地政学
サクッとわかるビジネス教養
奥山 真司
これまでに何冊か地政学の本を読んだことがあったので、この本に書いてあることはほとんど過去に読んだことのあるものだった。
図解多めで、文章少なくて、入門の入門といったところ。一冊でも地政学の本を読んだことのある人には読むところが少ないだろう。
しかも中盤以降は地政学あんまり関係なく、現在の世界情勢を浅ーく説明しただけ。
「サクッとわかる」というより「ザックリとしかわからない」のほうが近い。
地政学ってすごくおもしろい学問だとはおもうけど、なーんか後付け感が拭えないんだよね。
何冊か本を読んだけど「〇〇も〇〇も〇〇も地理的要因によるものです。地政学で全部説明できるんです」と解説されると「なるほど」とおもうのだが、同時に「後からなんとでも言えるよな」ともおもう。「リーマンショックも東日本大震災も私には前々からわかっていました」って言う教祖様とおんなじでさ。
全部説明できるんなら、これから起こることを全部説明してくれよ。
ジョージ・フリードマン『100年予測』は、地政学を使って果敢にも未来予測に挑戦していた。全部説明できるというのであれば、そんな勇気を見せてほしい(フリードマンの予測は今のとこあたってないけど)。
新たになるほど、とおもったのは、
「新型コロナウイルスの流行により、グローバリズムの流れにストップがかかるので、すると、シーパワー(海洋の力が強い)国家は大きなダメージを受け、ランドパワーの国であり国内経済規模も大きい中国が有利になる」
「日本と韓国がそこそこ良好な関係を築いている現在は例外的な時代」
といったことぐらい。
「地政学って何? ぼ、ぼ、ぼくにはよくわからないんだなあ」という人以外にはあんまりおすすめしない本でした。
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