2018年12月4日火曜日

【読書感想文】ちゃんとしてることにがっかり / 綿矢 りさ『勝手にふるえてろ』

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『勝手にふるえてろ』

綿矢 りさ

内容(e-honより)
江藤良香、26歳。中学時代の同級生への片思い以外恋愛経験ナシ。おたく期が長かったせいで現実世界にうまく順応できないヨシカだったが、熱烈に愛してくる彼が出現!理想と現実のはざまで揺れ動くヨシカは時に悩み、時に暴走しながら現実の扉を開けてゆく。妄想力爆発のキュートな恋愛小説が待望の文庫化。

三ヶ月くらい前に映画『勝手にふるえてろ』のDVDを観た。
映画がおもしろかったので原作小説も手に取ってみたのだが、
「あれ、なんかこぢんまりしてる……」という印象。

映画を先に観たのがよくなかった。
映画のヨシカは突きぬけたキャラクターだったのだが、それに比べると小説のヨシカはずっとまとも。拍子抜けしてしまった。

映画版の主人公・ヨシカは、人とコミュニケーションがとれない、他人の気持ちを理解しようとしない、そのくせ行動力だけはある、ひたすらいかれた人間だった。傍から見ているにはおもしろいけどお近づきにはなりたくないタイプ。

小説版のヨシカはちゃんと他人の痛みが理解できるし(理解するのが遅いけど)、自分の行動を反省したりもする。
小説を先に読んでから映画を観たら、二度楽しめたかもしれないなあ。
 初めて付き合うのは好きな人って決めてた。自分に嘘をつきたくないし、逆に好きじゃなきゃ付き合えないし。いつか来留美が言ったみたいに私もまた自分自身を、いまどきめずらしいくらい純情で、純愛を貫いていると思っていた。初恋の人をいまだに想っている自分が好きだった。でもいまニを前にして、その考えが純情どころかうす汚い気さえする。どうして好きになった人としか付き合わない。どうして自分を好きになってくれた人には目もくれない。自分の純情だけ大切にして、他人の純情には無関心だなんて。ただ勝手なだけだ。付き合ってみて、それでも好きになれないならしょうがない、でも相手の純情に応えて試してみても、いいじゃないか。自分の直感だけを信じず、相手の直感を信じるのも大切かもしれない。ニは私とうまくいくと確信しているのだから。
なんかちゃんとしてるなー。ちゃんとしてない人が出てくる小説が読みたかったんだけどな。

この「自分の純情だけ大切にして、他人の純情には無関心」ってのは、まさしく自分に思いあたる。
学生時代、すごく好きな女の子に対しては「これだけ好きなんだから付き合ってくれてもいいじゃない。イヤだったらすぐ別れてくれていいから。まずはぼくという人間を知ってよ」と思ってた。
じゃあ、自分が好きでない子のことを知ろうとしてたかというと、百パーセントのノーだ。好きでない子のことは少しも知ろうとしていなかった。

若いときに「自分の直感だけを信じず、相手の直感を信じるのも大切かもしれない」という境地に達していれば、ずっと楽に生きられただろうなあ。



『仲良くしようか』という短篇も収録されているが、こっちはどんな内容かぜんぜんおぼえてない。二日前に読み終わったばかりなのに。そんな感じの短篇でした。

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