2019年9月10日火曜日

ポプラ社への愛憎

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突然だが、ぼくはポプラ社の本を買わないことにしている。

出来レースで水嶋ヒロに新人賞をとらせて以来、まったく信用していないからだ(これについて語りだすと長くなるのでここでは書かない)。
だから、ちょっと気になる本があっても「ポプラ社」の文字があればぜったいに買わないことにしている。
『KAGEROU』の件で「金になるなら読者の信頼を裏切ってもいい」というあからさまな態度を見せてくれた出版社なので、こちらも信用しないことにしている。

だからポプラ社の文芸書は一切買わないのだが、児童書分野においてはポプラ社はいい本をたくさん出している。
ぼく自身、小学生時代に『ズッコケ三人組』シリーズを読んで読書の喜びを知った人間なので、その点については悔しいけれど認めざるをえない。


六歳になる娘も、やはり『かいけつゾロリ』や『おしりたんてい』シリーズが好きだ。
ぼくとしてはポプラ社にお金を落としたくないが、だからといって娘の読書の楽しみを奪おうとまではおもわない。憎しみの連鎖を子孫の代まで受け継いではいけない。

なので、娘がほしがれば(しぶしぶではあるが)ポプラ社の本も買う。
図鑑などはいろんな出版社が出しているので「こっちのほうがいいよ!」と言って他の出版社のものを買うが、読み物となるとそうはいかない。
『おしりたんてい』や『かいけつゾロリ』や『おばけのアッチ・コッチ・ソッチ』シリーズを買ってやる。


で、おもうのだが、やっぱりこの出版社は好きになれない。
根底に「だましてやろう」という姿勢を感じる。
長期的にファンになってもらうことよりも目先の利益を追い求めているように感じる。

特にひどいのは、『かいけつゾロリ』を前後編に分けるようになったことだ。
いや、分けること自体はべつにいい。

『かいけつゾロリのなぞのおたから大さくせん(前編・後編)』とか
『かいけつゾロリのだ・だ・だ・だいぼうけん!(前編・後編)』とか。
これはべつになんともおもわない。ただストーリーが長いだけだ。

だが、最近は前後編であることを隠して刊行するようになった。

たとえば『かいけつゾロリ なぞのスパイとチョコレート』は物語の途中で終わる。なぞは解かれないまま。
そして『かいけつゾロリ なぞのスパイと100本のバラ』へと続く。

『かいけつゾロリのまほうのランプ〜ッ』も同じく、登場人物がランプの中に閉じこめられたまま唐突に終わってしまい、『かいけつゾロリの大まじんをさがせ!!』につながる。

同じ手法は、
『かいけつゾロリのかいていたんけん』と『かいけつゾロリのちていたんけん』、
『かいけつゾロリ ロボット大さくせん』と『かいけつゾロリ うちゅう大さくせん』でも用いられている。
(めっちゃ読んでるやん!)

『かいけつゾロリ なぞのスパイ(前編)』『かいけつゾロリ なぞのスパイ(後編)』というタイトルにすればいいのに、わざわざわかりづらいタイトルをつける。

なぜ前後編であることを隠して発売するのか。
たぶんこういうことだろう。

ゾロリシリーズは基本的に半年に一冊新刊が出る。
だがタイトルに「前編」がついていると売上が落ちる。「まだ完結しないのか。だったら後編が出たらあわせて買おう」あるいは「長いのはイヤだから一巻で完結するものを買おう」となる客が多いから。

そこで前後編のうちの前編であることを隠す。
タイトルに「前編」という文字を書かない。
当然ながら客は、物語が途中で唐突に終わることを知らずに買う。しかたがないので半年後に後編も買う。

これはぼくの想像だが、かなり真相に近いはずだとおもっている。

そりゃあ売上は上がるだろう。一時的には。
でも前後編であることを知らずに前編だけ読んだ子どもはどうおもうか。消化不良になる。「おもしろかったー!」とはならない。
うちの娘もまんまとだまされて「えっ、もう終わり……?」と戸惑っていた。

「早く続きが読みたいなー。どうなるんだろうなー!」と想像して心待ちにしてくれる子どももいるだろうが、読書に裏切られた気持ちになる子もいる。
こういう、書き手と読み手の信頼関係をぶっこわすようなことをする出版社なのだ、ポプラ社は。

現在子どもたちの間で大人気の『おしりたんてい』は今のところここまでえげつないことはやっていないが、最近刊行された『おしりたんてい ラッキーキャットはだれのてに!』では一部の謎が未消化になったまま終わってしまった。
これが作者の意図するものであればいいのだが、出版社側からの要請でこうなったのであれば、いずれ『かいけつゾロリ』のように読者をだまして目先の売上を稼ぐ手口をとるんじゃないかと心配でならない。


あっ、本屋でやってるおしりたんていなぞときイベントはすごくいいイベントだとおもうよ!
無料で参加できるのにクオリティ高いよね。
娘の友だち連れて全部参加してるよ! みんなすごく楽しんでるよ!

こういう、長期的なファンを獲得する方向にもっと力を入れてほしいとつくづくおもう。


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