『明日クビになりそう』
サレンダー橋本
どうしようもないクズが現実から逃げまわるだけの漫画……。ということで石原まこちん『The3名様』を思いだした。どちらもギャグなのに哀愁がある。
自分の中にある、見ないようにしているダメな部分を突きつけられるような気がする。
小学生のとき、出さなければいけない書道の課題を提出しなかった。
先生に咎められたとき「出したはずですけど」と嘘をついた。先生は「ほんとか? じゃあもう一回調べてみるわ」と言った。
どうしよう、すぐばれる。怒られる。やってなかったことも、嘘をついたことも。息ができない。胸がキリキリと痛む。
あのときの気持ちを思いだした。
ぼくもそれなりに成長したので「めんどくさいことは先延ばしにするとよりめんどくさいことになる」ということを知っている。だからめんどくさいことは早めに処理するようにしている。
だけど「めんどうなことは先延ばしにしたい」という誘惑は、今もぼくの中に巣食っている。隙あらば首をもたげるのを、大人としての理性が必死に抑えこんでいる状態だ。
仕事に関してはそこそこちゃんとやるようにしているが、家事となるとそうではない。部屋の片づけとか不用品の整理とか換気扇の掃除とか、めんどうなことからは目をつぶりつづけている。
「今忙しいから」「疲れてるから」「子どもと遊べるのは今だけだから」そんな理由をつけて、家事から手を抜こうとがんばっている。
だからぼくは知っている。自分にとって、仕事の手を抜くことだってまったくやぶさかではないということを。
仕事のやりがいや、周囲の目や、叱咤する上司や、そういったものから解放されたならばぼくは平気で手を抜くだろう。
ああ、この漫画に描かれているのはぼくのことだ。
『明日クビになりそう』を読みながら自分自身のダメさをひとしきり笑い、そして心が痛くなる。
その他の読書感想文はこちら
0 件のコメント:
コメントを投稿