2019年11月25日月曜日

オトガイ選手の頓着


オトガイです。
ええ、フィギュアスケート選手の。
そうです。いえ、家族とかではなく本人です。

実況やってた藤原さんですよね。
こないだの放送、観ました。
それでですね、藤原さんの実況に関していくつか気になった点があったんで言っておこうとおもいまして。
いえクレームってわけではないんですけどね。


えーと、まず何から言おうかな。これにしようか。

ぼくの紹介シーンで、「前回大会の悔しさをバネに練習に励んでまいりました」って言ってましたよね。
ああいうのやめてもらえますか。
ぼくは前回九位でしたけど、まったく悔しいとはおもっていませんでしたから。
だって九位って自己ベストでしたからね。
勝手に悔しいことにしないでもらえますか。
前回大会の後にお祝いの会の席を設けてくれた後援会の人たちにも失礼ですし。

あと細かいことを言いますけど「励んでまいりました」って謙譲語ですよね。それ他人に対して使うのおかしくないですか。
いや同じ日本人だからとか、そんなの理由にならないでしょ。なんであなたがぼくの代わりにへりくだるんですか。
「励んでいらっしゃいました」でしょうが。


それから演技の直前。
「日の丸を背負って挑みます!」って言ってましたよね。
あれもおかしくないですか。ぼくの衣装の背中にはスポンサーさんであるコメカミ食品さんのロゴが入ってますからね。知ってます? コメカミ食品さんのロゴ。黄色と青のシマシマ。日の丸とは似ても似つかぬデザインですよ。
あっ、比喩? ああ、「日本中の期待を背負って」って意味ですか。
でもね。だとしてもおかしくないですか。
どう考えたって日本中が期待してるのはぼくじゃなくてサクラコウジ選手でしょ。イケメンですもん。世界ランクも彼のほうが上だし。
いやいいんですよ、そんなフォローしなくても。不人気なのは自分がいちばんよくわかってますから。
だいたいあなたたちは番組をあげてサクラコウジ選手を応援してるじゃないですか。
ぼく、測ったんですよ。ぼくの紹介VTRは一分二十四秒。それに対してサクラコウジくんのVTRは四分五十五秒でしたからね。
ただぼく、地元の北葛城郡ではけっこう人気なんですよ。ですから言うのであれば「北葛城郡の郡章である河童のマークを背負って」にしてほしかったですね。
それであれば北葛城郡の後援会の人たちも喜んでくれたでしょうから。


それから「いよいよ総決算」「これまでのスケート人生の集大成」って言ってましたよね。
勝手にぼくの決算期を決めないでくださいよ。あと五年ぐらいは現役にしがみつこうとおもってるんですから。
やめるのかとおもってびっくりするじゃないですか。北葛城郡の後援会のみなさんが。

それから転倒したときに
「ちょっと集中力が途切れたか」
って言ってましたけど、あのときはまあまあ集中してましたよ。エロいこと考えてたのは最初だけですからね!


で、いちばん許せないのは最後の一言です。
「オトガイ選手、今後メンタル面を鍛えればさらに強くなるでしょう」
って言いましたよね。
精神科医でもないのに勝手にぼくの精神鑑定をしないでください!
あんなこと言ったら、まるでぼくが細かいことばかり気にするめんどくさい人間みたいじゃないですか!


2019年11月22日金曜日

ツイートまとめ 2019年1月


一流

自動車

いだてん

組体操

猿

敵味方

生命保険

現実

ネタバレ

バイリンガル

霊長類

自尊心

受信料

気配り

おんぶ

マザコン

寒い理由

排水溝

化学反応

あんたがたどこさ

文学

KISS

寄生虫

無重力

酩酊

官能小説

裏側

所属部屋

スマイルプリキュア

短歌

実感

ギフト

運動

2019年11月20日水曜日

【読書感想文】生産性を下げる方法 / 米国戦略諜報局『サボタージュ・マニュアル』

サボタージュ・マニュアル

諜報活動が照らす組織経営の本質 

米国戦略諜報局(OSS) (著)
越智 啓太(監修・訳) 国重 浩一(訳)

内容(Amazonより)
CIAの前身、OSSが作成した「組織をうまくまわらなくさせる」ためのスパイマニュアル。「トイレットペーパーを補充するな」「鍵穴に木片を詰まらせよ」といった些細な悪戯から、「規則を隅々まで適用せよ」「重要な仕事をするときには会議を開け」まで,数々の戦術を指南。マネジメントの本質を逆説的に学べる、心理学の視点からの解説付き。津田大介氏推薦!

