幼児向けのゲームにしてはかなり奥が深く、大人も夢中になってしまう。
レビューを書こうとおもう。
(やったことのない人向けというよりちょっとだけやった人向け)
おしりたんていゲーム第1作『おしりたんてい しつれいこかせていただきますゲーム』もよくできていたが、『にがしませんよゲーム』のほうがルールがシンプルなのに考える要素が多くておもしろい。
ちなみに『にがしませんよゲーム』の1セットで
『にがしませんよゲーム』
『かこみますよゲーム』
『おしりをさがせ』
の3種類のゲームができる。
『かこみますよゲーム』『おしりをさがせ』は駆け引きが発生する要素がほとんどないのでぼくも娘もすぐに飽きてしまった。
ここでは『にがしませんよゲーム』について書く。
詳しい遊び方は以下の公式動画を見てもらえればだいたいわかるとおもう。
だが、公式ルール通りの遊び方だとあまりおもしろくない。
何度かやってみたがほぼ必ず「たんてい」側が勝つ。「かいとう」側は三叉路、四つ角の「いいカード」が連続して出ないと勝てないので、ほぼ運任せのゲームになってしまう。
小さい子ならそれでも楽しめるのだろうが、六歳が遊ぶにはものたりない。中年のおじさんにはもっとものたりない。
そこで、勝手にルールをアレンジすることにした。
となっている部分を
とした。
これだけで、駆け引きの要素が深まってぐっとおもしろくなった。
3枚あることで、先の展開をある程度計算できるようになる。同時に相手もパターンが増えるので、戦略的な思考が必要になる。
たとえば
「弱いカードを序盤に北側に捨てて、強いカードが溜まったら一気に南側に勝負をかける」
とか、
「たんていが妨害するために置いたカードを利用して逃走経路にする」
といった作戦が立てられるようになる。
まちカードには大きく分けて「袋小路」「一本道」「三叉路」「四つ角」の4種類がある。
「たんてい」にとって「四つ角」、「かいとう」にとって「袋小路」はマイナスにしかならないカードだ。
公式ルールの「1枚ずつ引いて出す」だと、このカードが出たらそれだけで致命的(特に「かいとう」が中盤でこのカードを引いたらほぼ負け確定)だが、3枚保有ルールならなんとかなる。
序盤なら重要でないところに捨てればいいし、終盤なら使わずに持っておけばいい。
また3枚保有ルールがいいのは、ハンディキャップをつけやすいところだ。
このゲーム、「かいとう」側で勝つ方がむずかしい。
「たんてい」は相手が作った道を順番にふさいでいくだけで勝てるが、「かいとう」はそれでは勝てない。先の展開を読みながらカードを置いていく必要がある。
初心者は盤面中央から順番に道をつなげていくが、これだとまず勝てない。
「はくぶつかんカード」の隣には「たんてい」側がカードを置けないことを利用して、あえて中央にはカードを置かず、先に端のほうの道をつくっていく必要がある(とはいえ他のカードの隣にしか置けないというルールがあるのでそれも容易ではない)。
だから娘が「かいとう」でぼくが「たんてい」のとき、3枚ずつだとまずぼくが勝つ(手加減はしない)。
しかし娘は3枚、ぼくが2枚というハンデをつけるといい勝負になる。もっと力量の差があるなら4枚対2枚にしてもいい。
ぼくは、子ども相手だからってできるだけ手は抜きたくない。このゲームにかぎらず。
将棋でも、わざと無意味な手を差すとか自分の駒をただでくれてやるとかはしたくない。
かといって全力を尽くすと連勝してしまうので、それはそれでつまらない。
だからハンデをつけられるゲームがいい。
『にがしませんよゲーム』、シンプルなルールながら奥の深いゲームなのだが、ひとつ不満がある。
「まちカード」が36枚しかないことだ。
盤面は7×7、中央の1マスは「はくぶつかんカード」を置くことに決まっているので、「まちカード」を置けるのは48マス。
つまり「まちカード」のほうが少ないのだ。
勝負が白熱してくると、終盤にカード切れを起こす。
「かいとう」は逃げられないし、「たんてい」は捕まえられない。
しょうがないのでこうなったら引き分けということにしているのだが、どうももやもやする。
かいとうはまだ街の中にいるのに捕まえられないのだ。
あと一歩のところまで犯人を追いつめたのに、突然上から「これ以上の捜査はやめろ」と命じられたようなものだ。
もしかして署長の身内が犯人、それとも有力政治家に非常に近い人物が関わっているので圧力が……なんて不穏な想像をしてしまう。
いっそかいとうに逃げられたほうがまだあきらめもつくぜ。
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