ファストパスってあるじゃない。テーマパークで、高い金を出してファストパスを買った人は並ばずに優先的にアトラクションを体験できますよってやつ。
あれ、いやだよねえ。
最初に行っておくと、ぼくはディズニーランドにもUSJにも行かない。最後にディズニーランドに行ったのは2歳のときだし(もちろんまったくおぼえていない)、USJには会社のイベントで業務として行っただけだ。
なので想像でしかないのだが、ファストパスはイヤだ。
「金の力で順番を抜かされる」のはもちろんイヤだし、逆に「金の力で順番を抜かす」のもイヤだ。ズルしてるようで後ろめたい。
そもそもああいう場所で金のことを考えたくない。持たざる側に立つのも持ってる側に立つのもどっちもイヤだ。
ぼくが好きなテーマパークは大阪のスパワールドなのだが(ただし夏場を除く)、あそこは水着が裸で移動するので「リストバンドでツケ払いをして帰るときに精算」というシステムをとっている。これは中でお金のことを考える必要がないのでたいへん気分がいい。
ファストパスを売って売上を増やしたいという施設側の思惑もわかるのだが、それって短期的には収益上がっても長期的に見たらライトユーザーの印象を下げることにつながってマイナスなんじゃねえの? ともおもう。
ぼくの意見としては、もっと収益を増やしたいんだったら入場料を上げてくれたほうがいい。そしたら入場者数は減るかもしれないけどその分待ち時間が減って居心地は良くなる。「行かない人」と「行って満足する人」に分かれるのが理想だ。前者はテーマパークを味わえないけど、時間も金も失っていないのでがっかり感は少ない。
ファストパス制度は「行かない人」と「行って満足する人」の他に「行ったけど満足できない人」を生みだしてしまう。お金も時間も使ったのにあんまり楽しめなかったね、の人だ。これは最悪だ。行って楽しめないぐらいなら行けないほうがずっとマシだ。
ファストパスじゃないけど、以前某テーマパークに行ったときの印象が最悪だった。とにかく従業員が足りていない。客は長蛇の列をつくっているのに従業員が少なすぎてまったくさばけていない。「乗物に誰も乗っていないのに、説明をする従業員がいなさすぎて乗れない」という状況だった。人が多くて乗れないのよりも腹が立つ。並んでいる人たちはみんなイライラしていた。ぼくも二度と行くもんか、とおもった。
従業員がいないのはしゃあない。でも、対応できないならいっそ「今日はこのアトラクションは中止します!」とやってくれたほうがいい。遊べないとわかっていれば他のプランを考えられるのだから。
今の時代、どれだけチケットが売れているか、どれぐらい客が来たらどれぐらい待つことになるかなんてリアルタイムですぐわかるはず。もっと賢いやり方があるはず。
行くなら、「チケットは確実に買えるけどぜんぜん楽しくないテーマパーク」よりも「(枚数的、金額的に)なかなかチケットを買えないけど行ったら楽しいテーマパーク」だ。
これから働き手は減っていく一方。海外からの旅行客は増えていて、あちこちで「需要はあるけど供給が追いつかず長時間待たせる」ことが増えてくるにちがいない。
そろそろ旧来の「とにかくたくさんの人に来てもらう」やり方を捨てて、来てもらう人を絞って満足度を高めるほうに舵を切ってもらえないだろうか。単価を上げて同程度の売上を確保するやりかたもあるんじゃないかとおもうのだが。
ま、ディズニーランドにもUSJにも行かないぼくにはほとんど関係のない話なのだが。