2021年1月25日月曜日

夫婦間の負担が公平であってはいけない

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■増田やはてブの年長者の方にお知恵をお借りしたいです


 これを読んでいろいろ考えた。
 ぼくは生まれ育った実家を除けば、二回他人との共同生活を送り、一度は失敗して一度は今のところうまくいっている。

 一回目は大学生のとき。姉の通う大学とぼくの大学が近かったので、2LDKで3年間いっしょに暮した。
 これは失敗した。そこそこうまくやってたのは最初の半年ぐらいで、最後の一年ぐらいはほとんど口も聞かなかった。

 姉弟だから実家生活の延長でうまくいくだろうとたかをくくっていたのだが、姉弟だからこそうまくいかなかったのかもしれない。遠慮の無さが悪いほうに転がった(今の関係は良好だけどね)。


(以前書いた記事)  姉との二人暮らし

 うまくいかなかった理由はいろいろあるけど、よく衝突したのは家事の負担をめぐってだった。
 はじめは料理や洗濯や掃除の分担を決めていたのだが、求める水準が姉とぼくとではずいぶんちがった。ぼくはだらしない人間なので部屋が汚れても平気だし洗濯物が溜まってもいいし料理も食えて腹が膨れりゃなんでもいい。姉は全般的にきっちりしている。

 そういうふたりが「家事を半分ずつこなそう」なんて無理がある。姉はぼくのやりかたに文句をつけ、そのたびにぼくはやる気をなくてしてますます家事を雑にやるようになった。


 二度目の共同生活は、九年前から。結婚して妻と暮らすことになった。
 これも最初はいろいろとぶつかった。やはりぼくのやりかたが気に入らない妻が不満を抱えた。特に、「妻が先に住んでいた家にぼくが後から転がりこむ」という形だったので、妻はそれまでのやりかたを変えなければならないことがあったし、ぼくはぼくで既にあるルールを押しつけられる形だったので気に入らないことも多かった。

 いろいろぶつかったが、ぼくにとって助かったのは、妻があきらめてくれたことだ。
「この人が洗い物を丁寧にやることを期待するより自分がやったほうが早いしストレスも少ない」
とおもってくれたことだ。
 幸か不幸か妻のお父さんがまったく家事をしない人だったそうなので、「それよりはマシ」とおもってくれたらしい。

 そんなわけで妻がぼくに期待する家事負担は50ではなく10か20ぐらいになった。
 子どもができ、妻が産休・育休をとったことで、妻のほうが家にいる時間が長くなったこともある。

 その代わりといってはなんだが、生活費はぼくのほうが多く入れているし(妻は時短勤務なのでその分給料も減っているので)、ぼくはぼくの得意なことをやっている。休日はほぼずっと子どもといっしょにいる。その間妻は昼寝や趣味に時間を使っている。




 で、冒頭の記事の話に戻るけど。
(3歳が書いたとかいうのはめんどくさいから無視する)

 たった二例ではあるが、ぼくが共同生活に失敗と(今のところ)まずまずうまくいってる経験からいうと、この人みたいにきっちり家事の分担を分けて50:50にもっていこうとするとまず失敗する。

 55:45だからダメとかそういう問題じゃなくて、そもそも「どうやったら損をしないか」って考えてる時点でもうダメ。

 人間関係はファジーなほうがうまくいく。貸し借りとか損得をあいまいにしとくほうがいい。
 お隣さんからリンゴをおすそ分けしてもらったとき、そのリンゴの市場価格を調べてその日のうちに同額の現金または商品でお返しする人はうまく近所付き合いができない。
 友だちや恋人に
「あの飲み会のときは自分が〇円多く出した。旅行のときは向こうがガソリン代を払った。こっちは引っ越しの手伝いをしてあげた」
と勘定を口にする人からはみんな離れていく。
「ああこの人は自分のことを損得の対象としてしか見てないんだな」っておもうから。


 ぼくの友人夫婦の話をする。
 妻のほうが重い病気になり、遠くの病院に入院することになった。結局一ヶ月くらい入院していた。その間、夫のほうは大変そうだった(もちろん妻のほうも大変だっただろうが)。仕事をしながら、入院にまつわるあれやこれやをして、子どもたち(ふたりとも保育園)の面倒も見なければならない。子どもたちのおじいちゃんおばあちゃんに来てもらったりもしていたが、負担は相当大きかっただろう。フルタイムで働きながら家事と育児を一手に引き受けていたのだから。

 幸い妻の病気は治り、今は何事もなく暮らしている。そして大変な局面を乗り越えたこの夫婦は、入院前よりも仲良くなったらしい。
 もしも夫のほうが「どんなときでも家事は半分ずつ」とか「入院中は自分が全部やってたんだから退院後はそっちの負担を大きくするべき」とか言ってたら。まちがいなく、夫婦仲は修復不能なほど壊れていただろう。


 夫婦は持ちつ持たれつであるべきだが、それは何もすべてを50:50でやるということではない。家庭への貢献は、生活費とか、家事とか、育児とか、介護とか、高額な生命保険に入るとか、食卓でおもしろい話をするとか、いるだけで場がなごむとか、いろいろあるはずだ。当然ながら全部を数値化して貢献度合いを半分ずつにすることは不可能だ。


 だから冒頭の相談についてもしぼくがアドバイスするとしたら、「そんなこと気にするな」としか言いようがない。気にすること自体がまちがいなんだから。
 身も蓋もない結論になっちゃうけど。


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