2017年10月19日木曜日

距離のとりかた

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 我ながら気持ちが悪いと思うのだが、高校生のときにやっていたことがある。

 春。新しいクラスが発表されると、真新しいノートを一冊用意する。
 ノートに新しいクラスメイト全員の名前を書く。出席番号順に書いてゆく。

 名前と名前の間は10行ほどの間隔をとってある。このスペースを、数ヶ月かけて各人のパーソナルデータで埋めてゆく。

 何中学出身か。

 部活は何をやっているのか。

 誰と仲が良いのか。

 わかったことからどんどん書いてゆく。
 クラスメイトが立ち話をしていたら、会話の内容を盗み聴きしてはノートに書く。


 そして。

 ときどきノートを読み返しては、書いてある情報を頭にたたき込む。
 クラスメイトの田中くんが南中出身で、陸上部で高跳びをやっていて、渡辺くんと幼なじみで、将棋が強いなんて情報は、すべて頭に入っているのだ。
 田中くんとはまだ一度も話したことがないのに。

 おお。
 おのれのことながらなんて気持ちが悪いんだ。書きながらゾクゾクしてきた。
 どう考えても、他人との距離の取り方がわからない人間だ。
 精神科に行ったらちゃんとした病名をつけてもらえるやつだ。保険証用意しなくちゃ。

 あと、席替えのたびにクラス全員の座席表を記録して、自宅の机に置いていた。
 自宅の机の前で、教室でのふるまい方をシミュレーションしていたのだ。
 おお。なんて不安定な人格なんだ。鳥肌が立ってきた。
 親が知ったら「うちの子大丈夫かしら」と神主さんに相談するタイプのやつだ。

 そこそこ友人たちと仲良くやれていたと自分では思っていたけど、はたしてちゃんと人付き合いできていたのだろうか。今になって不安になってきた。


 まあ思春期って誰しもそんなことしちゃうよね。
 よくあることさっ。

と己を慰めた後で、もらった名刺の余白をその人のパーソナルデータで埋め尽くしている自分に気づく。


 誰か、いい神主さんがいたら紹介していただきたいものだ。

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