数少ないぼくの特技のひとつに “子どもを手なずけるのがうまい” というのがある。
「子どもと遊ぶのがうまいね」とよく云われる。
そんなぼくが数多くの子どもと遊んできた経験から導きだしたテクニックのひとつが、
「おしりをさわらせたらもうこっちのもの」
というものだ。
これは金言として居酒屋のトイレに貼っといてもいい。
子どもがぼくのおしりをさわったら、おおげさに嫌がる。「きゃっ、やめてやめて!」と叫ぶ。
これで子どもはイチコロだ。
けたけたけたと笑い、もっと困らせようとぼくのおしりをさわろうとしてくる。
あとは両手でおしりを押さえながら「やめてやめて!」と逃げればいい。猫じゃらしを振られたネコのように、子どもは逃げまどうおしりを追いかけずにはいられない。
その後は走って逃げたり、ときどきわざと捕まったり、逆襲して子どものおしりを軽くたたいたりすればいい。
あっというまに子どものテンションはマックスまで上がる。子どもの数が多ければ多いほど興奮の度合いは高まる。
さて、誰しも気になる問題は “それはわかったけど、じゃあまずどうやって子どもにおしりをさわらせるの?” だろう。
これはなかなかむずかしい。
ぼくほどの達人になると、相手の年齢、性別、性格、ごきげんその他あらゆる状況を解析して、四十八ある技のいずれかを瞬時にくりだして、おしりをさわらせる。
四十八の技をここで紹介してもよいのだが、それでは諸君のためにならない。
他人から教わったおしりさわられ術で子どもを手なずけようなど、虫がよすぎる。ぜひ各人、日々鍛練して、己のおしりさわられ道を究めていただきたい。
さすれば君たちのおしりは自然と魅力を増し、子どもばかりか大人ですらふれられずにはいられないほどのフェロモンを漂わせはじめることであろう。
ぼくほどの達人になるとそういったおしりがすぐわかる。フェロモンを出しているおしりが光輝いて見え、「さわってよ」というおしりの声が聞こえてくる……。
と、ここまで書いたところで読みかえしてみたのだが、子どもとのふれあいについて説明するハートフルエッセイだったはずなのに、いつのまにかベテラン痴漢の独白みたいになってきたので、このへんで筆を置く。
0 件のコメント:
コメントを投稿