「虫養い(むしやしない)」という言葉を知った。
ちょっとした間食、小腹が空いたので腹に入れるもの、そんな意味だそうだ。
腹の虫をおさめるためにちょっとした食べ物をあげる、ということが由来らしい。「養う」という表現がおもしろい。「腹の虫さんとなんとかうまく折り合いをつけて付きあっていこう」という感じがする。
京都の古い言葉だそうだ。ぼくは京都に住んでいたこともあるが一度も聞いたことがなかったが。
腹の虫(イメージ) |
腹の虫は怒りを担当しているのかと思っていた。
「腹の虫が収まらない」といえば、怒りが持続する様子を表す慣用句だからだ。
でも、腹の虫は怒りだけでなく空腹も担当しているらしい。
言われてみれば、怒りと空腹はかなり近いところにある。
子どもを見ているとよくわかる。
特に二~三歳ぐらいの子どもは、食事前に大暴れする。
「こんなの食べたくない!」
「この席じゃない!」
「自分でスプーンとりたかった!」
何度、こんな難癖をつけてわめきちらされたことか。
こういう怒りは、ご飯を食べたらすぐに鎮まる。
一口ごはんを口に入れただけで、大暴れしていた子がとたんににこにこして「おいしい」と言う。
なのに、食べない。
腹がへって血糖値が下がるから怒る。怒って食べない。食べないから腹がへる。腹がへるから激怒する。
もう手が付けられない。地獄だ。
(あと眠いときも同じことが起こる。眠い→激怒→眠いけど寝られない→さらに怒る)
大人の場合はコントロールできているように思うけど、じっさいどの程度コントロールできているんだろう。
表面上は抑えているだけで、じつは大人も大差ないんじゃないだろうか。
衝動的な暴力事件の発生と胃袋の中の状態を検証したら、見事な相関関係が得られるんじゃないかとぼくは思う。
「魔が差した」という言い方があるけど、「腹の虫が暴れた」のほうがより正確な表現かもしれない。
0 件のコメント:
コメントを投稿