岸本 佐知子
ぼくがいちばんおもしろいと思っているエッセイの書き手(本業は翻訳家)による待望の新作。
第四弾だが岸本さんのエッセイのおもしろさはちっとも鈍っていない。むしろ円熟味を増している。
これぞ岸本佐知子氏エッセイ(エッセイか?)の真骨頂。
身辺雑記からいつの間にか空想の世界に連れていかれ、空想が空想を呼び、空想世界に秩序が生まれる。あんなに狭い入口だったのにこんなに広い世界につながっているなんて。
岸本さんのエッセイを読むたびに、エッセイってこんなに自由なものだったのかと感心する。
めずらしく(?)翻訳家ならではの話も。
ただの罵り言葉ではなく、一度祝福の言葉をかけてから呪ったりするのがウィットに富んでいておもしろい。
「お前がうんと金持ちになって、お前の寡婦の新しい夫が一日も働かなくて済みますように!」なんて、一瞬悪口を言われたと気づかないもんな。そのときは「ああどうも」なんて言って、後から「よくよく考えたらめちゃくちゃひどい言葉ぶつけられてるじゃねえか」と気づくやつだ。
日本語の定番の言い回しだと「豆腐の角に頭をぶつけて死んじまえ」が近いかな。でも「死ね」って言っちゃってるしなー。
わりと共感できる話。
これはぼくもけっこう考える。街を歩きながら、自分がホームレスだったら、野宿をするなら、どこに寝るだろうかと考える。地下街とかにちょっとした隙間を見つけると「おお、ここなら安心して寝られそうだな。あとはどうやって警備員の巡回をやりすごすかだよな……」とか考えてしまう。
他にもこんなこと考えてる人いたのかー。もしかしてわりとポピュラーな妄想なのかな。
アピヨンポンポンについて。
アピヨンポンポンが何なのか、それはぜひこの本でお確かめください。
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