五歳の娘といっしょに『ホーム・アローン』を観る。
「なんだかつまらない。ディズニーがよかった」と娘がいうのを、
「もうちょっと待ったらすごくおもしろくなるから」と説得しながら。
「ほら。この子が家にひとりで置いていかれちゃったんだよ」
「おかあさんはケヴィンを置いてきちゃったことにまだ気づいてないよ」
「この人たちは悪い人で、ケヴィンの家に泥棒に入ろうとしてるんだよ」
と解説をしながら。
そういえばぼくがはじめて『ホーム・アローン』を観たときも(小学生だった)、父がストーリーを説明してくれたっけ。
途中まで退屈そうにしていた娘も、後半になってケヴィンが泥棒をやっつけるところでは大爆笑。
げらげら笑いながら楽しんでいた。
「ほらね、おもしろかったでしょ」とぼくも満足した。
中学生のとき、友人三人と「カルキン・クラブ」というクラブを結社していた。
カルキンとは『ホーム・アローン』の主役だったマコーレー・カルキンのこと。
『ホーム・アローン』で一躍スターになったカルキン坊やの家庭が、大金を手にしたことで家族内に不和が生じて一家離散し、カルキンも後に薬物の不法所持で逮捕されたという絵に描いたような転落人生を送ったことを知ったぼくらは、それをおもしろがって「カルキン・クラブ」をつくったのだ。中学生とはなんて残酷なんだろう。
「カルキン・クラブ」の活動は、たまに誰かの家に集まってビデオを観ること。
はじめは『ホーム・アローン』『ホーム・アローン2』『リッチー・リッチ 』など、マコーレー・カルキン主演の作品を観ていたが、そのうちカルキンとは無関係の映画を観る会になった。
そんなわけで、ぼくは今までに『ホーム・アローン』を何度も観ている。
純粋におもしろがっていた小学生時代、
「主演子役の転落人生」という裏側を意地悪く冷笑していた中学生時代、
そして子どもの反応を楽しむようになった今。
いろんな楽しみ方ができる『ホーム・アローン』は名作だ。
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