2021年2月24日水曜日

人類がお茶漬けに求めるもの

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 こないだNHK Eテレの『すいエンサー』という番組を観た。

 はっきり言って、ぼくはこの番組が嫌いだ。
「かんたんに○○できるスゴ技があるんです! 答えは××です!」
といえば10秒で済むようなテーマを、30分近く使って説明する番組だ。

 たとえば『ブラタモリ』も同じようなつくりだが、こちらはちゃんと段階を踏んで丁寧に説明している。
 最初に「なぜAはFになったのか?」というテーマが提示されて、
「AはBでありCです。BだからDになります。またBはEももたらします。DとEにCが加わることで、AはFになったのです」
と、一見関係なさそうな事柄が最後に答えに収束する。あちこち迂回するけど、最後は目的地にたどり着く。一見寄り道にしかおもえないルートが意外な近道だった、といいう感じだ。

 ところが『すいエンサー』は、
「Aをするにはどうしたらいいか?」を説明するために
「関係ないけどBをしてみましょう。Cもしてみましょう。Dもしましょう。Eもしましょう。ではここで答えを発表します。AをするにはFをするといいのです!」
みたいな説明をする。途中がまったくの無駄なのだ。最初の1分と最後の1分だけ観ればすべてが理解できる。
 無理やり車に乗せられて長時間あちこち連れまわされたあげく、最終的にスタート地点のすぐ隣に連れていかれるようなものだ。『青い鳥』か!
 ちなみに『ためしてガッテン』も同じようなつくりだ。NHKの情報バラエティはこの手の時間稼ぎが多い。受信料が余ってるのかな。

 そんなに嫌いなら『すいエンサー』を観なきゃいいじゃんとおもうかもしれないが、我が家ではEテレをつけっぱなしにしていることが多く、『すいエンサー』は一度見はじめると最初に問いが提示されるので「あーもう無駄だー。さっさと答えを教えろよー。こっちは答えだけ聞ければいいんだよー」と言いながらついつい最後まで観てしまうのだ。




 話がそれたが、『すいエンサー』の2021/2/16放送で
「秘伝の味を大公開!一度は食べたい“特別な”お茶漬け」
という企画をやっていた。

 おいしいお茶漬けのレシピ、ちょっとした工夫でお茶漬けをおいしくする方法が紹介されていた。

 ごはんをおこげにしたり、お茶に出汁を加えたり、タレに漬けた刺身を乗せたり、ニンニクを入れたり、バターを溶かしたりしていた。

すいエンサーブログ
https://www.nhk.or.jp/suiensaa-blog/koremade/443705.html
より

 お茶漬けを愛するぼくは、それを観ていて叫んだ。


 あーもう!

 ぜんぜんわかってない!

 お茶漬けってそういうんじゃないんだよ!!


 お茶漬けを食べたいときって、「まだ食べたことのないようなうまいものを食べたい!」って気分じゃないんだよ!
「手間ひまかけてうまいものつくるぞ!」って気分じゃないんだよ!


 お茶漬けを食べたいときの気持ちは決まってる。
「今日はもうお茶漬けでいっか」 
 これだけ!


 うまいものなんか食べたくないの。ニンニクとかバターとかレモンとか論外。だいたいなんだよタレに漬けこんだ刺身って。そんなもんうまいに決まってるじゃねえか。どこがスゴ技だ。

 そういうのはさ、レストランとかパーティーとかの〝ハレの日〟の料理でやれよ。

 お茶漬けってのはそういう料理じゃないんだよ。


 お茶漬けに求めるのは

「とにかく手間がかからない」

「いつもの味」

 これだけ!!



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