テレビを観ていたら、タレントふたりの子どもたちにかけっこをさせていた。
「アスリートとして知られるAの長女(三歳)」VS「運動神経が悪いことで知られるBの次女(三歳)」で、他の出演者たちがどちらが勝つかを予想するというコーナーだった。
出演者たちはこぞって運動神経のよいAの長女が勝つことを予想していた。が、ぼくはテレビを観ながら「そりゃあBの次女が勝つだろう」とおもっていた。結果は、はたしてBの次女の勝利。
「親の運動神経がいいから子どもも運動が得意だろう」なんておもうのは、子どもというものを知らない人の発想だ。
たしかに小学生ぐらいになれば、持ってうまれた運動センスがものをいうようになる。だが三歳児にはそんなものは関係ない。重要なのは「メンタル」と「場数」だ。そしてそれらが上回るのは、長女よりも次女である可能性のほうが高い。
うちにも子どもがふたりいるが、同じ年齢のときで比べてみると、次女のほうが圧倒的に優秀だ。走るのも、ジャンプするのも、ボールを投げるのも、ボールを捕るのも、踊るのも、言葉で伝えるのも、笑いをとるのも、感情をコントロールするのも、(長女が同じ年齢だったときに比べると)圧倒的に次女のほうが上だ。ほとんど同じ遺伝子を持っているにもかかわらず。
それはひとえに、第二子のほうが幼いころから競争にさらされているからだ。
姉にくっついて走ったり踊ったりボールを投げたり。うちの次女なんて姉と五歳も離れているのに、幼いころから「姉にできることなら自分でもできる」と信じていて、飛んだり跳ねたりしていた。おかげで身体の動かし方が飛躍的にうまくなった。
また表現もうまくなる。ゆっくりゆっくりしゃべっても親が耳を傾けてくれる第一子とちがい、第二子の場合はもたもたしゃべっていたら姉にその場の話題をかっさらわれてしまう。必然的に会話スキルが上達する。的確に、スピーディーに、かつおもしろい表現をしないと耳目を集められない。
さらに、第一子に比べて第二子のほうが交友関係が広がりがちだ。ぼくも妻も社交的な人間でないので、長女が幼いころは近所で言葉を交わす人が少なかった。ところが長女が保育園や学校に通うようになると親の世界も広がる。娘の友だちの保護者、娘の友だちの兄弟姉妹、その友だち。いろんな人と話したり遊んだりするようになる。すると次女からしても「近所のおじさんおばさん」や「近所のおにいちゃんおねえちゃん」と接する機会が増える。当然、身体や言語の発達に好影響を受ける。
年齢が低いうちは特に「長子か二番目以降の子か」というのは子どもの能力に大きく影響する。
……ということが、いろんな子どもと接したり、ふたり以上の子を育てたりするとわかるようになる。
が、ひとりめのときはなかなかわからない。ただでさえ最初の子育ては不安なものだ。そんなときに、自分の子(第一子)と他の子(第二子以降の子)を比べると「あの子はうちの子と同じぐらいの月齢なのに、身体の動かし方もおしゃべりもずっとうまい。うちの子は発達が遅れてるんじゃないか」と不安になってしまう。
次女を他の子(第一子)と遊ばせていると、よくその親から「おたくの○○ちゃんはよくできますね。それにひきかえうちの子はどんくさくて……」といった言葉をかけられる。
いやいやそれは第一子の宿命ですよ。うちの上の子もそんなもんでした。五歳ぐらいになったらあんまり関係なくなってきますよ。ってなことを伝えるようにしている。
二番目以降の子は成長が早いだけなんです。でも早いだけで長期的に優れてるとはかぎらないんです。
ということを広く知らしめたい。第一子の子育てをする親のいらぬ心配が軽くなるように。
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