サボタージュマニュアルとは、CIAの前身に当たる米国の諜報機関OSSが作成した、諜報員向けのマニュアル。
第二次世界大戦の敵国の軍事活動や生産性を妨害するためのマニュアル。
マニュアルというとふつうは効率を上げたりミスを減らしたりするためにつくるものだが、このマニュアルは逆。どうやったら効率を下げるか、ミスを減らすか、人々のやる気がなくなるか、という発想で作られている。
当時はまじめにつくったのかもしれないが、ブラックユーモアのようでおもしろい。

といっても、サボタージュマニュアルの大部分は「トイレを詰まらせる方法」とか「燃料タンクに何を入れたら車が故障するか」とかで、悪質ではあるが程度の低いイタズラ、というレベルでどうもくだらない。
そもそも燃料タンクを一人で触れる立場にある人間以外には実行不可能だし。

完全イタズラマニュアル、といった感じ。
これ考えるのは小学生に戻ったようで楽しかっただろうなあ。でも実用性は乏しそう。


だがこのマニュアルの白眉は第11章。
▼11 組織や生産に対する一般的な妨害
(a) 組織と会議
1.何事をするにも「決められた手順」を踏んでしなければならないと主張せよ。迅速な決断をするための簡略した手続きを認めるな。
2. 「演説」せよ。できるだけ頻繁に、延々と話せ。長い逸話や個人的な経験を持ち出して、自分の「論点」を説明せよ。適宜「愛国心」に満ちた話を入れることをためらうな。
3. 可能なところでは、「さらなる調査と検討」のためにすべての事柄を委員会に委ねろ。委員会はできるだけ大人数とせよ(けっして5人以下にしてはならない)。
4. できるだけ頻繁に無関係な問題を持ち出せ。
5. 通信、議事録、決議の細かい言い回しをめぐって議論せよ。
6. 以前の会議で決議されたことを再び持ち出し、その妥当性をめぐる議論を再開せよ。
これは一部だが、この“妨害方法”は七十年以上たった現在でも十分通用する……というか多くの企業や官公庁で実行されているよね。

ぼくが前いた会社でも実行されてた。毎日朝礼して誰かが演説したり、なにかというと「それは会議を開いてみんなの意見を聴こう」と言いだすやつがいたり……。
もしかしたらあの人たちはどっかの諜報機関から送りこまれたスパイだったのかなあ……。そうおもいたい……。



おそらく学校教育のせいでもあるんだろうけど、「みんなで話しあえばよい知見が得られる」という思いこみを持っている人は多い。
たしかに集団の水準より下にいるバカからすると「他の人に考えてもらう」は有効な方策かもしれない(だから自分で考えない人間ほど会議をしたがる)。

しかしたいていの会議はレベルの低い人間に議論がひっぱられるので正しい結論が導きだされないことも多い。
このうち、スペースシャトル「チャレンジャー」は、1986年1月8日に打ち上げの途中で爆発しました。この事故に際しては、打ち上げ当日に気温が非常に低くなることが予測されたので、シャトルの部品を製作している下請け会社の技術者が、危険性を指摘していたのに、「会議」によってその発言が封殺されて、事故が発生してしまったのです。
 また、スペースシャトル「コロンビア」は、2003年2月1日、発射の際に主翼前縁の強化カーボンとカーボン断熱材が損傷したことにより、大気圏再突入時に空中分解してしまいました。この事故では、NASAの技術者のロドニー・ローシャが、打ち上げ時に断熱材が破損した可能性を早くから指摘し、再三にわたって、人工衛星からその部分を高解像度で撮影することや乗組員に直接チェックさせることを要求したのに対して「会議」でその意見が封殺されて、事故が発生したことが後の調査でわかりました。
「可能なところでは、『さらなる調査と検討』のためにすべての事柄を委員会に委ねろ。委員会はできるだけ大人数とせよ(けっして5人以下にしてはならない)」(5章▼11(a)3)、「重要な仕事をするときには会議を開け」(5章▼11(b)11)といったルールがサボタージュになり得るのは、じつはこのような現象が頻繁に生じるからなのです。

まったく同じ能力の人間が、完全に対等な立場で、自由闊達な雰囲気で話しあえば議論も有意義なものになるのだろうが、そんな会議はまずない。

声の大きいやつの意見が通るか、誰も反対しないような無意味な結論(「各自効率性を上げるよう努力する」みたいな)に達するか、後になって「だからおれはあの時反対したじゃないか」と自己弁護するための議論になることがほとんどだ。

もちろん複数人がからむプロジェクトにおいてコミュニケーションは必要不可欠だが、課題解決の手段としては会議はふさわしくない。
「意見のある人間が集まって意見を出し、それを踏まえた上で誰かひとりが方針を決める(もちろん意思決定者と責任をとる人物は同じ)」がいちばんいいやりかたなんだろうなあ。



