2025年4月1日火曜日

【ボードゲームレビュー】TAKUMI ZOO

TAKUMI ZOO


内容説明(Amazonより)
誰よりも魅力的な動物園を作る"拡大再生産型"ボードゲーム。土地パネルでボードを開拓し、地形に合わせて飼う動物を選んで、一番ポイントの高い動物園を作りあげましょう。いかに人気の動物を集めて動物園の魅力を高めるかがポイントです。大人も子供も一緒に、じっくり楽しめる本格ボードゲームです。


 なんと小学生が作ったボードゲームだという。絵も、小学生が一生懸命丁寧に描きましたという感じでかわいらしい。

 小学生が作ったゲームなら小学生がやったら楽しいんじゃないかとおもい、娘と遊ぶ目に購入。




かんたんなルール

  • 全員5コインを持ってスタート
  • 毎ターン、山札から地形パネルを1枚ずつ引く。地形には草原・森・岩・水の4種がある。それを自分の動物園パネルに並べていく。
  • 動物を購入して、地形に置くことができる。地形によって配置できる動物は異なる。また動物によって必要なパネル数も異なる。
  • 動物を配置することで毎ターン入場料収入がある。動物により購入金額や収入金額が異なる。また、特定の組み合わせを満たすことで収入が増える。
  • 動物を買うとポイントが入る。最終的にこのポイントが多い人が勝ち。
  • 地形パネルには、「買える動物が増える」「次に引くパネルを見ることができる」「他のプレイヤーと地形を交換できる」「他プレイヤーを邪魔できる」などの特殊効果を持つものもある。


ええとこ

「地形によって飼える動物が異なる」+「一度置いた地形は基本的に変えることができない(一部変更の効果を持つパネルも存在する)」というルールがなかなかいい。地形パネルをどこに置いたほうがいいだろう、と考える余地が生まれる。

 何度かやっていると、草原の横に岩を置かないほうがいいとかわかってくる。ただしどのパネルが出るかは運次第なので、配置には頭を悩ますことになる。

 あと単純な勝敗だけでなくスコアが出るので、ひとりでも遊べるのもいい。ぼくは子どもの頃ひとりでカードゲームをするような孤独を愛する少年だったので、このルールはうれしい(さすがに大人になった今はひとりではやらないけど)。


やることが多い

 仕事量が多いのでかなり煩わしい。

 毎ターン、「収入を得る」「パネルを引く」「パネルの特殊効果を発動させる」「パネルを配置する」「動物を買う」「所有する動物の組み合わせが特定の条件を満たしているかチェックする」「柵を配置する」「買った動物に応じてポイントを増やす」と、やることが多い。

 必然的に、他のプレイヤーは待つ時間が長くなる。やっている間に飽きてしまう。やっているほうも待っているほうもつまらない。


 また、やることが多いので手順を忘れてしまう。

 特に最後の「ポイントを増やす」を忘れがちだ。ポイントを増やし忘れてもそのままゲームは問題なく進行してしまう。後で「あれ? さっきポイント増やしたっけ?」「さっき獲得したの何点だったっけ?」となり、ポイントがごちゃごちゃになる。勝敗に直結するところなのに。

 途中のポイントをなくして、最終所持金+最終的に保有している動物に応じたポイントで決着、とかのほうがすっきりするとおもうな。

 そして柵はいらない(他プレイヤーの邪魔をできる黒柵だけでいい)。


ポイントの稼ぎ方がよくない

 単純に言うと「動物を買ったときに支払った金額に応じてポイントが入る」という仕組みだ。

 これが「誰よりも魅力的な動物園を作る」という目的にあっていない。

 めずらしい動物を飼っていることや、入場者収入が多いことは、直接ポイントに結びつかない。

 ポイントを稼ぐ近道は「高い動物を買う」なので、たとえばゾウを所持しつづけるよりも「ゾウを買う」→「ゾウを売ってキリンを買う」→「キリンを売ってまたゾウを買う」というプレーをするほうが高得点になる。

 もしほんとにこんなことをやったら動物園失格だろう。でもこれが最適解なのだ。

 一応「ゲーム終了時に多くの動物を持っていたら5ポイント入る」というルールはあるが、その5ポイントを得るよりも売買をくりかえすほうがポイントを稼げてしまう。

「魅力的な動物園をつくる」ではなく「いかに動物の売買をくりかえすか」という動物ブローカーをめざすゲームになってしまっている。


ほぼ運ゲー

 引いた地形パネルによって飼える動物が決まる。おまけに序盤はお金も少ないので選択の余地はほぼない。草原を引いたからシマウマを買うしかない、のように半自動的に進んでいく。最初の3ターンぐらいはほぼ選択の余地がない。

 いくつか特殊効果を持つパネルもあるが、せっかくの特殊効果が無駄になることも多い。


 一方、序盤で「2マス分の効果を持つパネルを引く」「草原・森・岩・水パネルを1枚ずつ引いてボーナスを手にする」などのラッキーにめぐまれると、相当有利になる。後半でひっくりかえすのが難しくなるぐらいの差がついてしまう。

 中盤からはお金に余裕が出てくるので多少選択肢は生まれるが、それでも地形による縛りが強いので、選択の余地は小さい。そして勝ってようが負けてようがとるべき戦略は「より高い動物を買う」だけ。「負けているから可能性は低いが当たればでかい一発逆転を狙う」みたいな戦略はとりようがない。

 やることが多いわりに選択肢が少ないので「やらされている感」がすごく強い。ボードゲーム好きなぼくでも、子どもから「TAKUMI ZOOやろう」と言われると「めんどくせー」とおもうようになった。

 後半はお金が余るので、お金でできることがもっと多ければいいんだけどな。土地を増やすとか。高い動物を買おうにも、すでに売り切れだったり、スペースがなかったりして、お金の使い道がないんだよね。


無茶なルール

 いくつか“役”のようなものがあり、特定の動物を4種そろえると追加ポイントがもらえる。

 この役の難易度がひどい。かんたんな役はそこそこ作れるが、いちばん難しい役はロイヤルストレートフラッシュをつくるぐらいの難易度だ(それ以上かもしれない)。上から二番目の役でもストレートフラッシュぐらいの難しさはある。つまり、まずお目にかかることはない。そして超幸運にめぐまれてこの役をそろえたとしても、その頃にはもうお金はありあまっているのでボーナスの効果が薄い。実質ルールが死んでいる。

 この“役”が多彩であれば麻雀のような駆け引きのおもしろさが生まれるのだろうが。もったいない。


小学生にしてはすごい

 厳しいことばかり書いてしまったが、それは他の市販ボードゲームと比べたからで、小学生が作ったゲームとしてはめちゃくちゃすごい。最初は楽しめた(何度かやっていると攻略法が一本道になってただの作業になってしまうが)。

 大人が介入してルールを調整すればもっとおもしろくなるんだろうけど、それをしてしまうと「小学生が考えた」という最大の魅力が失われてしまうので、まあしかたない。逆に言うとこの粗さこそがこのゲームの長所かもしれない。

 欠点はあるけど、世の中に数多く出回っているボードゲームの中で平均点ぐらいのおもしろさはある。ちょっと改良すればずっとずっと良くなりそうだし。

 がんばれ未来の巨匠たち(TAKUMIだけに)!


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