2021年4月27日火曜日

【芸能鑑賞】『ドロステのはてで僕ら』

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内容紹介(映画.comより)
「サマータイムマシン・ブルース」などで知られる人気劇団「ヨーロッパ企画」の短編映画「ハウリング」をリブートした劇団初となるオリジナル長編映画。とある雑居ビルの2階。カトウがテレビの中から声がするので画面を見ると、そこには自分の顔が映っていた。画面の中のカトウから「オレは2分後のオレ」と語りかけられるカトウ。どうやらカトウのいる2階の部屋と1階のカフェが、2分の時差でつながっているらしい。「タイムテレビ」 の存在を知った仲間たちは、テレビとテレビを向かい合わせて、もっと先の未来を知ろうと躍起になるが……。

『サマータイムマシン・ブルース』などで知られるヨーロッパ企画の映画。

 70分ほどの映画だが、もしかしてこれ全部1シーン? 細かくチェックしてないけど場面転換が一度もないよね?(調べてみたらさすがに全編1シーンではないらしい。そう見えるけど)。
 映画というより芝居を鑑賞しているような気分になる。
 時間ものという難しいテーマを、場面転換を使用せずに処理しているのがすごい。


 2分後の未来(また2分前の過去)の自分と会話ができる〝タイムテレビ〟を手に入れたカフェのオーナー。カフェの常連客たちはあれこれとテストをして、ついに2分より先の未来を知る方法を発見するが、それがおもわぬピンチを引き起こす……。
 ヨーロッパ企画らしい(っていってもぼくは『サマータイムマシン・ブルース』しか観たことないんだけど)SFコメディ。
 未来を知ることができるのだが「2分だけ」というのが、絶妙に「あまり役に立たない」ライン。じっさいに登場人物は「コンビニのスクラッチくじを当てる」「ガチャガチャで狙っている商品をあてる」といったくだらないことに使う。このあたり、『サマータイムマシン・ブルース』でタイムマシンを「壊れる前のエアコンのリモコンを取りに行く」というくだらない目的のために使っていたのをおもいだす。

 中盤はひたすら〝タイムテレビ〟の使い方実験が続くのでやや退屈だが、「未来の自分の言っていたことが現実にならない」などのアクセントが効果的。
 そしてケチャップ、シンバル、ゼブラダンゴムシといった小道具の登場が実にニクい。まあシンバルは「これは後で何かあるな……」って感じだったけど。

 ストーリーはとにかくよくできていた。終盤で〇〇(ネタバレのため伏字)が出てきてからはちょっと説明くさい感じがしたけど。でもあそこのばかばかしい展開も嫌いじゃない。

 あととにかく撮影がたいへんだっただろうなと感心した。一発勝負だもんな。ちょっとだけカメラワークを失敗しているところがあるが、それはそれで新鮮でおもしろい。

 脚本はすごく緻密でよくできてるんだけど、登場人物のキャラクターはおもしろみにかける。みんな呑み込みが早いしいい大人だから落ち着いてるし。もっとバカなキャラクターがいてもよかったかな。

 とはいえ時間ものSFが好きな人ならまちがいなく楽しめる作品。


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