すごいことが最後に起こる!
イラスト謎解きパズル
SCRAP
イラストを使ったパズルを解いていくと、最後に「これまで解いたパズル」「途中にあった謎の記号」「本の表紙やカバー」などを使った大仕掛けのパズルが現れて最後には想像もしなかったことが起こる……という本一冊をめいっぱい使った趣向のパズル。
タイトルに「すごいことが最後に起こる」と書かれているしAmazonの口コミでも「すごかったです!」といったコメントが並んでいたのである程度「すごいこと」を想像しながら解いていったのだけど、その想像を超えることが起こった。いい意味でまんまと予想を裏切られた。
あんまりネタバレになるので詳しくは書けないけど、たしかにすごいことが起こる。2,200円とパズル本にしては高めだけど、これだけのことが起こるのならこの値段も納得、という感じだ。
とはいえ。途中のパズルの質はさほど高くない。
ぼくはパズル雑誌の最高峰『ニコリ』の三十年来の愛読者なので、ペンシルパズル(紙に書くタイプのパズル)には少々目が肥えている。そんなパズルファンからすると、この本のパズルは物足りない。
つまらない難しさ、なのだ。どうしようもない難しさ、といったほうがいいかもしれない。
この本に載っているのは基本的にイラストパズルで、描かれているイラストから「これは何の絵かを当てる」という作業が必要になる。これが、非常にかんたんなものもあれば、難解なものもある。「絵が伝わらない」問題だ。これはイラストパズルであれば必ず生じる問題なので、ここまではしかたない。
良くないのは、この本に載っているパズルの場合、「絵が伝わらない」問題が起こるとそこで手詰まりになってしまうことだ。もう答えを見るしかなくなる。
たとえばイラストクロスワードパズルであれば、「絵が伝わらない」問題がひとつふたつ起きても、他のイラストを読み解いているうちにヒントが増えてきてやがて解けるようになる。『ニコリ』のパズルにはたいていこういう配慮があるのだが。
パズルが難しいことはいっこうにかまわない。時間をかけたり、一生懸命頭をひねったり、総当たりで解いていったり、あれこれ手を尽くして解けるような難しさであれば大歓迎だ。
だが「この絵を描いた人は何を伝えたいでしょう?」という問題は、わからなければ永遠にわからない。どれだけ頭をひねってもわからない。「私は今何を考えているでしょう?」という世界一つまらない問題と同じだ。
こういう〝世界一つまらない問題〟が散見されるのがマイナス点だ。
とはいえ、どうしようもない問題はヒントや答えを見ればいいので、最後まで解けないということはまず起こらないだろう。
途中のパズルの質は高くないが、それでも最後の〝すごいこと〟はほんとに圧巻なので、中盤のもやもやを吹き飛ばしてくれる。これ以上のネタバレは避けるけど、紙の本ならではの大仕掛け、とだけ言っておこう。
ひとつ言っておくと、このパズルは絶対に誰かといっしょにやったほうが楽しいです。最後の感動を誰かと共有したくなるので。
そして、たっぷり時間のあるときにやること。ぼくは娘とやったけど、ラストの一連の仕掛けを解くだけでも一時間かかったからね。
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