小学五年生のとき。
友人と自転車リレーをしていた。コースは住宅地の道路一周。車道を全速力で走るのだ。
車道を全速力で下っていたら、前から自動車が来た。ぶつかったが、両者ともあわててブレーキをかけていたので衝撃はほぼなかった。
すみませんすみませんと謝って逃げるようにその場を離れた。
車道を全速力で走っていたのでこっちが悪いのだが、もし怪我でもしていたら9:1で自動車の過失になっていただろう。向こうからしたらとんだ災難だ。
高校二年生のとき。
自転車での通学途中に、信号のない横断歩道で自動車とぶつかった。
このときもあわててすみませんすみませんと謝って逃げるようにその場を離れた。「車を傷つけてしまった!」という気持ちで頭が真っ白になっていたのだ。
よくよく考えてみれば、飛びだしたこちらも悪いが、横断歩道で一時停止していなかった自動車のほうが責任は重い。
後で気づいたら自転車のタイヤが曲がっていて修理に金がかかった。だがこちらから逃げてしまったので後のまつり。
修理代ぐらいもらえばよかったと後悔したものだ。
二十二歳のとき。
はじめて買った自動車で他の自動車とぶつかった。交差点での衝突事故。向こうのほうが優先で、こちらが一時停止を守っていなかったのでぼくが悪い。たしか過失割合は9:1ぐらいだったとおもう。
就職した会社を数ヶ月でやめて、気持ちが落ち込んで心療内科に通っている時期だったので、余計に落ちこんだ。
警官のおっさんに「なに? 仕事を辞めて病院に通ってる? 心療内科? どうせコンビニ弁当ばっかり食べてるんだろ。だからだよ。ちゃんとしたもん食べないとだめだぞ」とめちゃくちゃ理不尽かつ事故とまったく関係のない説教をされて腹が立った。
二十七歳のとき。
朝五時、出勤途中。雨なのにスピードを上げていたため、信号で止まれず前の車に衝突。停車中の車に後ろから衝突したので10:0でぼくが悪い。
ぼくの乗っていた車はエアバッグが飛びだして廃車になった。
幸い相手に怪我はなかったが、歩行者がいたら殺していたとおもうとぞっとした。めちゃくちゃショックを受けて二度と車を運転したくないとおもった。ついでに自動車通勤必須の仕事もやめようとおもった。
こうして並べると、過失の差はあれど、ぼくがスピードを出しすぎていなければ防げていた事故ばかりだ。
基本的にスピードを出しすぎる性質なのだ。
よく「ハンドルを握ると性格が変わる」というが、これはぼくには当てはまらない。なぜならぼくはせっかちで、歩いているときも「おらおらどけどけ」と思いながら歩いているからだ(ぶつからないようにはしているが)。
自分でもよくわかる。ぼくは運転に向いていない。
だから今は車を所有していない。もう八年ぐらいハンドルを握っていない。完全なペーパードライバーだ。
これから先も、自動運転車が実用化しないかぎりは車を所有することはないだろう。
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