SNSを見ていると、「若い子に言いたい」とか「若い人にアドバイスしたい」と書いてる人がよくいる。もちろんSNSだけでなく、オフラインでもこういうことを言う人はたくさんいる。
それを見るたびにぼくは自分に言い聞かせる。「若い子に言いたい」年寄りになったらオシマイだぞ、と。
誰かに何かを言うことはいい。誰しもなにかしら言いたい。言うだけでなく、できることなら自分の言葉に耳を傾けてもらい、参考になりましたと言ってもらいたい。人間ってそういう生き物だ。
でもなあ。それを「若い子」に向けて言うようになったらオシマイだ。
「若い子に言いたい」人は、自分でもわかっているのだ。自分は不勉強で思慮が足りなくて他者と比べてこれといって秀でたところがないことを。
でも、えらそうにしたい。バカだけど賢いとおもってもらいたい。
だから若い子に言う。なるべく己のバカがばれなさそうな相手に言う。
同年代には言えないから。同年代には、自分より賢くてたくさんものを知っていて深い洞察をできる人がいっぱいいるから。そんな人に言っても、余計にばかにされるだけだとわかっているから。
なにしろ、若い子にはえらそうにできるから。
もちろん、若くても自分より賢い子はいっぱいいる。でも、論の甘さをつっこまれたとしても若い人相手であれば「若いうちはわからないだろうけど」「君もこの歳になればわかるさ」という必殺の逃げ道がある。『生きてきた歳月の長さ』という生きているかぎりぜったいに追い越されることのないアドバンテージを手にしているのだから。それが唯一の武器なのだ。
「若い子に言いたい」コレクション。 特に最後のやつは、ぜひとも若い子じゃなくて今の自分自身に言ってあげてほしい。 |
ほら。子どものとき、いたでしょ。小さい子とばかり遊ぶ五、六年生のおにいちゃん。
最初は「小さい子と遊んでくれるなんて優しい人だ」とおもっていたら、だんだんえらそうにしだして、みんなから「この人なんかイヤだな」っておもわれて、よく見たらこいつ同級生からはばかにされてるし、なーんだ単に同級生から相手されないから自分がえらそうにできる小さい子集めていばりちらしてるだけじゃんっていうおにいちゃん。そうやって年下からも疎まれるようになるおにいちゃん。
大人になっておもうと「あの子はあの子でつらかったんだなあ」と同情的にもなるけど、子どものときはただただ嫌いだったでしょ。
あれだよあれ。「若い子に言いたい」人っていうのはあのおにいちゃんだよ。
SNSで「若い子に言いたいんだけど……」というコメントを見るたびに、「こうならないように気をつけねば」とおもう。ともすればぼくも、若い子に言いたくなるから。
「小さい子の前でだけえらそうにふるまって、同級生からはばかにされ、年下からは煙たがられるおにいちゃん」にはなりたくないから。
言いたいことがあるなら、若い人にじゃなくて年上の人に向かって言えばいいよね。自然と謙虚になれるから。
ってことを、年をとった子らに言いたい。
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