2023年3月24日金曜日

門戸厄神厄払いツアー

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 ふと「そういや厄年っていつだっけ?」とおもって調べてみたら、ちょうど今年が前厄だった。

 厄年なんて「この壺を買わないと不幸が訪れますよ」という霊感商法だといっしょだとおもっているが、迷信だとわかっていても「あなたには今年いやなことが起こります」と脅されていい気はしない。

 さりとて厄払いに行くのも、まんまと霊感商法に騙されるようで気に食わない。

 ……そうだ! いい案をおもいついた。

 「悪いことが起こらないように」という気持ちで行くから不愉快なのだ。いっそのことイベントとして厄払いを楽しめばいい。成人式と同じように、一生に一度のイベントとして厄年を楽しむのだ!


 ということで、さっそく高校時代の友人たちに『厄年が行く! 厄払いツアー』をやろうぜと声をかけた。

 ぼくは早生まれなので同級生たちの多くは本厄。訊くと、誰もまだ厄払いをしていないそうだ。信仰心のない連中どもめ。ひとのことは言えないが。

 というわけで、四十歳のおじさん三人が参加に名乗りを上げた。ぼくを入れて四十が四人。ううむ、縁起が悪い。これでこそ厄払いにふさわしい。

 行き先は兵庫県西宮市の門戸厄神。ここには東光寺という寺があり、なんとあらゆる災厄を打ち払う厄神明王がいるらしい。あらゆる災厄を。すごい。日本屈指の厄除けのメッカだ(寺を別の宗教の聖地で例えるというたいへん不謹慎な比喩)。


 かくして某月某日、高校の同級生四人(+その子どもたち)が門戸厄神に集まった。門戸厄神のホームページには節分までに厄払いを済ませましょうと書いてあったが、それは見なかったことにした。

 阪急門戸厄神駅から住宅街を歩いていくと、やがて上り坂に変わる。そしてこのあたりから参拝客目当ての屋台の姿が目に付く。チョコバナナ、からあげ、ベビーカステラなどの屋台。参拝客も多く、すっかりお祭り気分だ。

 坂をのぼって東光寺へ。「そえごま 五百円」という案内が。そえごまってなんだろうとおもいながら、みんなが買っているので窓口で五百円を払う。すると五十センチくらいの木の札を渡された。ここに名前と数え年、願い事を書くように言われる。厄払いに来たのに厄を払うどころか願い事まで叶えてくれるのか? なんと至れり尽くせり。

そえごま

 そえごまを奉納。すると、あとは先方が燃やすか何かして、いい感じにしてくれるのだそうだ。引き換えにお札を渡される。こいつを玄関に貼っておくといい感じになるのだそうだ。なんだかよくわからないがとにかくいい感じだ。

 あとは煙を頭に浴びたり、御守りを買ったり。せっかくなので賽銭もはずむ(なんと百円!)。ろうそくが一本二十円で売っていたので、これに火をつけて燭台に立てる。やってみてから気づいたが、これをやったら何が起こるのか一切説明がない。よくわからないものに二十円もの金を払ってしまった。これが富裕層だ。

 坂を下りると「厄払い饅頭」なるものを売っていたので買って食う。まったく期待していなかったのだが焼きたての厄払い饅頭はたいへんうまかった。たぶん厄払い饅頭を食うのは人生においてこれが最後だろう。一生に一度の味。

 これにて厄払いは終了。もう一生安泰だ。悠々自適の左団扇生活が約束された。


 隣駅の西宮ガーデンズに移動し、昼食を食い、ついでにパフェも食う。友人Nにいたってはパフェを食った後でビールも飲んでいた。厄払いをしたので暴飲暴食しても大丈夫なのだ。ありがとう厄神さん、いい薬です。


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