2021年8月16日月曜日

【映画感想】映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ /深海のサバイバル!

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映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ
/深海のサバイバル!
(2021)

内容
「映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ」…見た目はおしり、推理はエクセレントな名探偵・おしりたんてい。今度の舞台は、人々が風に乗り空を飛びながら移動して暮らすスフーレ島だ!
「深海のサバイバル!」…サバイバルの達人ジオとその仲間たちが、アンモナイト型の潜水艇に乗って深海をサバイバル。持ち前の勇気とアイデアでピンチに立ち向かう。

 小学二年生の娘といっしょに鑑賞。
 観客は全員子どもとその親。そりゃそうだね。




『映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ』


 ふうむ、いい映画ですね。

 毎週テレビ放送しているものも(娘といっしょに)ときどき観ているのだけど、
「おなじみのやりとり」と「劇場版ならではの取り組み」がいい具合にミックスされていて、「これぞ劇場版!」っていう出来だった。

 テレビシリーズを映画化すると、力が入りすぎて「いやそこまでのものは求めてないんだけど……」となることがある。とはいえ時間も制作費もぜんぜんちがうのにいつも通りにつくるわけにはいかない。

 その点この『スフーレ島のひみつ』はふだんと同じく「めいろ」や「おしりをさがせ」もあるが、「かいとうUに協力者がいる」「かいとうUの変装が観客にははじめから呈示されている」などちょっとした仕掛けが施されていて、先が読みにくい展開になっている。クライマックスの「しつれいこかせていただきまさ」も定番のやりとりでありながら発射までにひと工夫凝らされている。

 またいつものおしりたんていであれば「なぞをとく」「犯人を捕まえる」「かいとうUからお宝を守る」が達成された時点でストーリーは終了するが、この劇場版ではなぞときだけでなく「島の外に出たいが代々続く灯台守の家系なのでそれが許されずに不満を抱える少女」というストーリーも並行して語られており、単なるなぞときで終わっていない。

 終始風の吹いている演出や、激しい動きなど、劇場版ならではの派手な演出も多く、観客の「金を払って劇場に来てるんだから特別なものを観たい」という欲求と「とはいえいつものおしりたんていらしさも捨てないでほしい」という願望の両方をうまく両立させていた。

 テレビアニメの劇場版としては完璧に近い内容じゃないでしょうか。




深海のサバイバル!


 子どものいない大人は知らないかもしれないが、『サバイバル』シリーズが小学生の間で大人気だ。
 元々は韓国の学習漫画だが、日本国内でのシリーズ累計発行部数は1000万部を超え、世界では3000万部を超えているという大ヒット児童書だ。

 子どもの頃、学研の『○○のひみつ』シリーズが好きだった大人は多いとおもうが、今は『サバイバル』シリーズが主役の座についている。『○○のひみつ』よりも『サバイバル』のほうが漫画がだんぜんおもしろいんだよね。
『サバイバル』シリーズは漫画九割+解説文一割で構成されているのだが、解説部分は大人でも勉強になる。内容も新しいので「なるほど、今は環境問題に対する考え方ってこうなってるのか」と学ぶことが多い。子どものときに教わった〝常識〟って、変わっててもなかなか気づかないからね。


 そんな人気シリーズから『深海のサバイバル!』が映画化。

 海底調査の潜水艦にもぐりこんだサバイバルの達人・ジオと野生少女・ピピ。めずらしいものだらけの深海に興奮を隠せないふたりだが、事故により潜水艦に電気と空気を供給するケーブルが切断。艦内には三人、だが深海耐久スーツは二着だけ。はたしてジオとピピは無事に潜水艦を海上へと引きあげることができるのか……。
 というワクワクドキドキの王道冒険活劇

 ストーリー展開は山あり谷あり一難去ってまた一難という感じで、ハリウッド映画にも引けを取らないレベル。いやほんと、こんなストーリーのハリウッド映画ありそうだもん。
 子ども向けだから粗いところもあるけれど(潜水艦に子どもがふたり密航してることに誰も気づかない、序盤で密航に気づいたのに引き返さない、ひとりで乗船するはずだったのに深海スーツが都合よく二着積んである、深海スーツの充電器が潜水艦内にあるなど)、そういうところに目をつぶって深く考えなければ大人も楽しめる。

 ただ映像作品なので仕方ないのだけれど、肝心の科学知識がほとんど披露されなかったのは残念。それこそが『サバイバル』シリーズの原点のはずなのに。
 ダイオウイカやマッコウクジラは出てくるだけで生態に関する知見はないし、せいぜいメタンハイドレートぐらい。個人的にいちばん気になったのは深海から連れてきたカニが海面でもぴんぴんしてたこと。これは深海生物の生態を伝えるという根幹のテーマを壊してしまうぐらいのミス。ストーリーは強引でもいいけど、科学知識に関するところで嘘ついちゃだめでしょ。




 某子ども向け作品は鑑賞中に寝てしまったが、この映画はどちらも大人も楽しめた。大人料金1,800円の元はとれた。

 しかし気になったのは対象年齢。
『おしりたんてい』と『サバイバル』のセット上映なのだが、この二作は対象年齢がちがう。おしりたんていのメインターゲットは未就学児(娘は五歳ぐらいのときにどっぷりハマっていた)、サバイバルは小学校中学年ぐらい。けっこう離れている。

 うちの娘は小学二年生なのでぎりぎり両方楽しめるぐらいの年齢だが、周囲の五~六歳ぐらいの子は『サバイバル』のケーブルの切れた潜水艦が深海に沈んでいくシーンや、ダイオウイカに襲われるシーンでは「こわい……」と声をあげていた。そりゃそうだよなあ。

 この二作を抱き合わせで売るのはちょっと無理があるとおもう。
 観客からすると単独上映で半額にしてくれるのがありがたいけど、いろんな事情でそうもいかないんだろう。

 ネット配信してくれたらいいのにな。そしたら上映時間を気にしないで済むし。感染予防にもなるし。

『ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』も2022年に上映延期されたけど、一年も遅らせるぐらいだったらネット配信してくれたらいいのにな。そっちのほうが売上も増えるだろうに。映画館には申し訳ないけど。


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