2019年1月3日木曜日

スーパースーパー店員

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いつも行くスーパーにすごい店員がいた。


三十歳ぐらいの女の店員。
レジ打ちをしているんだけど、とにかく速い。
商品をスキャナにピッピッピッって通していくじゃないですか。あれに無駄がない。全商品のバーコードの位置を把握してるんじゃないかってぐらい速い。
それでいてそんなに焦っている感じがない。笑顔を絶やさぬまますごい勢いでピッピッピッピッピッピッと処理していく。他の店員の倍ぐらい速い。

たまにレジで「こいつ遅いなー」と思う店員いるじゃないですか。
でも逆に「この人速いなー」と思うことはまずないでしょ?
速いことには気づかないんだよね。なのに気づいたんだから、よっぽどですよ。

しかも視野が広い。
ピッピッピッピッピッピッとやりながら
「サービスカウンターでお客様お待ちなのでヘルプお願いしまーす!」
と他の店員に声をかけたりしている。その間、レジのスピードはまったく落ちない。
体育の時間にサッカーやるときに、サッカー部のうまいやつがボールをキープしながら周囲に指示を出したりしてるけど、そんな感じだ。すごいボランチ。

スキャンから声かけから釣銭やレシートの渡し方まで完璧で、支払を終わったぼくは感動してしまった。

たまにテレビで「レジ打ち全国大会」みたいなのやってるじゃない。速さと正確性と接客態度を競うやつ。
あの大会の上位入賞者だったのかもしれない。
ほんとに気持ちのよい仕事ぶりだった。



家に帰ってから、しまった、「お客様の声」に投書すればよかった、と気づいた。
「お客様の声」の九割は苦情や要望だろうから、感謝の言葉があったら喜ばれるにちがいない。しまったな。しかしあのスーパースーパー店員(すごいスーパーマーケットの店員の意味)の名前がわからないな。次見たら名札を見とこう。

……と思って半年。
そのスーパーには何度も足を運んでいるが、あのスーパースーパー店員の姿がない。
他の店に引き抜かれたのかな。それとももっと活躍できる舞台をめざして世界にはばたいていったのかな。

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