2022年1月31日月曜日

カレーにふさわしいナン

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 近所にネパール人がやってるカレー屋があって、そこのテイクアウトをよく利用する。

 カレーもうまいんだけど、ナンもうまい。800円のカレーセットでライスかナンを選べるんだけど、ご飯が好きなぼくですら毎回ナンを選んでしまう。

 A4用紙ぐらいのばかでかいナンが入っていて、それを見るたびに「こんなに食えねえよ」とおもうのだが、結局毎回残さず食っている。それぐらいうまい。

 この大きさのパンだったらぜったいに食えないのに、ナンだと食えてしまう。なんなんだ、これは。ナンだけに。


 こないだその店に行ったとき、メニューの隅に小さく「+200円でチーズナンにできます」と書いてあるのに気付いた。

 ほう。チーズナンか。うまそうだ。

 ということでチーズナン+バターチキンカレーのセットを買って帰って食べてみた。


 これはうまい。

 チーズナンがうまい。ものすごく。もちもちしていて、しっかりとチーズの味がする。それでいて素朴で、飽きのこない味。

 ナンというよりピッツァに近い。クアトロ・フォルマッジという四種のチーズを乗せたピッツァがあるけど、それに似ている。でももっとシンプルで、もっとうまい。

 うまいうまいとばくばく食っていたのだが、ふと気づいた。

 だめだこのナンは。うますぎて、カレーには合わない。

 チーズナンだけでも十分にうまい。カレーといっしょに食べると、もちろんそれはそれでうまいのだが、チーズナンの風味や素朴さが損なわれてしまう。

 カレーもうまくて、チーズナンもうまいのだが、いっしょに食べるとそれぞれの持ち味を殺してしまう。100のうまさと100のうまさを同時に食うことで150のうまさになっている。

 はっきり言って、チーズナンのうまさが邪魔だ。そんなにうまくなくていい。


 たとえるならば、好きなミュージシャンのライブを観にいったら、隣の席に座ったのがおしのびで観にきていたプーチン大統領だった、みたいな。

 いやこんな間近でプーチン見れたらうれしいけど。でもプーチンが気になってライブに集中できない。プーチンは後日プーチンだけでじっくり拝みたい。


 ということで、ナンはそんなにうまくなくていいです。モスクワからは以上でーす。



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