 さて、このような「学習性無力感」を意図的につくり出すためにはどうすればよいでしょうか。サボタージュ・マニュアルの次の項目を見てください。「非効率的な作業員に心地よくし、不相応な昇進をさせよ。効率的な作業員を冷遇し、その仕事に対して不条理な文句をつけろ」(5章▼11(b)10)。これを行うと、効率的に一生懸命仕事をしている作業員は自分がやっていることがばからしくなるか、何をすればよいのかわからなくなってきます。つまり、学習性無力感が職場につくられてしまい。作業員の士気は大きく損なわれるのです。
これもよく見る光景だね。
無能なイエスマンが引き上げられた結果、現場の人間がどんどん辞めていくやつ。

このへんの「生産性を下げる方法」は共感できてすごくおもしろい。

生産性を下げるマニュアルがあるということは、この逆をやればいいだけなんだけど、ほとんどの組織はそれができないんだよなあ……。やっぱり大企業や省庁には諜報員がまぎれこんでてサボタージュ・マニュアルを実行してんのかな。


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2019年11月19日火曜日

おばけなんてじゃないさ


小学生のとき、親に「早く寝ないとおばけが出るよ」「いい子にしてないとサンタさんが来ないよ」と言われるたびに「何をくだらないことを言っているんだ」とおもっていた。
「しつけのために嘘を教えるなんて、指導者の立場にある人間として正しい行いとはおもえない」とおもっていた。
「自分が親になってもおばけだのサンタクロースだの妖怪あずきあらいだのといった茶番に子どもは付きあわせないぞ!」と決意した。

で、自分が親になって数年たった今、おばけもサンタクロースもばんばん使っている。
「夜更かししてるとおばけが出るよ」「じゃあサンタさんに悪い子ですって報告しとくわ」と言っている。

こんな恰好をして脅したこともある



同じく幼い子を持つ友人と話すと、やはりみんなおばけもサンタクロースも大いに活用しているようだ。

べつに積極的におばけだのサンタクロースだのと教えるわけではないが、子どもが保育園でおばけやサンタクロースの存在を仕入れてくるので、
「保育士がせっかく教えたものを、あえて否定することもあるまい」
と乗っかっているうちについつい依存してしまうのだ。

子を持ってわかる、先人の知恵の重要性。

おばけやサンタクロースというのは、いってみれば「賞罰の外注」だ。

ふだんは子どもに対する賞罰の権限は親が握っている。
「悪いことをしたから怒ります」
「言うこと聞かないと遊びに連れていきません」
「がんばったから好きなお菓子を買ってあげます」
と。

しかし、権限者が近くにいると都合が悪いこともある。
子どもが大きくなると、知恵をつけてきていろいろ反論されるようになる。
「こないだはよかったのになんで今日はだめなのよ」
「自分だって〇〇できてないくせに」
「なんで大人は好きなときにお菓子買ってるの?」

こう言われると困ってしまう。
親にもいろいろ事情があるのだ。
「忘れてた」とか「めんどくさい」とか「いいの! お父さんがいいって言ったらいいの!」とか、それぞれ正当な理由がある。
だがそれを子どもに言っても理解してもらえそうにない。

そこで、外注ツールを使うのだ。
それが、おばけであり、サンタさんであり、なまはげだ。
賞罰を与える主体が遠くの存在であれば、子どもの反論もなんなくかわせる。

「こないだはよかったのになんで今日はだめなのよ」
→ 「知らない。決めるのはおばけだもん」

「自分だって〇〇をできてないくせに」
→ 「おばけは子どもをさらうから、大人は関係ないんだよ」

「なんで大人は好きなときにお菓子買ってるの?」
→ 「大人のところにはサンタさんが来ないからね」


子どもというやつは、
大人はルールに従って生きているとおもっているし、
大人の言動は首尾一貫していなければならないとおもっているし、
大人は嘘をつかないと信じている。

大人の正しさを信じてくれることはありがたいのだが、そうすると現実とのズレが生じる。
そのズレを埋めてくれるパテがおばけでありサンタなのだ。

いやはやおばけさん、サンタクロースさん。
いつもたいへんお世話になっております。その節は存在ごと否定してしまい申し訳ございません。
もうほんと、おばけさんには足を向けて寝られません。どちらの方角にいるのか存じあげませんか。


2019年11月18日月曜日

【読書感想文】革命起きず / 『ゴトビ革命 ~人生とサッカーにおける成功の戦術~』

ゴトビ革命

人生とサッカーにおける成功の戦術

アフシン・ゴトビ(著)  田邊 雅之(取材・文)

