2020年8月27日木曜日

なりふりかまわぬ大統領

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『国家はなぜ衰退するのか』という本にこんなエピソードが載っていた。
 二〇〇〇年一月、ジンバブエのハラレ。一部国有のジンバブエ銀行(通称ジンバンク)が運営する国営宝くじの抽選会で、司会者のファロット・チャワワは当選くじを引く役を任されていた。一九九九年一二月の時点で同行の口座に五〇〇〇ジンバブエ・ドル以上を預金していた顧客全員に、この宝くじに当たる可能性があった。くじを引いたチャワワはあぜんとした。銀行の公式声明によれば、「司会のファロット・チャワワは、わが目を疑った。一〇万ジンバブエ・ドルの当たりくじが手渡されると、そこにはR・G・ムガベ大統領閣下と記されていた」からだ。
 ロバート・ムガベ大統領は一九八〇年以来、あらゆる手段を駆使し、たいがい鉄拳によってジンバブエを統治してきた。その大統領が、国民一人あたりの年収の五倍に相当する一〇万ジンバブエ・ドルの賞金を当てたのだ。ジンバブエ銀行によれば、抽選の対象となる何千人もの顧客のなかからムガベ氏の名が引き当てられたという。なんと運のいい男だろう! 言うまでもないが、大統領は本当にそんな金を必要としていたわけではない。何しろ自分と閣僚たちの給与を最高で二〇〇パーセント引き上げるという大盤振る舞いをしたばかりだったからだ。
 宝くじは、ジンバブエの収奪的制度を物語るほんの一例にすぎない。腐敗とも呼べるこうした例は、ジンバブエの制度に巣くう病理の一症状にすぎない。ムガベが望めば宝くじさえ当てられるという事実は、彼がジンバブエ国内の諸事にどれだけ支配力を振るっているかを物語り、この国の収奪的制度のひどさを世界に示した。
大統領が権力をふりかざして宝くじに不正当選してしまう国……。

ジンバブエ国民には申し訳ないけど笑っちゃうな。
当事者からしたら悲劇でしかないけど……。

ムガベ大統領が何をおもって宝くじの当選者を自分にしたのかわからないけど、ばかすぎる。
私腹を肥やしたいならいくらでももっといい方法があるだろうに。ここまで国民の反感を買わずに済む方法が(じっさいそういう方法もやってるんだろうけど)。

他人に便宜を図るために宝くじを当選させてやった、ならまだわかるんだけど。
本邦にも友だちのために国有地を安く売却させる便宜を図った政治家がいるし。

でも、ばかすぎてかえって許せるような気もする。
恥も外聞も気にせずそこまでやられたらもう「んもう、しょうがねえなあ、あいつは」と笑うしかない。

新人文学賞の応募作品を募集しておいて芸能人の書いたどうしようもない小説を「これが大賞です!」というような姑息な真似よりはよっぽど潔いとおもうぜ(いつまで言い続けるんだ)。

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