2019年4月15日月曜日

幼児とおっさんのいちごのデザート

このエントリーをはてなブックマークに追加

図書館で『ルルとララのいちごのデザート』という本を借りてきて、娘(五歳)に読んであげた。


いちごを使ったお菓子のレシピが紹介されている。子ども向けの本なのですごくかんたんそうだ。ほとんどお菓子作りをしたことがないぼくでも失敗しなさそうだ。火を使わないのもいい。
「明日、このお菓子つくってみよっか?」と娘に言う。
「やろうやろう!」

翌朝、娘の友だちのおかあさんから遊びませんかと誘いが来た。公園で遊ぶ。
せっかくなのでお菓子づくりに誘ってみる。
「この後いちごのお菓子をつくるんだけど、いっしょにやる?」
「やるやる!」
たぶんよくわかっていないけど、二つ返事で参加表明。

娘、その友だちのSちゃん、Cちゃんを連れてスーパーに買い物に行く。
いちごを六パック、ゼラチン、砂糖、牛乳、ヨーグルト。Sちゃんがトッピングチョコを見つけて「これもかけたい!」と言うので、それも買う。

帰る途中で、やはり娘の友だちであるNちゃんに出会う。
「今からお菓子つくるけどいっしょに来る?」
「行く行く!」
子どもはいつも二つ返事だ。親の都合も訊かずに。
おかあさんが「いいんですか?」と心配そうに言うが、「子ども三人も四人もいっしょですよ」とぼくは答える。

ぼくと、五歳女子四人によるお菓子づくりがはじまった。全員ほぼはじめてだ。



まず五歳児にスプーンを渡し、いちごのへたをとらせる。
とったへたに実がいっぱいついているが細かいことには目をつぶる(あまりにひどい場合はぼくがやりなおした)。

それからいちごをつぶす。
スプーンの背でつぶしていくのだが、五歳児の力ではまったくつぶせないことがわかった。

そこで子どもたちにはフォークを渡し、「これでいちごをぶっ刺してくれ」と依頼。
グサグサグサといちごを突き刺していくのは楽しそうだ。心の奥底にある残虐性に火をつけるのかもしれない。

その合間をぬってぼくがスプーンでいちごをつぶしてゆく。油断していると五歳児たちのフォークで手を突き刺されそう。餅つきのこね手のような緊張感がある。

いちごをつつく幼児とおっさん

いちごをつぶすと大量のいちご汁がとれた。
こいつに砂糖をどかどか放りこんでいちごソースをつくる。いちごの重さを量っておくのをわすれたので、砂糖の量は適当だ。

ゼラチンをお湯で溶く。もちろん量は適当。
ゼラチンが手についてぬるぬるするのが気持ち悪いといって、子どもたちはきゃあきゃあ言っていた。そしてその手であちこち触る。このやろう。

さらに手についたいちごをすぐになめる。スプーンについたいちごもなめる。なめたスプーンをまた器につっこむ。

触るんじゃない! なめるんじゃない! と叱っているとNちゃんが「ねえおっちゃん、いつもはやさしいのになんできょうはこわいの?」と言う。
あれ。怒っているつもりはなかったんだけどな。ちょっとピリピリしていたのかも。反省。

しかし当人に向かって「なんできょうはこわいの?」と言える素直さ、うらやましい。
ぼくも見ならいたい。社長に「おっ、今日は機嫌悪いっすね! どうしたんすか!?」と軽快に言ってみたい。


ゼラチンを水で溶いたところにいちごソースとヨーグルトと牛乳をぶちこむ。いうまでもなく量は適当。
そいつを子どもたちにカップに詰めさせる。
これがいちばん楽しそうだった。ようやく完成イメージが見えてきたからかもしれない。
「これは〇〇(自分)の分、これはママの分」などと云いながら詰めている。

「どれが誰のかわかるようにシール貼っときや」とシールを渡してやる。
シールを貼った後で、「どのシールが誰のか忘れたらあかんから」といって画用紙に対応表を書きだした。
「ぷりきゅあのしーる → 〇〇の」みたいに書いている。
ほう、ちゃんとメモをとれるようになったんだなあと感心する。
カップに詰めたらトッピングチョコをふりかけて冷蔵庫へ。二時間冷やせばいちごヨーグルトプリンの完成だ。

汁をとったあとのいちご搾りかすと、残ったいちごソースにまた砂糖をどかどかと放りこみ(しつこいようだけど量は適当)電子レンジで加熱。いちごジャムができた。

いちごヨーグルトプリンもいちごジャムも、火は一切使っておらず、包丁もナイフも使っていない。
幼児とおっさんがやるのにふさわしい、かんたんかつ安全な料理だ。すごいぞルルとララ。



子どもたちにいちごヨーグルトプリンといちごジャムを持たせ、家まで送り届けてやる。
子どもの面倒を見た & お菓子を渡した ということでどの親からも感謝され、お礼のお菓子もいただいた。

そのお菓子はもちろん、妻に献上。
なにしろぼくが子どもたちを送っている間に、いちごと砂糖とゼラチンと牛乳とヨーグルトでぐっちゃぐちゃになったテーブルと食器を片付けてくれたので……。
本日の陰の敢闘賞だ。

このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