内容(e-honより)
少年時代、イランからアメリカに移住。家族との別離や人種差別、苦学をしながらのUCLA卒業を経て、世界が注目するサッカー監督へ。数奇な運命と戦ってきた男だから教えられる逆境の乗り越え方と、組織を躍動させる秘訣。

本の交換で手に入れたうちの一冊。

本の交換しませんか

(上の告知はまだ有効です。一部の本は売り切れ)

アフシン・ゴトビの半生とインタビュー集。
といってもサッカーにあまり興味のないぼくは、アフシン・ゴトビという名前すら聞いたことがなかった。
ゴトビといっても決済日のことではございません(関西ジョーク)。

イランで生まれ、13歳からはアメリカで育ち、韓国代表のコーチやイラン代表監督を経て、2011年からは清水エスパルスの監督を務める人物だそうだ。

この本の刊行は2013年だが、この時点では「ゴトビはすごいぞ! ゴトビが日本サッカー界を変える!」といった調子で書かれているが、残念ながらその後もゴトビはエスパルスで結果を出すことはできず、2014年シーズン途中で監督を解任されている。
もちろんチームの結果が悪いのは監督だけの責任ではないが、とはいえ、10位(2011)→9位(2012)→9位(2013)→15位(2014最終順位)という成績を見ると、少なくともJリーグにおいては“ゴトビ革命”は起こせなかったのだろう。

ぼくとしては「成功者の本」よりも、むしろゴトビ監督が退任した後に「なぜうまくいかなかったのか」を分析する本のほうが読みたかったな。
成功者の自慢話から学ぶことはないが、失敗から得られるものは多いから。



とはいえ、中盤の失敗エピソードはおもしろい。
アメリカのでの大学選手時代に実力はあったので監督に気に入られなかったから試合に出してもらえなかったエピソードとか(あくまで自分でそう言ってるだけだけど)、故郷イランの代表監督に就任したものの権力争いに巻きこまれて様々な妨害に遭った話とか。

オシム氏もユーゴスラヴィア代表監督時代に各方面から脅迫されたって言ってたけど、人気スポーツの監督ってとんでもなく気苦労の多い仕事だよなあ。もちろん采配や指導もたいへんだろうけど、それ以上に本業以外の邪魔が多くて。
国家元首よりたいへんな仕事かもしれない。

このへんの話をもっと読みたかったなあ。
後半はゴトビ氏の「私は〇〇だ。だからきっと成功するだろう」みたいな話が並んでいるけど、2019年の読者からすると「でもあなた成果出せずにクビになってんじゃん」としかおもえないからなあ。

現役でやっている人をヨイショしすぎる本は書かないほうがいいね。



韓国代表チームの参謀、そして日本のクラブチームの監督の両方を経験しているゴトビ氏ならでの「韓国と日本の共通点」はおもしろかった。
 ただしこういう例を除けば、やはり日本にいちばん似ているのは韓国だ。その最大のものがヒエラルキー、つまり「タテの人間関係」で社会ができている点だろう。
 タテ社会の意識の強さは、強いサッカーチームを作っていくうえでネックにもなっている。サッカーではいったんホイッスルが鳴ってしまえば、最低でも45分間は試合が続く。この間、監督はほとんど何もできないし、試合に勝つには選手が自分で考え、判断し、リスクを冒してチャレンジすることが不可欠になる。
 だがタテ社会に慣れてしまっていると、ピッチ上でもなかなか自分で判断が下せなかったり、年上の選手の指示を仰いでしまう。そんなことをしていたら何度チャンスをつくってもフイにしてしまうし、守備でもあっという間にゴールを奪われてしまう。
 また、タテ社会の発想に慣れていると、本来の実力を発揮できないという問題も起きてくる。私が日本に来て気がついたことのひとつは、日本人選手は練習の出来と試合のパフォーマンスにかなり開きがあるということだった。実際、エスパルスにも練習では本当に素晴らしいプレーができているのに、試合になると力を発揮できなくなる選手が多い。
韓国を毛嫌いしている日本人は多いけど(そして日本を毛嫌いしている韓国人もきっと多いんだろう)、それは両国の国民性が「似ている」からなんだろうなとぼくもおもう。

なまじっか似ているからこそ些細な違いが許せないんじゃないかな。
何から何まで違う国民性だったら「もうあいつらはほんとしょうがねえな」ぐらいで呆れることはあってもそんなに腹は立たない。
でも微妙に歪んだ鏡だから「なんでこれが通じないんだ!」っておもって嫌いになるんじゃないかな。

こういうこというと、嫌っている人は烈火のごとく怒るだろうけど。

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