女の園の星
和山 やま
『このマンガがすごい!2021』オンナ編第1位になった作品(しかしオトコ編オンナ編って区分、そろそろ時代遅れじゃないかね)。
「受賞時点での巻数が少ない」「メジャーな雑誌に連載されていない」「ギャグ」で、『このマンガがすごい!』に選ばれる作品って外れがないよね。『聖☆おにいさん』とか『テルマエ・ロマエ』とか(ぼくが漫画をよく読んでいたのは十年前までなので情報が古い)。
ってことで『女の園の星』を読んでみた。うん、おもしろい。
なんていうか、一言でいうなら「センスがいい」。
ギャグなんだけど、舞台はごくふつうの女子校だし、ありえない状況も起こらないし、むちゃくちゃ変な人も出てこない。登場人物のテンションも低め。シチュエーション、キャラクター、ストーリー、どれもが常識の範囲内。なのに笑える。これはもうセンスがいいとしか言いようがない。
やってることは「教師が学級日誌に描かれている内容に首をかしげる」「あまり付き合いのよくない教師がめずらしく同僚と飲みに行く」など、ごくごくふつうのことなんだけどね。
女子校が舞台でありながら色気も一切なし。というか生徒はほとんど個性がない。変なのは鳥井さんぐらい。
「あるある」と「ねーよ」の間の絶妙なところをついてくる。「ない……けどひょっとしたらあるかも」ぐらい。
ぼくは女子校生に通ったことがないので(あたりまえだ)、余計にそうおもうのかも。ほとんどの男にとって女子校って未知の世界だから、「ないとおもうけど女子校なら起こりうるのかも」とおもってしまう。
どんな不思議な出来事でも「インドでの出来事」とつけくわえれば「いやインドならありうるかも……」という気になるのと同じだ。女子校はインドなのだ。
おもしろかったので次の巻も買おうとおもったらまだ1巻しか出てないんだな。それで『このマンガがすごい』1位になるなんてすごい。
仕方ないので同じ作者の『夢中さ、きみに。』を買って読んでみた。こっちは男子校が舞台。こっちもおもしろい。でもこっちは「ねーよ」が強すぎるな。ぼくが男子だったからかもしれないけど。
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