ゴトビ革命
人生とサッカーにおける成功の戦術
アフシン・ゴトビ(著) 田邊 雅之(取材・文)
本の交換で手に入れたうちの一冊。
アフシン・ゴトビの半生とインタビュー集。
といってもサッカーにあまり興味のないぼくは、アフシン・ゴトビという名前すら聞いたことがなかった。
ゴトビといっても決済日のことではございません(関西ジョーク)。
イランで生まれ、13歳からはアメリカで育ち、韓国代表のコーチやイラン代表監督を経て、2011年からは清水エスパルスの監督を務める人物だそうだ。
この本の刊行は2013年だが、この時点では「ゴトビはすごいぞ! ゴトビが日本サッカー界を変える!」といった調子で書かれているが、残念ながらその後もゴトビはエスパルスで結果を出すことはできず、2014年シーズン途中で監督を解任されている。
もちろんチームの結果が悪いのは監督だけの責任ではないが、とはいえ、10位(2011)→9位(2012)→9位(2013)→15位(2014最終順位)という成績を見ると、少なくともJリーグにおいては“ゴトビ革命”は起こせなかったのだろう。
ぼくとしては「成功者の本」よりも、むしろゴトビ監督が退任した後に「なぜうまくいかなかったのか」を分析する本のほうが読みたかったな。
成功者の自慢話から学ぶことはないが、失敗から得られるものは多いから。
とはいえ、中盤の失敗エピソードはおもしろい。
アメリカのでの大学選手時代に実力はあったので監督に気に入られなかったから試合に出してもらえなかったエピソードとか(あくまで自分でそう言ってるだけだけど)、故郷イランの代表監督に就任したものの権力争いに巻きこまれて様々な妨害に遭った話とか。
オシム氏もユーゴスラヴィア代表監督時代に各方面から脅迫されたって言ってたけど、人気スポーツの監督ってとんでもなく気苦労の多い仕事だよなあ。もちろん采配や指導もたいへんだろうけど、それ以上に本業以外の邪魔が多くて。
国家元首よりたいへんな仕事かもしれない。
このへんの話をもっと読みたかったなあ。
後半はゴトビ氏の「私は〇〇だ。だからきっと成功するだろう」みたいな話が並んでいるけど、2019年の読者からすると「でもあなた成果出せずにクビになってんじゃん」としかおもえないからなあ。
現役でやっている人をヨイショしすぎる本は書かないほうがいいね。
韓国代表チームの参謀、そして日本のクラブチームの監督の両方を経験しているゴトビ氏ならでの「韓国と日本の共通点」はおもしろかった。
韓国を毛嫌いしている日本人は多いけど(そして日本を毛嫌いしている韓国人もきっと多いんだろう)、それは両国の国民性が「似ている」からなんだろうなとぼくもおもう。
なまじっか似ているからこそ些細な違いが許せないんじゃないかな。
何から何まで違う国民性だったら「もうあいつらはほんとしょうがねえな」ぐらいで呆れることはあってもそんなに腹は立たない。
でも微妙に歪んだ鏡だから「なんでこれが通じないんだ!」っておもって嫌いになるんじゃないかな。
こういうこというと、嫌っている人は烈火のごとく怒るだろうけど。
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