2022年10月27日木曜日

スケボーのがらがら

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 人は千差万別だからなかなか意見が一致することはないけれど「公共スケボーがみっともない」ってことだけは万人が共感するところだろう。多様性の時代とはいえ、これだけは未来永劫変わらない。

 公共スケボーってみっともないじゃない。公園とか駅の通路とかではしゃいでる連中がいるけど、まあ例外なくみっともない。スケボーのやつらに比べたら、コスプレイヤーの写真を撮ろうと地面に這いつくばって望遠カメラを構えている連中が高貴に見えるぐらい。

 またふしぎなのは、スケボーがうまければうまいほどみっともないってこと。

 スポーツでもダンスでも歌でも、ふつうはうまければかっこいいじゃない。なのに公共スケボーとゲーセンのダンスゲームだけは逆。うまいやつほどみっともない。

「わっ、公園であんな大技決めてる。なんてかっこわるいの」
「駅の通路であんなにうまくなってるってことはこの場所で相当練習したにちがいないわ。恥の概念を母親の胎内に忘れて生まれてきたのかしら」
ってなるじゃない。

 まだへたなやつのほうが見てられる。ぶざまにころんで傷をつくりながらスケボーをやってるやつのほうが、ひたむきさがあるだけまだマシ。うまいやつは「本人がおもっているオレかっこいいっしょ」と「周囲から見えるみっともなさ」のギャップが大きい分、見ていられない。


 なんでスケボーってあんなにかっちょわるいんだろう、同じようなことやってるスノーボードはそうでもないのにって考えたんだけど、ひょっとしてあの「がらがら」のせいじゃない?

 ほら、スケボーってがらがら鳴るじゃない。公園でやってる連中、ずっとがらがらがらがらがらがらがらがらいわせてるじゃない。がらがらがらーってすべってきて、がらがらっとジャンプして、がっらーんと着地して、またがらがらがらーとすべっていく。

 あの音こそがみっともなさの根源じゃないだろうか。

 考えてもみてよ。モデルがランウォークを歩くとき、ばたばたばたって音を立てて歩いてたら。ノーベル賞受賞者が発表する間ずっとずずずずずって鼻をすすってたら。戦闘ロボが怪人をやっつける間ずっとギーギーガチャガチャガチャーンって音がしてたら。

 かっちょわるい。

 そうなのだ。音を立てて行動をする人は例外なくかっちょわるいのだ。だから食事中に音を立てるのはマナー違反とされているのだ。

 優雅な動作って音を立てないじゃない。上手な人のバレエなんか、すーっと移動して、ふわっと舞うように跳んで、まるで羽が降りてきたかのように音もなく着地する。がらがらのスケボーとは大違いだ。


 そういえば、駅でスーツケースを引きずって歩いている連中もみんな下品だ。空港だとスーツケース用に平らな地面になってるけど、駅はそうじゃない。だからちょっとした段差や視覚障害者用ブロックに引っかかってがらがらがらがら鳴っていて聞き苦しい。

 スケボーにしてもスーツケースにしても、もうちょっと耳あたりのいい音にできないのかね。もしもスケボーの音色が美しかったなら、きっと今頃は皇族などがたしなむ上流階級スポーツになっていただろうに。



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