爪切男
爪切男さん(こういう名前)が学生時代に好きだった女の子たちとの思い出を書いたエッセイ集。
エッセイというか、かなり創作が混ざっている感じがあるけど……。
好きだった女の子といっても、登場するのはクラスのアイドル的な美少女ばかりではなく、なにかしら問題を抱えた女の子ばかりだ。
よく吐く女子、男子の金玉を攻撃する女子、水飲み場の蛇口に直接口をつけて飲む女子、ひげの濃い女子、家が貧しくて泥棒をする女子、まったくしゃべらない女子……。
人気者ではなく、他の子から避けられたり嫌われたりしてる子に爪切男は愛を込めた目を向ける。歪んだ性癖だ。
しかしこの気持ちはちょっとわかる。ぼくも小学生時代はいちばんかわいい子が好きだったけど、中学生からはクラスの人気者じゃなくてちょっと陰のある子を好きになった。あんまり男子としゃべらない女の子と言葉を交わした後に、ささいなしぐさが気になって、「この子の魅力に気付いているのは自分だけかもしれん」とおもうとどんどん気になってしまう。
ただのあこがれから、「自分のものにしたい」欲が強くなってくるからかな。中学生ぐらいになってから異性の好みは多様化していくよね。
爪切男さんは小学生で「目立たない子の、自分だけが気付いている魅力を発見する」歓びを覚えているのだから相当マセているなあ。
書かれているエピソードはどれもおもしろいんだけど、エッセイとして発表されている以上、あまりにおもしろいと眉に唾をつけてしまう。
そんなにたくさん、クラスの女子とのおもしろいエピソードがあるわけないだろ、という気になってしまう。
窃盗癖のある〝ナッちゃん〟とのエピソード。
おもしろいんだけどさ。でもこれはもう小説でしょ。
作り話感が強すぎる本題の「クラスメイトの女子との思い出」よりも、個人的には家族のエピソードのほうがおもしろかったな。
ま、こっちも創作っぽさはすごいんだけど。でも、変に「あまずっぱい恋の思い出」にしている女の子との思い出よりも、こっちのほうがばかばかしくて笑えた。
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