キマイラ(ライオンの頭とヤギの身体とヘビの尻尾)、スフィンクス(ヒトの頭とライオンの胴体)、ペガサス(馬の身体と鳥の翼)、コカトリス(雄鶏の上半身とヘビの下半身)、グリフォン(鷲の上半身とライオンの下半身)、ヒッポグリフ(鷹の上半身と馬の下半身)、鵺(サルの頭、タヌキの胴体、トラの胴体、ヘビの尻尾)など複数の動物を組み合わせたキメラは数あれど、なんといってもいちばん有名なのはケンタウロスだろう。馬の胴体とヒトの上半身がくっついたやつだ。
ケンタウロスの特異性は、その「つなげるとこ、そこ?」感にある。
他のキメラは一応、「〇〇の上半身と××の下半身」だったり「〇〇の頭と××の首から下」だったりして、身体の部位が重複しないようにしている。
まあ「ヘビの尻尾」だったり、「鳥の翼」だったりはかなり無理があるが(鳥の翼はもともと脚から進化したので翼があるのなら脚が四本あるのはおかしい)、少なくともぱっと見ではそれほど違和感はない。「こんな動物いるかも」とおもわせてくれる造形をしている。
なんせ、上半身がシマウマで下半身が馬みたいなクアッガという動物は実在したのだ。
Wikipedia『クアッガ』より |
だったら、遠い昔あるいははるか未来に、グリフォンみたいなやつが生きていたとしてもさほどふしぎはない。
ところがケンタウロスだけは、はなから生物の基本を無視している。哺乳類×哺乳類の組み合わせなのに、手足は六本。ヒトの胴体と馬の胴体を持っているので、心臓も肝臓も膵臓も胃もふたつずつ持っていることになる(まあ胃に関してはウシなんか四つも持っているか)。はじめっから「いそう」とおもわせる気がないデザインなのだ。
いや待てよ。哺乳類だとおもうからいけないのか。ケンタウロスは脚が六本だから昆虫なのか?
いやあ。さすがにあのサイズの昆虫はいないだろう。昆虫は肺を持たないから、あの大きさの身体に酸素を送れないもんな。
待てよ。タコやイカは?
タコやイカには心臓が三つある。おまけに脚の数も多い。まさしくケンタウロスと同じじゃないか!!
そうか。ケンタウロスは、タコやイカと同じ頭足類だったのか。水中で暮らしていて、何かの拍子に陸に上がり、そこで速く走れるように四本の脚が馬みたいになり、高いところの果実や虫を取って食べられるように二本の脚がヒトの手のように進化したのだ。
つまりあいつがウマやヒトに似ているのはまったくの偶然で、ハリネズミとハリモグラのように別々の道をたどって進化して、たまたま形状が似てしまっただけなのだ。
そう。ケンタウロスはヒトでもウマでもなく、タコやイカの仲間なのだ!
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