娘(五歳)と、その友だちSちゃん、Sちゃんの妹Kちゃんといっしょに公園に行った。
Kちゃんがダンゴムシを見つけてつかまえた。
おねえちゃんのSちゃんがうらやましくなったらしく、
「ねえまるぶた(ぼくは保育園児たちからまるぶたと呼ばれている)、ダンゴムシさがして」
とおねだりされた。
若い女性からおねだりされたらノーとはいえない。
Sちゃんといっしょに茂みに入り、「岩の隙間とか落ち葉の下とかにダンゴムシはいるよ」と教え、何匹かつかまえた。
すると、娘が怒りだした。
「Sちゃんにだけダンゴムシをとってあげてずるい!」
いやずるいって君、ダンゴムシやで……。
しょうがないので娘にもダンゴムシの取り方を教える。すると今度はKちゃんが
「Kちゃんもダンゴムシもっといっぱいほしい!」
と泣きだし……。
ダンゴムシをめぐる女の闘い。
しかたなく、なだめすかしながら子どもたちといっしょにダンゴムシを収集した。
しかしアレだね。
ダンゴムシ集めってかんたんだね。
ダンゴムシ集めって虫の採集の中でもいちばんビギナー向けじゃないですか。
こんな捕獲しやすい虫いないでしょ。
どこにでもいるし、歩くのは遅いし、飛ばないし、刺さないし、くさい汁とかも出さないし、硬いから少々乱暴につかんでも平気だし、触感もあまりキモくないし。
虫採集RPGがあったら、フィールドに出て最初に遭遇する虫。昆虫採集界のスライム。
もはや子どもに獲られるために生きているといっても言いすぎではない(いやさすがにそれは言いすぎた)。
ほいほい捕まえてたら、ぜんぶで六十匹ぐらいになった。うへえ。
バケツいっぱいのダンゴムシ。六十匹ってことは足は千本ぐらい。うへえ。
子どもたちはそれを「家で飼いたい!」という。
ぼくも昔はいろんな虫を飼っていたが、とっくにそのころの少年の心は捨ててしまった。虫とは暮らしたくない。
だがこれも教育、とおもい娘に
「三匹だけやで。元気なやつ選び」
と云う。
一方、SちゃんとKちゃんは「ぜんぶ持ってかえる!」と云う。
おいおい。まじかよ。
どうします? と、彼女たちのおばあちゃんを見る(彼女たちは近所に住むおばあちゃんといっしょに公園に来ていた)。
おばあちゃんは「そう。逃げないように気をつけて連れてかえるんやで」とあっさりした返事。
おばあちゃん、自分の家じゃないからって……。
SちゃんとKちゃんのおかあさん、かわいそうに。五十匹以上のダンゴムシが家にやってくるなんて……。
そんなわけでうちにダンゴムシ三匹がやってきた。
虫かごに土と落ち葉と石を入れ、霧吹きで湿り気を与え、餌として野菜くずを入れてやる。
ダンゴムシにはもったいないほどの好待遇だ。
翌朝、娘に
「ダンゴムシ元気かな?」と言ったら
娘「ダンゴムシがどうしたの?」
ぼく「ほら、昨日捕まえたじゃない」
娘「あー。そうだった」
と言ってあわてて虫かごを見にいった。もう忘れとる!
野菜くずがそのまま残っているのを見て
娘「ぜんぜん食べてないやん」
ぼく「昨日入れたとこだもん。ダンゴムシは小さいからすぐにはなくならないよ」
娘「ふーん。つまんない」
とのこと。もう飽きとる!
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