2020年5月27日水曜日
今どきの進研ゼミ
昔、進研ゼミにお世話になっていた。
ぼくは人の話を聞くのが苦手なので、塾や予備校はどうも性にあわない。
進研ゼミのように自分の部屋で自分のペースで学習できる教材がいい。
ぼくが第一志望の大学に合格できたのは、進研ゼミ高校講座のおかげだ。
中一~高三まで進研ゼミをやっていた。
だが、それより前、小学三年生ぐらいのときにもやっていた。一年か二年。
で、やめてしまった。
ものすごくよくある話で恐縮なんだけど、
ポストに進研ゼミのダイレクトメールが届く。
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載っている漫画を読み、興味を持つ。ポイントシールを貯めてもらえるプレゼントも魅力的。
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親におねだり。絶対にちゃんとやるからと言って始めさせてもらう(子どもに「勉強したい!」と言われて断れる親はなかなかいないよね)。
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はじめはちゃんとやるがそのうち読み物だけ読んで問題には手をつけなくなる。ポイントシール欲しさに添削問題だけ出す。
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なかなかポイントが貯まらないことに嫌気がさして添削問題すら出さなくなる。
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親に怒られる。ゼミ解約。
毎年何万人もの小学生が同じことをやっていたとおもう。ぼくもその一人だった。
中学講座から再開したが、中学生以降はちゃんとやれるようになった。
学校の定期テストというわかりやすい目標があり、自宅学習の習慣もそれなりについてきたからだ。
小学生には早すぎたのだ。
娘が小学校に入った。
「低学年の間は勉強は学校だけで十分!」とおもっていたのだが、そうも言っていられなくなった。
そう、コロナ騒動のせいで授業がなくなったのだ。
「学校だけで十分」と言っていたが、その学校がないのだ。
一応宿題は出されるが一日三十分で終わってしまう。
緊急事態宣言下なので遊びに行かすこともできない。
放っておくとずっとテレビを観ている。
あわてて通信教育の資料請求をした。
進研ゼミ、Z社、S社の資料を取りよせた。
資料を見比べて感じたのは、S社はかんたんそうなので授業についていけない子の補習に使うにはいいがたっぷり時間のある今やるにはものたりなさそう、Z社は問題がよく練られている感じがしたが娯楽要素が少なすぎて低学年には魅力が乏しいのではないか、という印象。
基礎~発展まで幅広く対応していて、ごほうびや読み物も充実していた進研ゼミを申し込むことにした。
なにより、かつてぼくがお世話になったということが大きい(ちなみに妻はZ社を受講していたのでZ社を推していたが「今は勉強嫌いにさせないことが大事だからおもしろいほうがいい!」と言って説きふせた)。
ただ申し込もうとしたら、受講の申し込みが殺到しているので教材の到着が遅れるとの連絡があった。
そりゃあなあ。学校授業がないんだもの。塾にも行けないし。そりゃあ通信教育に群がるわ。
どの家庭も考えることは同じだ。
進研ゼミ小学講座にはタブレットコースと紙のテキストコースがある。
おもしろいほうがいいだろうとタブレットコースにしたのだが、4月上旬に申し込んだのにタブレットの発送は5月下旬になるとのこと。いたしかたなし。
タブレット到着が遅れているので、到着までのつなぎとして紙のテキストを送ってくれた(その分の料金はサービス。ありがたい)。
娘にやってもらう。
はじめは順調だった。
一年生なので「ひらがなをかいてみよう」とか「いくつあるかかぞえてみよう」みたいな問題ばかり。
娘も「かんたん、かんたん、また百点」と言いながらやっていた。
だが少し発展的な問題になると足踏みするようになった。
答えがわからないのではない。問題がわからないのだ。
「①に『かなしかった』とありますが、だれがかなしかったのでしょう。あてはまることばをぬきだしましょう」
みたいな問題が出る。
だがテスト問題を解いたことのない小学一年生には
「本文の中から①を探す」
「その前後の文章を読んで主体をさがす」
「見つけたらそのまま“ぬきだす”」
といった作業ができないのだ。
そういうのはある種のテクニックが必要で、いくつか数をこなしていかないと身につかない。慣れてくると「“ぬきだしましょう”ときたら改変せずに一字一句そのまま書く」とかわかってくるけど、一年生にはわからない。
問題について考える以前に「何を問われているか」がわからないのだ。
横について教えていたのだが、娘もだんだんうんざりしてきた。
「そもそも何を問われているかわからない。その都度人に教えてもらわないといけない」
というのはなかなかのストレスなのだ(ぼくだってそんな仕事イヤだ)。
またぼくも妻も家にはいるがリモートワークをしなければいけないのでつきっきりで教えてあげられるわけではない。
やはり小学一年生に自宅学習は無理があるなと感じはじめていた矢先、ようやく学習用タブレットが届いた。
これがすごい。
食いつきがちがう。
まずアニメで例題の解き方を教えてくれるので「何をどう答えていいかわからない」とならない。
正解/不正解のフィードバックがすぐにあるのものいい。
まちがえた問題はすぐにもう一度出題されるのでまちがえたままにならない。
さすがプロが集まって考えている教材だ。飽きさせない工夫、何度も挑戦したくなる工夫が随所に見られる。
紙の教材だと親がつきっきりで教えてあげないといけない(教えてもうまくいかない)のに、その代わりをタブレットがやってくれるのだ。
分量も多い。
基礎編が終わったら、演習編、発展編の問題も用意されている。
学校の勉強についていけない子は基礎編、もっとやりたい子は演習編や発展編で骨のある問題にチャレンジできる。
またタブレットは勉強をできるだけじゃない。
動画が視聴できたり(猫の動画とか交通安全動画とか子ども向けニュースとか無害なものばかり)、電子書籍が1,000冊読めたり、勉強になるパズルゲームができたり、いろんなコンテンツがある。
とにかく毎日タブレットを起動してもらうことが大事なのだろう。スマホゲームがログインボーナスを与えているのと同じだ。
機能もすごいが、それ以前に小学生からしたら自分専用の端末を持てるというだけでうれしいだろう。
うちの娘は、ぼくが「ちょっとがんばりすぎだから今日はそれぐらいにしときや」と言ってしまうぐらい毎日タブレットの課題に取り組んでいる。
で、ぼくはおもう。
くそう。
どうしてこんないい教材がぼくが小学生のときはなかったんだよ!
いいなあ。
これがあったらぼくだってもうちょっとゼミを続けたのになあ。
ゲーム感覚で勉強できたのになあ。
うらやましいなあ。
だからぼくは娘に「ゼミの勉強もいいけど、本を読んだりピアノを弾いたり、ちがうこともしようね」と言う。
だって横でこんないいものをずっとやってるの、くやしいんだもん。
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