『サマータイムマシン・ブルース』などで知られるヨーロッパ企画の映画。
70分ほどの映画だが、もしかしてこれ全部1シーン? 細かくチェックしてないけど場面転換が一度もないよね?(調べてみたらさすがに全編1シーンではないらしい。そう見えるけど)。
映画というより芝居を鑑賞しているような気分になる。
時間ものという難しいテーマを、場面転換を使用せずに処理しているのがすごい。
2分後の未来(また2分前の過去)の自分と会話ができる〝タイムテレビ〟を手に入れたカフェのオーナー。カフェの常連客たちはあれこれとテストをして、ついに2分より先の未来を知る方法を発見するが、それがおもわぬピンチを引き起こす……。
ヨーロッパ企画らしい(っていってもぼくは『サマータイムマシン・ブルース』しか観たことないんだけど)SFコメディ。
未来を知ることができるのだが「2分だけ」というのが、絶妙に「あまり役に立たない」ライン。じっさいに登場人物は「コンビニのスクラッチくじを当てる」「ガチャガチャで狙っている商品をあてる」といったくだらないことに使う。このあたり、『サマータイムマシン・ブルース』でタイムマシンを「壊れる前のエアコンのリモコンを取りに行く」というくだらない目的のために使っていたのをおもいだす。
中盤はひたすら〝タイムテレビ〟の使い方実験が続くのでやや退屈だが、「未来の自分の言っていたことが現実にならない」などのアクセントが効果的。
そしてケチャップ、シンバル、ゼブラダンゴムシといった小道具の登場が実にニクい。まあシンバルは「これは後で何かあるな……」って感じだったけど。
ストーリーはとにかくよくできていた。終盤で〇〇(ネタバレのため伏字)が出てきてからはちょっと説明くさい感じがしたけど。でもあそこのばかばかしい展開も嫌いじゃない。
あととにかく撮影がたいへんだっただろうなと感心した。一発勝負だもんな。ちょっとだけカメラワークを失敗しているところがあるが、それはそれで新鮮でおもしろい。
脚本はすごく緻密でよくできてるんだけど、登場人物のキャラクターはおもしろみにかける。みんな呑み込みが早いしいい大人だから落ち着いてるし。もっとバカなキャラクターがいてもよかったかな。
とはいえ時間ものSFが好きな人ならまちがいなく楽しめる作品。
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