがコントなのだという気もするが、じっさいボケらしいボケもツッコミもなく、変なところといえばただ「おじさんが何を言っているか(観ている側には)わからない」という一点のみだ。
と書くと大したことのないコントにおもえるが、いやこれはよかった。今大会でひとつ選ぶとしたらぼくはこのコントを挙げたい。

「何を言っているのかわからない」というボケ自体はさほど強いものではないのだが(ニッポンの社長のコントでも用いられていた)、しかし「手紙の読み上げナレーションもやはりわからない」「まったく日本語の音をなしていないのになぜか女性には完璧に理解できる」という不条理な設定をつけくわえることで、かえって観ている側にも理解できるようになるのがふしぎだ。
おじさんの言動が変であればあるほど、女性の想いの強靭さが伝わってくる。
伝えようとするのではなく、観客に「理解しようとさせる」表現。これはすごい。

コントとしての笑いどころは前半で終わっていて、後半はもはや完全に恋愛ドラマ。
表情やしぐさや間の使い方が実にうまい。ふたりの恋の行方はどうなるんだろう、と世界に入りこんでしまった。コントなのに、笑いどころがない。笑いどころがないのに、いいコントを見たとおもわせる。ふしぎな作品だった。

番組では化粧に時間をかけたことをつっこまれていたが、これは女性のほうがきれいじゃないと成立しないネタだから化粧はぜったいに必要な時間だった。

惜しむらくは、男性の想いが明らかになるところで安易にわかりやすい曲(『出逢った頃のように 』)に頼ったところ。
せっかく緻密な芝居でここまで世界をつくりあげてきたのだから、演技だけで見せてほしかった。

あと、すっごく細かいところだけど、後ろのおじさんが持っていたのがシャーペン(ボールペン?)だったのが気になった。
あのおじさんが持つのは短くなった鉛筆だろ!


■ニューヨーク (ヤクザと帽子)

ヤクザの親分と子分。ずっと帽子をかぶっているわけを尋ねられた子分は「髪を切りすぎたから」だという。帽子をとってみろという親分に対し、子分は強情なまでにそれを拒否し……。

本人たちがヤクザ映画みたいな芝居をしたかったんだろうな~という感想。
ヤクザ映画を好きな感じが節々から感じられる。いったん笑顔を見せてから脅しつけるとことか。

「それほど変じゃないんですよ」とか「八方塞がりなんすよ」とか微妙な心理描写はおもしろかった。
ただ、空気階段の強烈かつ繊細な芝居を観た後だからか、どうも小ぢんまりした印象を受けた。
「ヤクザが切りすぎた前髪を気にする」ってのはたしかにギャップがあるんだけど、笑うほどの落差じゃないんだよなあ。ヤクザって伊達男が多いからじっさい切りすぎたら気にするだろうし。

「たかが帽子をとるとらないぐらいで命を賭ける」ってのもばかばかしいんだけど、帽子をとりたくない側の論理もそこそこ筋が通っているから「筋を通すためならそこまでやるのもわからんでもない」ってなっちゃうんだよなあ。
どっちの言い分もわかるから。

その流れで殺すオチを見せられても後味の悪さしかない。
「それなら殺すのもわかる」でもないし、かといって「そんなことで殺すわけあるかいw」というほど無茶でもない。
コントに死を持ちこむなら、「死なせるだけの重大な理由」か「くだらない理由で死んでしまう軽妙さ」のどっちかが必要だとおもうんだよね。


■ジャルジャル (泥棒)

ある会社に泥棒に入った二人組の泥棒。だがひとりがなぜかタンバリンを持ってきたせいで大あわて……。

ううむ。これまでにジャルジャルのコントを三十本は見たとおもうけど、これはいちばん笑えなかったかもしれない。

ドジなやつがまぬけな失敗をくりひろげるわかりやすいドタバタ劇。古い。まるでコント55号のよう(ちゃんとコント55号のネタ見たことないけど)。

これは、令和二年の今あえて昭和感丸出しの古くさいコントをやるというひねくれた笑いなのか……?

感想を書くにあたって、いいところと悪いところを両方書こうと決めて書いていたのだが……。
ううむ。このコントにはいいところが見つからなかった。
笑えないだけでなく、意図すら理解できなかった。
あえて挙げるとしたら、「おまえ置いて逃げるわけないやん」の台詞と、金庫からもタンバリンが出てきたとこかな。
とはいえそれらも唐突に出てきて、その後の展開に発展するわけでもなかったのが残念。



総評

個人的に三組選ぶなら、ニッポンの社長、ロングコートダディ、空気階段かな。

まあコントは好みが分かれるものだし、審査にケチをつけるつもりはない。
ニッポンの社長やロングコートダディの点が高くなかった理由もわかるし。

ただ、全体の傾向として、ここ数年わかりやすいものが評価されているようにおもう。
新奇なものよりも、深く考えずに笑えるもの。
かもめんたるとかシソンヌとか、最近の審査傾向だったら優勝できなかっただろうな。

まあコントなんて千差万別だから本来同じ土俵に並べて点数をつけるようなもんじゃないもんな。それをたった五人の審査員がやればどうしても客席の笑いの量で決めることになってしまうのはしかたないのかもしれない。

だから審査員を変えろとは言わないけど、ぼくとしては、以前みたいに全組が二本ずつネタをする制度に戻してほしい。
一本目で下位に沈んだ組が逆転優勝をすることはまずないだろうけど、そんなことはどうでもいい。こっちはただいろんなコントが見たいんだ!


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(2019年の感想は書いてません)
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