2017年12月15日金曜日

キャバクラこわい

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キャバクラがこわい。

って書くと「まんじゅうこわい」的なやつでほんとは好きなんでしょと思われるかもしれないけど、そういうんじゃなくてほんとにこわい。

キャバクラが嫌いな男性ってけっこういると思うんだけど、でもなぜかキャバクラ好きの人って「キャバクラが嫌いな男なんていない!」って思ってる。「連れてってやる!」と言われたことも一度や二度ではない。いやいや。なんで上からなんだよ。

とはいえ三回ほど行ったことがある。一度は「まあ食わず嫌いはよくないだろう」ということで、あとの二回は断りきれなくて。もちろん三回ともつまらなかった。
元来が人見知りだから、はじめて会った人と隣に座って長時間話さないといけないなんて苦痛以外のなにものでもない。年齢も職業も趣味嗜好も違うから共通の話題もないし。いや共通の話題とか探すからだめなのか。自分の好きなことを好きなだけしゃべっていい場なんだよな、キャバクラって。そのためにお金払ってるんだし(身銭を切って行ったことはないけど)。そうはいっても初対面の人に「会社にいるTってやつがほんとに嫌いでさあ……」なんて言ってもしょうがないしな、と思ってついつい「出身地はどこですか?」なんて話題の切りだし方をしてしまう。我ながらつまんねえなあと思い、ますますキャバクラという場が嫌になる。おお、怖い。

キャバクラには逃げ場がない。
パーティーなんかだと、親しく話せる人がぜんぜんいなくても「黙々と食事をする」という手がある。ぼくはカラオケが大の苦手だけど、どうしても断れなくてカラオケに行ったときは「ひたすら曲を探すふりをする」という手を使う。
キャバクラにはそういう逃げ道がない。「しゃべる」しかないのだ。

以前勤めていた会社で社長にキャバクラに連れていかれたとき、やはりキャバクラを苦手としている男がいた。ああ助かったと思い、彼の隣に移動し、男同士で話しはじめた。さして親しいわけでもなかったが、まったく知らない人と話すよりはまだ話題もある。
ところがキャバクラ嬢がぼくらの話に割りこんでくるのだ。男二人につきキャバクラ嬢が一人つく店だったので、自分も仲間に入ってこようとする。なんだこいつと思いながら一応話につきあったが、ぼくらがしていた「最近読んだミステリの本」の話題にはまったくついていけず、とんちんかんな相槌しか返ってこない。知らないんなら黙ってろよと思ったが、話をするのがキャバクラ嬢の仕事なので仕方ないのだろう。
知らない女に会話のじゃまをされるぼくらも不幸なら、まったく興味のない話に入っていかざるをえずおまけにあからさまに迷惑そうな顔をされるキャバクラ嬢も不幸。ぜんぜん楽しんでないぼくらのために金を払う社長も不幸。
なんだこれ。誰も得をしていないじゃないか。

あとキャバクラ嬢は、酒を勝手に注いでくる。これも嫌だ。自分が払うわけじゃないけど、嫌だ。
なぜならぼくは食事に関する脳の回路がぶっこわれているから、目の前に食べ物や飲み物があると口にせずにはいられない。腹いっぱいになっていても目の前に食べ物があれば口に運んでしまう。後で吐くぐらい食べる。
だから「そろそろ腹いっぱい/酔ってきたな」と思ったら食べ物や酒を自分の前に置かないようにするのだが、結婚式場とキャバクラではグラスが空くと勝手に注ぐやつがいる。
なんだそのシステム。わんこそばか。
今どき落語家のお弟子さんでもそこまでしないぞ。最近の落語家弟子事情は知らんけど。
自分の酒は自分のタイミングで飲ませろよ。入れられたら飲んじゃうだろ。話が途切れがちになるから、余計に酒が進む。

というわけで三回キャバクラに行ったときは三回ともべろべろになって、正直何を話したかよく覚えていない。
だから、もしかしたら後半は酔っぱらってめちゃくちゃ楽しくなって「いえーい! キャバクラさいこー!!」と叫んでいた可能性も、ないではない。


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