2022年8月16日火曜日

がんばっている姿に元気をもらわない

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 朝のクリニックの待合室が好きだ。

 清潔感のある室内、かすかに流れるクラシック音楽、視界に入る観葉植物、さわやかな消毒液のにおい。とても居心地がいい。

 あんなに読書が進む場所もない。もちろん自分の容態がたいしたことない場合にかぎる話だが。


 クリニックの待合室の何がいいって、元気な人がいないことだ。

 クリニックだから具合が悪い人ばかりなんだろ、と言われるかもしれないが、そんなことはない。大病院ならいざしらず、クリニックに重病人は少ない。眼科や皮膚科ならなおさらだ。

 雰囲気が伝わるのか、子どもですら小声で話している。怒っていたり、声を立てて笑ったりしている人もほとんどいない(大病院にはけっこういる)。



 よく「がんばっている姿に元気をもらいました」「日本代表の活躍で、日本を元気に!」なんていうが、あんなの嘘だとぼくはおもっている。

 元気な人は他人を元気にしない。どっちかっていうと吸い取っている。

 そりゃあ周りがにぎやかにしていたら自然と自分の声も大きくなる。うるさい居酒屋とか。でもそれは周囲に元気をもらっているわけではない。元気を絞りだしているだけだ。

 元気な姿、がんばっている姿は周囲を疲れさせる。


 それでも
「いや、そんなことはない。私は他人ががんばっている姿を見ると自分も元気をもらいます」
という人がいたら、問いたい。

 あなた、選挙カー見て元気出ますか?


 選挙カーに乗っている人は例外なく元気ですよね。がんばってますよね。一生懸命声をはりあげて、目標に向かってひたむきに努力してますよね。

 どうですか。元気もらえますか。うんざりしませんか。近くに来られたらどっと疲れませんか。おまえらが走らせてるのは選挙カーだけじゃなくて虫唾だよとおもってませんか。おまえらは選挙カーに乗ってるだけじゃなくて図に乗ってるんだよとおもってませんか。ダルマに目を入れるより先に全住民に詫びを入れろとおもってませんか。国会に召集されるより天に召されろとおもってませんか。


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