歯医者がすごく感じの悪い人だった。
患者であるぼくに対してはにこやかに接するんだけど、歯科助手に対する当たりがとにかくきつい。
「〇〇出しとけって言っただろうが」
「はぁ? なんで□□だと思うんだよ。チッ」
みたいな感じ。
歯科助手に対してずっとイライラしている。
歯科助手がふたりいてどっちにも当たりがきついから、歯科助手がとりたてて愚鈍というわけではなく、歯科医師側に問題があるのだと思う。
歯科助手へのあたりはきついのに患者であるぼくには「大丈夫ですか~。痛くないですか~」みたいな柔和なしゃべりかたをしてくる。うわこわいこわい。余計にこわい。
全方位的に不愛想なのもイヤだけど、まだマシだ。
自分だけ優しくされたら
「患者に無理して優しくした分のストレスのはけ口が歯科助手に向かってるのだろうか」
と、こっちまで罪悪感をおぼえる。
すまない歯科助手よ、ぼくが来てしまったせいで。だってかんたんに予約とれたんだもん。そりゃ患者寄りつかんわ。
横で人が怒られてるときの居心地の悪さについて。
『孤独のグルメ』という漫画に
「主人公が入った飲食店で、店主が年寄りの従業員を激しくののしっているのを見てげんなりする」
というエピソードがあった。
あの気持ち、よくわかる。
自分が怒られるのも嫌だが、自分と無関係の人が無関係のことで怒られているのはもっと嫌だ。
ぼくは子どもの頃から親や教師に怒られつづける人生を送ってきたので自分が怒られても蛙の面に小便だが(一応反省しているフリだけはする)、それでも他人が説教されているのはつらい。
ヤンキー風の親が自分の子に「うるせえから泣くなっつってんだろ、ボケ!」なんて言ってるのを聞いたときは、自分が怒られたとき以上に胸がいっぱいになる。
わざわざ部外者の前で叱りたおす人は、どういう気持ちでやっているのだろうか。
仮説を立ててみた。
1.相手のプライドをへし折るため
こっそり注意されるよりも人前で口汚く罵られたほうが当然ダメージは大きい。だから相手を育成するためにプライドをへし折ってやろうと思い、わざと衆人環視のもとで罵倒しようと考えているのかもしれない。
修復できないぐらい信頼関係が傷つくから、育成には逆効果だろうけど。
2.周囲へのアピール
信じがたいことだが、店だったら「うちはちゃんと従業員教育に力を入れているんですよ」
親だったら「わたしはちゃんと公共の場で子どもを厳しくしつける親ですよ」
というアピールのため、つまりはサービス精神の発露なのかもしれない。
当然ながら逆効果にしかならないわけだが(サービス業なら「感じの悪い店」、親なら「児童相談所案件予備軍」と思われるだけ)本人は「うちはちゃんとやってますよ!」というアピールのつもりなのかもしれない。
3.何も考えてない
これがいちばんありそうだね。二歳児のように感情をうまくコントロールできないだけ。
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