サラ クーパー 『会議でスマートに見せる100の方法』
「世界で最も重要なビジネスウェブサイトだ」と自分で言っちゃうブログを書いているサラ・クーパーさん(ウソかマコトかGoogleとYahoo!で働いていたとか)が提唱する「会議で(表面上だけ)スマートに見せる方法」。
ぼくは会議がだいっきらいで、無駄な会議の多さに辟易して転職したぐらいの人間なので「どうして日本人はこんなに意味のない会議が好きなんだ」と思っていたんだけど、この手のジョークがいろんな国でウケているということは「会議が無意味」なのは万国共通なんだね。
むしろ人と人とのコミュニケーションを重要視する欧米のほうがその傾向が強いのかもしれないね。
これはジョークなんだろうけど、一抹の真実も含まれている。
会議を無意味と思っている人は多いのに、そしてメールやチャットやクラウドなど会議に頼らずとも情報を共有できるテクノロジーがこれだけあるのに、それでも会議はなくならない。
なぜなら、信じられないことだけど、世の中には「会議が大好きなやつ」がいるから。
何かあるたびに「これについては会議を開いて話し合おう」「ちょっとみんなにも話を聞いてみよう」と言いだすやつ。
で、終わったら「これを毎週やろう」というろくでもない提案をするやつ。
そういうやつにかぎって会議の場でなんら生産的な提案をしないんだよね。
要するに自分が何もわからなくて、何もわかってないことすらわかってないから、会議をしたらなんとかなるんじゃねえのって甘っちょろい考えを持っているわけだ。
「なんかおもしろい話して」って言う女が総じてつまんないのと同じく、会議を開きたがるやつが他人にとって有意義な話をしてくれることは決してない。
ぼくが会議を嫌いな288の理由
- 3人以上で話すとぜったいに話を聞かない時間がある。その時間は他の仕事をしたほうがいい。この無駄な時間は参加メンバーが増えれば増えるほど等比級数的に増えてゆく。
- 頭が悪いやつほど要点をまとめるのもへただから、ぐだぐだと長くしゃべる上に何が言いたいのかわからなくて聞き返される。結果、非生産的な彼らの話が会議の大部分を占めることになる。
- その場の大多数を納得させようとすると、どうしても反論のしようのない(=内容のない)提案が説得力を持つことになる。具体的な「明日から19時には強制的にオフィスの電源を落としましょう」は反対されるけど「効率よく仕事をするよう努力しましょう」に反対する人はいない。結果、内容のない提言ばかりがされることになる。
- そもそも、発案者が資料を作って「〇〇と考えるのですがみなさんのご意見をお聞かせください」ってメールかチャットを送れば済む話が大半。その労力を惜しんで他人の時間を割こうとする(会議をするというのはそういう話)ような人間と、まともなビジネスの話ができるとは思えない。
あんまり書きすぎると誰も読んでくれないのでこのぐらいにしておく(主張と会議は短いほうがいい)けど、ぼくが会議を憎んでいるのには他にも350個の理由がある(さっきより増えてる!)。
まあぼくは会議をサボることのできる立場にいた(というか見放されていた)のでしょっちゅう適当な用事を作ってすっぽかしてたけど。
この本では、役に立つようで立たない、会議での立ち居振る舞いが指南されている。
『上司でもないのに場の空気を支配する方法』
『電話越しにスマートに見せる方法』
『たいしたことを言っていないのに、聴衆を魅了する方法』
『描くだけでスマートに見える21個の無意味な図形』
もちろんジョークなんだけど、これをナチュラルになっているやつがけっこういるからなあ……。
以下、いくつかを紹介。
ぼくが前いた会社でも、毎日朝礼をやっていて、こういう濃度0.01%の話をずっと聞かされていました。
「最大限努力するようにしましょう」「目の前の重要な業務に注力するように」みたいなことを。
おまえは今までそれをやってなかったんかい。
会議でよく話されるテーマが「効率化」だよね。
その会議がいちばん効率化じゃないのに。
ぼくが前いた会社で(わあ愚痴ばっかりだ)、終業時間の2時間後に「残業をなくすにはどうしたらいいか」っていう会議をやっていたときはコントかと思いました。
ああこれはいいテクニックだなあ。
プレゼンをしていると、まともに答えるのがアホらしい質問がけっこう飛んでくるんですよね。
でもアホな質問をしているやつほど「おれ今いい質問してます!」って顔してるから、うっせえアホとも言いづらい(どんな顔してても言っちゃダメ!)。
そんなときはこうやってかわすのがいいね。勉強になるなあ。
目的と手段が入れ替わっている人って多いよね。
ほら、政治の世界にもいっぱいいるじゃないですか。やたら『改革』とか『刷新』とか言うやつ。
それはあくまで手段でしかないのに、改革が目的になってるやつ。
「決められない政治より、決められる政治を」というのはヒットラーの言葉だけど、何かを変えると「やった気」になるんだよね。
シリコンバレーでは「やった気になれる魔法の言葉」が "イノベーション" なんだね。
同様に、「コミュニケーションが大事」ってな言説も、目的と手段をまちがっている例だよね。大学サークルかっ!
会議にうんざりしている人は楽しめる本だとおもう。
でもほんとに読んでほしいのは会議を愛している人だけど!
そしてぼくの願いは、ほんのちょっとでいいから世の中から会議が少なくなること。今ある会議のたった97%をなくすだけでいいから!
その他の読書感想文はこちら
0 件のコメント:
コメントを投稿