2019年2月10日日曜日

ものを独占する子にいちばん効果的な方法

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五歳の娘のともだちにNちゃんという子がいる。
Nちゃん、ふだんは引っ込み思案な子なのだけれど、他の子と意見がぶつかったときにぜったいに引きさがらない。

たとえば公園のブランコを取り合いになったとき。
Nちゃんはぜったいに引かない。
周りの子どもや大人が
「先に〇〇ちゃんが使ってたから後でね」とか
「じゃあじゃんけんで決めよう」とか言っても、Nちゃんは耳を貸さない。
「Nちゃんが使う!」の一点張り。ブランコを握ったまま意地でも離さない(Nちゃんは身体も大きいので力も強い)。
たまにじゃんけんに応じることもあるが、じゃんけんに負けても泣いてブランコを離さない。

まあそういう子はめずらしくない。ぼくが子どものときにもいた。
きっと大事に育てられているのだろう。
困った子だとはおもうが、よその子のことなので放っておく。

問題は、うちの娘が真正面からぶつかることだ。


Nちゃんがブランコを力づくで独占すると、娘はNちゃんを説得しようとする。
「交代で使ったらいいでしょ」とか「じゃんけんで決めたらいいじゃない」とか。

はっきりいって、ルールを守れない子に対して「説得」はいいやり方じゃない。

二歳ぐらいならいざしらず、五歳なら「公園の遊具をひとりじめしてはいけない」ことぐらいわかっている。
わかっていて逸脱しているのだから、いくら正論でルールを説いたって無駄だ。泣いて抗議をするなんて、わがままな子を喜ばすだけだ。
痴漢に「痴漢、アカン!」というのと同じぐらい無意味だ。


ものを独占する子にいちばん効果的なのは放っておくことだ。
「あっそう。じゃあひとりでブランコ使ったらいいよ。その間にみんなであっちでおにごっこしよう!」
とするのが最適な方法だ。
ルールを守ろうとしない子の相手に時間を費やすなど、人生の浪費でしかない。

「ゆずりあわないと仲間はずれにされる」ということを経験しないとNちゃんのような子はゆずらない。
「我を通してばかりだと長期的にはかえって損をする」ことを学ぶのはNちゃんのためにもなるはず。

だからぼくは「もういいじゃない。あっちでブランコよりおもしろい遊びしよう」と言うのだが、娘も強情なので「いや、先にブランコ使う!」と泣きだしてそこから一歩も動こうとしない。

「困った人は放置がいちばん」ということを教えてあげたいのだが、どうもうまくいかない。
困ったものだ。



子どもの正義感に対して大人はどう対処するのか、いつも困ってしまう。

さっきのブランコの件に関しても、できることなら「Nちゃん、順番に使おうね」と言って、Nちゃんが他の子にゆずるのがいちばんいい。
えほんの中ならそれが「もっとも正しい」回答だろう。

だが残念ながら現実の世の中は「いちばん正しいやり方」と「いちばんうまくいくやり方」はイコールではない。

女の子に特に多いようにおもうが、うちの娘もいい子であろうとするあまり他人の不正が許せないことがよくある。

赤信号なのに横断歩道を渡る人やたばこのポイ捨てをする人を見て「だめなんでしょ?」とぼくに問いかける。
ぼくは答えに窮してしまう。
そう、だめなんだよ。だめなんだけどね……。世の中は、言って分かってくれる人ばかりじゃないんだよね……。

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