2021年10月8日金曜日

秘伝脳

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 あれ。ちょっと待って。
 脳ってそんなに大事じゃないかも。

 とまああたしは気づいちゃった。人類がまだ気づいていない真実に。


 SF作品には
「脳だけが活かされていてバーチャル空間で活動している(とおもっている)」
「古びた肉体を捨て、アンドロイドとして生まれ変わる」
「肉体は不要。頭脳だけを電子データに置き換えることで永遠の命を手に入れる」
みたいな〝肉体不要論〟がよく出てくる。

 その背景には、脳を何より大事だとおもう思想がある。

 でもさあ。
 逆でしょ。
 人間にとって、なくてもいいのは肉体じゃなくて頭脳のほうでしょ。

 細菌でも虫でも植物でも動物でもそうだけど、生物の生きる目的って遺伝子を残すことでしょ。究極を言えば、子孫さえ残せるなら生殖器だけあればいい。
 じゃあなんで頭脳なんてかさばるものがあるのかっていったら、より効率的に遺伝子を残すためだよね。餌をとって、遠くに移動して、多くの同種の生物と出会って、遺伝子を残すため。
 それさえできれば頭なんかからっぽでもいい。頭からっぽのほうが遺伝子つめこめる。


 言ってみれば、遺伝子はマリオ。人体はヨッシー。目的はマリオを無事にゴールまで届けること。そのためならヨッシーは乗り捨ててもかまわない。

 人体は古びる。だから医学の進化によってどんどん取り換え可能になっている。
 義手、義足、義歯、人工臓器、臓器移植、輸血。取り換え可能じゃないもののほうが少ないぐらい。

 取り換えできないものの代表が脳だ。
 今はね。取り替えたら別人になってしまう。
 でも、ほんとにそう?
 それは脳を中心に物事を考えているから。だけど脳なんて数ある臓器のひとつ。


 こう考えてみよう。
 スマホが壊れたので修理に出したら、データがすべてふっとんだ。初期状態に戻ってしまった。
 そのとき「新しいスマホが手に入った」とおもう?
「自分のスマホはどこかに行ってしまった」とおもう?
 おもわないよね。「スマホがリセットされた」とおもうだけだ。

 逆に、機種変更をしたとき。データを古いほうから新しい機種に引き継ぐ。
 このとき、メモリは以前のままだけど「新しいスマホを手に入れた」とおもう。

 ここからわかるのは、スマホの本体とはデータではなく、ボディのほうだということ。
 ボディが新しくなればデータが古くても「新しいスマホ」だし、ボディが変わらなければデータがふっとんでも「元のスマホ」だ。

 人間も同じように考えればいい。脳は別のものに変わっても身体が変わらなければ同一人物だ。


 そう考えれば、いつまでも古い脳を使いつづける必要なんかどこにもない。
 脳が古くなったら新しい人工脳を使う。肉体が古くなったら新しい身体に取り換える。
 そうやって、秘伝のタレみたいにつぎたしつぎたし使っていけばいいよね。


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