数学クラスタが集まって本気で大喜利してみた
いっくん(著) 店長(構成協力)
あれこれ書くより、このツイートをいちばん見てもらうのがいちばん早い。
【円を3等分する選手権表彰】
— 数学を愛する会 (@mathlava) August 20, 2019
数学クラスタにケーキを切らせるとこうなる pic.twitter.com/CKH1fgxYh8
以前このツイートを見て「おお、すげえ!」となったので(理解はできない)、『数学クラスタが集まって本気で大喜利してみた』を読んでみた。
おもしろかったのは『規則性に反するものを見つけよ』の章。
タイトルだけだと意味がわかりづらいけど、たとえばこんな話。
ある命題があって、nが1のときは真である。nが2のときも真である。nが10のときも100のときも1000のときも1億のときもその1億倍のときもずっとずっと真である。
にもかかわらず、nが8424432925592889329288197322308900672459420460792433 のときは真ではない。
うそー。そこまできて裏切られることある?
この話を妻(工学部出身)にしたところ、「だから数学は嫌いなんだ」と言われた。妻いわく、物理の世界だったら一万回試して同じ結果になれば100%と見なしていい。まあ物理に限らず日常生活においてはそうだろう。1兆回やって同じ結果になれば、1兆1回目も同じになるに決まっている。
ところが数学の世界ではそうは断定できないし、じっさいに8424432925592889329288197322308900672459420460792433回目で裏切られてしまうこともある。
人間の感覚で理解できる範囲を超えている。
物理はさ、理解できなくてもなんとなくは想像できるじゃない。「この材質・形の物体をこの角度で投げればだいたいこのへんに届くな」ってのはわかる。もちろん予想と外れることはあるけど、10メートル先に行くと予想した物体が100メートル後方に行くようなことはない。
でも数学ではそういうことが起こってしまう。
『1=2を示せ』も、直感を見事に裏切ってくれる。
どうだろう。この証明。
2=√2 になるわけないから、まちがっていることはわかる。わかるけど、いざ反証しようとするとむずかしい。
物理の世界だと、〝かぎりなく直線に近づけた曲線〟は直線として扱っていいもんね。というか現実世界にはまったく凹凸のない直線なんて存在しないし。
でも数学の世界だと矛盾が生じてしまう。うーん、わずらわしい。
とまあ、数学が嫌いでない人からしたら楽しめる本だとおもう。細かい数式はぼくにはぜんぜん理解できなかったけど(高校のときは数学めちゃくちゃ得意だったのになー。高校数学レベルではまったくついていけない)、
で、まあ、おもしろかったんだけど、残念だったのは「第1章の『ケーキを三等分せよ』がいちばんおもしろかった」ってこと。尻すぼみ感がある。
大喜利と言いつつ、オリジナルの回答じゃないのも多いしね。数学界で有名な解法や議論とか。昔の有名数学者が考えたものを持ってきて「大喜利の答えです!」っていうのはちがうんじゃないの、とおもってしまう。まあ看板が悪いだけで中身は悪くないんだけどさ。
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