2019年5月29日水曜日

黙ってついてゆくやつ

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Kは中学時代からの友人。
住んでいるところも仕事もぜんぜんちがうけれど、今でも年に数回は会う。

Kはよくなにかのイベントに誘ってくれる。
それも変わったイベントばかり。

「フランス文学者と精神科医のトークイベントがあるんだけど行かへん?」とか
「昭和歌謡のライブがあるんだけど」とか
「ドヤ街の立ち飲み屋にいってみないか」とか
「ちんどん屋のイベントがあるんやって」とか
「キリスト教の牧師とバーベキューをすることになったから来ない?」とか。

ぼくからすると、まったく興味のないジャンルばかりだ。
でも、他の予定がないかぎりは断らないようにしている。
興味がないジャンルだからこそ、誘われるとうれしい。Kに誘われなければぜったいに知らなかった世界だ。

たのしいことばかりではない。
ちんどん屋のイベントは退屈だった。二度と行かないとおもう。
でもそれがわかっただけでも収穫だ。行ってみなければ、自分はちんどん屋をみてもすぐに飽きるということを知らないままだっただろう。

歳をとると、新しいことに挑戦する意欲が衰える。
慣れ親しんだことをやっているほうが楽だし、新しいことをやるときでも失敗しないように十分調べてからやる。事前に他人の口コミや評価もかんたんに手に入るようになったし。

でもKの誘いに乗るときは、そういうことを何も考えない。
下調べもしない。
ぼくは黙ってついてゆく。
これがたのしい。


KはKで、ぼくのことを「人数があわないときや誰かにドタキャンされたときに誘えばたいていついてきてくれるやつ」として重宝しているらしい。

今後も「黙ってついてゆくやつ」でありつづけたいとおもう。


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