小学校お受験をさせた友人から聞いた話。
人気の附属小学校ということで、倍率は五倍を超えていたそうだ。
当然合格発表の会場には落ちた側の人のほうが圧倒的に多いわけで、その会場が修羅場だったそうだ。
「もうそこかしこで泣いてるわけよ。親も子も」
「まあそういう人もいるだろうね。
しかし六歳の子どもも泣くんだねえ。状況を理解してるんだろうか」
「理解してないからこそじゃない?
『これで合格しなかったら人生終わり』ぐらいに脅されてきたのかもしれない」
「あーそりゃ泣くわ」
「怒ってる人もけっこういたなあ」
「怒る? なにに?」
「子どもに向かって『ちゃんとやらなかったからでしょ!』って怒ってる親とか」
「ひええ。落ちてから子どもに怒ってもしょうがないだろうに」
「あと捨て台詞を吐く母親とか」
「どんな?」
「『こんな学校つぶれてしまえ』みたいな」
「うわー……。こわっ」
「うちは合格してたんだけどね。
でも喜べるような雰囲気じゃなかったから沈痛な顔して外に出てから喜んだ」
「小学校受験って、親の様子も見られるんでしょ?」
「うん。親子でいっしょに取り組む課題とかあって」
「じゃあ、落ちてから子どもに怒る親とか、捨て台詞を吐く親とかは、ちゃんと試験官がそういうところを見抜いて落としたのかもしれないね」
「あー。そうかも。だとしたら試験官、すごいなあ。
ちゃんと本質を見抜いている」
「ね。だから怒ってる母親に言ってやればよかったのに」
「なんて?」
「『おかあさん、そういうとこですよ』って」
「殺されるわ!」
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