2020年9月24日木曜日

カラス侵入禁止

このエントリーをはてなブックマークに追加

 とあるマンションのごみ捨て場で見た貼り紙。


ナンセンスだ……。

いうまでもなく、カラスに文字が読めるわけがない。

カラスは頭がいいというが、それにしたってこれは伝わらない。
カタカナはともかく漢字は無理だろ……(カタカナもたぶん無理)。


これが「犬侵入禁止」ならまだわかる。

イヌが一匹で歩くことはあまりないから、飼い主に「ここに犬を入らせるなよ」と伝えられる。

だがカラスは基本的に野良だ。

この貼り紙はカラス本人に向けたものなのだ。


しかも、カラスにゴミを荒らされてかっとなり我を忘れて書きなぐった、というものではない。

パソコンでPowerPointを起動させて、テキスト欄を挿入して「カラス侵入禁止」と書き、中央に配置し、印刷設定で[印刷の向き]を[縦]に設定し、[部数]を[2]にして印刷し、出てきた紙が濡れたり破れたりしないように透明な袋に入れ、袋にパンチで穴を開け、穴に紐を通し、マンション管理組合の倉庫からカラーコーンとコーンバーを持ってきて、コーンバーに貼り紙を結わえつけてゴミ捨て場に設置する。

張り紙設置までにいくつもの工程がある。
その工程のどこかで「おかしい」とおもわなかったのだろうか。

ちゃんと文字は用紙の中央に印刷されているし、紐はほどくときのことを考えてちょうちょ結びにしている。
落ち着いた仕事だ。

冷静に、狂ったことをしている。

こういう人がいちばん怖い。




カラスに「ここに入るな」と伝えたいなら、「カラス侵入禁止」じゃだめだ。

たとえば、カラスが死んでいる絵を描くとか。


これがカラスに伝わるかはわからないが、少なくとも「カラス侵入禁止」の貼り紙よりはマシだろう。

あるいはカラスが怖がるものの絵を描くとか。
犬とか鷹とか。




百歩譲って、カラスが文字を読めて、その意味を十分に理解できるものとする。

だとしても、「カラス侵入禁止」では効果がないだろう。
これを書いた人はカラスの心理をわかっていない。

カラスに人間の法は通じない。

「カラス侵入禁止」と書いても、おとなしく従ってくれるとはおもえない。

むしろ「ここにはカラスの好きなものがあります」というメッセージを発信してしまうだけで、逆効果だ。


カラスにゴミを漁らせないような文章を書くとしたら、

「名物 焼きカラス販売中。おいしいよ!」

とかが効果的なんじゃないだろうか。
これなら文字の読めるかしこいカラスは近づかないだろう。

あるいは

「カラス様各位。いつもゴミ捨て場をきれいにお使いいただいてありがとうございます」

とか。


このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